原油価格、再び急騰 WTIが102ドル ホルムズ海峡封鎖の見通しは?
WTIは日本時間16日朝に102ドル台。イランはホルムズ海峡封鎖の解消の可能性も示唆しているが、見通しの不透明感は続いている。
原油価格が再び急騰している。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間16日の取引で一時、1バレル=102ドル台を記録。前週末終値から約3.8%の上昇を記録した。原油価格はアメリカとイスラエルによるイラン攻撃開始からの2週間あまりで1.5倍になっている。米国は週末のうちにイランへの大規模攻撃を行っており、石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡の封鎖状態が解消されるめどが立っていないことが要因だ。一方、足元の原油価格は9日の高値からはまだ距離があることも事実。各国による石油備蓄の放出決定などが時間稼ぎの効果を生んでいることに加え、イラン側がホルムズ海峡の封鎖状態を解消させる可能性を示していることも状況改善への期待をつないでいる。ただ、イラン情勢の見通しが不透明なことは間違いなく、今後の展開次第で原油価格が改めて急騰するとの懸念もつきまといそうだ。
WTIは一時102.44ドル イラン攻撃から2週間余りで1.5倍に
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間16日午前10時47分段階で1バレル=98.65ドルで取引されている。ブルームバーグによると、16日の取引開始直後にあたる午前7時には、前週末比3.78%高の102.44ドルをつける場面もあった。イラン攻撃前日の2月27日終値との比較では52.85%高の水準で、原油価格の高騰が続いているといえる。
米国がイランの原油輸出拠点に大規模な攻撃 イランは米国との交渉に否定的
16日の取引でWTIが上昇した背景には米国がイランへの攻勢を強めたことがある。ドナルド・トランプ大統領は日本時間14日朝、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、ペルシャ湾の西側に位置するイランのカーグ島に中東の歴史上最大規模の爆撃を行い、軍事目標を完全に破壊したと公表。今後は石油インフラへの攻撃の可能性もあることを示唆した。英BBCによると、イランの原油の90%はパイプラインを通じて本土からカーグ島に送られ、タンカーによって輸出に回されているという。
これに対してイラン側は抗戦の姿勢を続けている。イランのアッバス・アラグチ外相は15日の米CBSでのインタビューで、米国がイランとの核協議継続中に攻撃に踏み切ったことを指摘したうえで、「米国との対話に関して良い経験はない」と述べ、米国との交渉に否定的な考えを示した。イランが近隣国への攻撃を行ったことについては、イランへの攻撃に使われた米軍施設を対象にしたものだとしている。ホルムズ海峡周辺の戦火が収まる気配がない中、原油価格への上昇圧力は当面続いていくことが想定されそうだ。
原油価格は過去の最高値には至らず イラン外相がホルムズ海峡封鎖の解消に言及
一方、原油価格の値動きは急騰が加速しているとまではいえない。16日の取引開始直後につけたWTIの高値は、1週間前の9日の高値である1バレル=119.48ドルとの比較では14.26%安の水準。ブルームバーグによると、WTIはロシアによるウクライナ侵攻から約2週間後の2022年7月11日には130.50ドル、中国やインドなど新興国の原油需要の高まりが意識されていた2008年7月11日には147.27ドルまで上昇したこともある。
足元の原油価格急騰が過去の記録の更新に至っていない背景には、ホルムズ海峡封鎖に伴う供給急減を補うための施策が取られていることがありそうだ。国際エネルギー機関(IEA)は11日、加盟32か国が4億バレルの石油備蓄を放出することで合意したと発表。ホルズム海峡を通過する石油量の20日分をカバーするにすぎない水準とはいえ、米国とイランの交戦が収束するまでの間の時間稼ぎの意味があるといえそうだ。また米財務省は12日、ロシア産原油に関する経済制裁を一時的に緩和すると発表し、海上輸送中のロシア産原油や石油製品について、4月11日までの間、各国が購入することを認めるとした。ブルームバーグによると、海上輸送中のロシア産原油の量は1.25億-1.50億バレルと試算されている。
さらにホルムズ海峡の封鎖状態をめぐっては、イランが態度を軟化させることもありえる。アラグチ氏は15日の米CBSでのインタビューで、ホルムズ海峡の船舶の通過について「多くの国々から打診を受けている」と述べ、協議に応じる可能性を示した。イラン軍はすでに複数の国の船舶がホルムズ海峡を通過することを認める判断を下しているという
イラン攻撃の終了時期はトランプ氏の思惑次第 展開次第で原油価格の上昇加速も
ただ、イラン情勢が早期に収束する見通しが立っているわけではない。米国のケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長は15日の米CBSでのインタビューで、国防総省はイランでの軍事作戦の完了には「4-6週間かかるが、予定よりも早く進んでいる」とみていることを明かした。米国のイランに対する攻撃の終了時期はトランプ氏の判断次第といえ、トランプ氏改めてイランへの攻勢を強めるなどすれば、原油価格の上昇が勢いづく展開も考えられそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。