米国ウィークリー 2018/10/30号

勝者が正義?

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  • “勝者が正義”。米国で“アメリカ人の考え方”として聞いた言葉だが、真偽は定かではない。ただ、もはや通用しない考え方であろう。実際、大統領選勝者のトランプ大統領は、マスコミを初め企業やそのトップ、著名な俳優やアーティストなどから多くの非難を受けている。パンドラの箱を開けた面もあろうが、時代が同大統領を誕生させたとも言えよう。では“正義は勝つ”か?正義の定義が難しい時代とも言えそうだ。
    多民族国家の米国では、ヒスパニック系やアジア系の人口が大幅に増え、かつてのマイノリティーの人口構成が高まり、圧力やストレスを感じる白人も少なくないようだ。米国を象徴する「人種のるつぼ」(melting pot)は文化が混じり合っていく様だが、現在では混ぜても決して溶け合うことがない意味合いとして「人種のサラダボウル」(salad bowl)という言い方がなされている。並立共存を強調した表現だが、ルーツ・肌の色の違いによる差別など根深い問題は容易には解決できないようだ。11/6の中間選挙では、上院で共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数を奪うとの見方が大勢で、ねじれにより共和党の暴走に歯止めが掛けられるとの見立てだ。ただ、野党・民主党内部でも分裂が生じ、政治経験のないヒスパニック系議員が誕生するなどしている。Divided(分断)が当たり前の前提であり、あたかも人種代表の政治家の色彩が濃くなっている面もある。ただ、政治経験のない元実業家の第45代アメリカ合衆国大統領は、MAGA(Make America Great Again)の選挙スローガンの基、多くの非難を受けつつも、ビジネス経験を活かしてこの国の栄光を取り戻そうとしている。
  • 7-9月期のGDP成長率(速報値)は前期比年率3.5%増と市場予想を上回る良好な着地であったが、詳細にやや不安を感じさせた。個人消費は同4.0%増と引き続き好調が確認された一方、設備投資は同0.3%減と2015/4Q(7-9月)以来のマイナスとなった。また、輸入は同10.3%増と大幅なプラス転換の一方、輸出が同3.5%減とマイナスに転じ急速な落ち込み。輸入は追加関税引き上げ前の駆け込み需要が拡大した一方、輸出はそうした制裁措置などの影響が表れ始めたものと見られる。
    10/26現在、2018/3Q(7-9月)決算では、S&P500構成企業のうち239社が発表を行い、EPSが市場予想を上回った企業が187社(サプライズ比率76.2%)と良好な状況である。ただ、アマゾン・ドット・コム(AMZN)のように売上見通しが市場予想を下回ったことで同社株価は大きく売られた。貿易摩擦など景気懸念から、投資家は企業のトップライン動向を見極めているようだ。11月は、月初の重要経済指標の他、中間選挙、米露、米中首脳会談などビッグイベントを消化しつつ、クリスマス商戦への期待が徐々に高まり、株式市場は10月の下げ相場の戻りを試す展開を予想する。(庵原)
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S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(10/26現在)

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■主な企業決算 の予定

●10月29日(月):HSBCホールディングス

●30日(火):GE、マスターカード、ファイザーコカ・コーラフェイスブック、BNPパリバ、フォルクスワーゲン、BP、フィアット・クライスラー、中国農業銀行、中国工商銀行

●31日(水):GM、AIG、スプリント、エアバス、 サノフィ、サムスン電子

●11月1日(木):アップル、ロイヤル・ダッチ・シェル、INGグループ、クレディ・スイス、シャイアー

●2日(金):シーゲイト、エクソンモービルシェブロンアリババ

■主要イベントの予定

●10月30日(火)

アップル、ニューヨークで製品発表会

10月の消費者信頼感指数

・8月の主要20都市住宅価格指数

●10月31日(水)

10月のADP雇用統計

・7-9月の雇用コスト指数

・中国10月の製造業PMI 、非製造業コンポジットPMI

●11月1日(木)

中国が一部品目の輸入関税引き下げ

・7-9月の労働生産性 (速報値)

10月のISM製造業景況指数

・10月の自動車販売

・9月の建設支出

・10月27日終了週の新規失業保険申請件数

・中国10月の財新製造業PMI指数

●11月2日(金)

10月の雇用統計

・9月の貿易収支

・9月の製造業受注

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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