ドル円 週間見通し(3/16週):FOMC・日銀会合で160円突破も 急反落には要警戒
IG証券のアナリストによるドル円の週間展望。有事の米ドル買いで160円が射程に。円安再燃で上昇拡大なら為替介入を意識した急反落を警戒。注目のチャート水準は?
要点
- 中東の地政学リスクで有事のドル買いが加速。ドル円は13日に159.75まで上昇。重要水準160.00(160円)が射程に入る
- 今週は米FOMCと日銀会合が焦点に。FOMCではインフレ見通しとドットチャートに注目。利下げ期待がさらに後退すれば、米ドル高の加速が予想される。日銀会合では利上げ見送りの公算大。植田総裁の会見が円安再燃のきっかけとなる可能性あり
- ドル円(USD/JPY)の週間想定レンジは156.00–161.40。160.00突破なら161.00の攻防が視野に入る。しかし、円安再燃で上昇拡大ならば為替介入を材料とした急反落を警戒したい
有事の米ドル買い進行、ドル円は160円射程も急反落を警戒
米国・イスラエルによるイラン攻撃の影響が中東諸国に拡大している。中東の地政学リスクの高まりで、外為市場では「有事のドル買い」が続いている。
3月以降、対G10通貨で米ドル高が進行(13日時点)。米ドルの方向性を示すドル指数(DXY)は13日、節目水準の100を突破し100.54レベルまで上昇した(ブルームバーグのデータ)。月初来2.8%高と米ドル高トレンドが加速している。
中東の地政学リスクはエネルギーの供給懸念を強めている。この状況は、カナダドルや豪ドルにとってポジティブだ。事実、対米ドルで上昇する場面が見られた。しかし先週後半、これら通貨に対しても米ドルは上昇した。
イランの新たな最高指導者に選出されたモジタバ・ハメネイ師は12日、選出後初の声明でホルムズ海峡の封鎖を続ける考えを示した。イランが徹底抗戦の構えにある以上、今週の外為市場でも、中東の地政学リスクを背景にした有事の米ドル買いを想定したい。
米ドル対G10通貨の動向、ドル指数の動向:3月以降の動向、13日まで
ブルームバーグの為替データを基に作成
ドル円(USD/JPY)は現在、重要な節目水準160.00(160円)をトライする状況にある。13日の外為市場では159.75レベルまで上昇する場面が見られた。160.00手前で上昇が抑制されたことは、政府・日銀による為替介入を警戒した動きと捉えることができる。
18~19日に日銀金融政策決定会合が開かれる。下で詳述する通り、今週の外為市場で円安が再燃し160円突破となれば、政府・日銀の為替介入を意識した円買い戻しによる急反落の可能性が高まろう。今週のドル円は、変動拡大を警戒したい。
ドル円 4時間足チャート:2月下旬以降
TradingView提供のチャート
18日にFOMC、焦点はインフレ見通しとドットチャート
17日~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。利下げ見送りが予想される中、市場参加者の関心は経済見通し(SEP)とドットチャートに向いている。
中東の地政学リスクが高まって以降、米利下げ期待が急速に後退している。主因はインフレリスクにある。この点を強く意識しているのが米債市場だ。インフレ期待を織り込んで動く10年債利回り(長期金利)は4.3%を視野に上昇している。本来であれば、戦争などのリスクイベントは安全資産としての米国債の逃避需要を高める要因だ。しかし実際には、米国債が売られ金利が上昇する現在の状況は、「イラン情勢の混迷と長期化→原油価格の上昇・高止まり→インフレ再燃」を意識した動きと言える。
米国10年債利回り 4時間足チャート:2026年以降
TradingView提供のチャート
金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りの動きにも注目したい。先週は昨年8月以来となる3.76%へ上昇する場面があった。OIS(翌日物金利スワップ)市場では、利下げ時期が9月または10月に後ずれする状況にある。今年12月の政策金利(上限)の予想水準は3.4%台へ切り上がっている。イラン攻撃前の3.0%前後から大きく上方にシフトし、利下げ期待が急速に後退している。
中東の地政学リスクが高まる前から、FOMC内にはインフレ再燃を警戒する意見が見られた。1月開催分のFOMC議事録では、大半の参加者が「2%の物価目標に向けた進展は想定より遅く不均一になる可能性がある」と警戒感を示し、インフレが目標を持続的に上回るリスクは無視できないとした。イランを巡る軍事的緊張も重なり、FOMC声明でインフレリスクを警戒する表現が盛り込まれ、SEPのインフレ見通しが上方に修正される可能性がある。ドットチャートでは、昨年12月の予想中央値3.4%から上方にシフトすれば、今年は利下げ無しとなる可能性が浮上する。いずれも米ドル高が加速する要因となろう。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が会見でインフレリスクへの強い警戒を示す場合、利下げパスの不透明感が高まろう。パウエル会見も米ドル高加速の要因として警戒したい。
米FOMC 利下げ見通し
ブルームバーグ、OIS市場のデータを基に作成 / 13日時点
19日に日銀会合、植田総裁の会見に注目 円安再燃を警戒
中東の地政学リスクが市場のテーマに浮上して以降、円相場は主要通貨で円高と円安が交錯する状況にある。有事の米ドル買いを背景に対米ドルでは円安が進行する一方、欧州通貨では円高優勢の状況にある。方向感が定まらない中、今週は円安が再燃するかどうかを注視したい。
対米ドルでの円安要因は、日米金利の動向にある。国内金利に上昇の圧力が高まってはいるが、米金利の上昇が拡大していることで日米金利差は拡大傾向にある。
資源国通貨の動きにも注目したい。3月以降の日本円の動向を確認すると、豪ドルやカナダドルで円安が進行している。カナダは産油国であり、オーストラリアは世界有数の液化天然ガス(LNG)の輸出大国だ。資源を持つ国と持たざる国の立場を如実に示すトレンドだ。13日の取引でWTI原油先物価格は節目の100ドルを視野に再び上昇した。ブレント原油先物価格は100ドルを突破した。中東地域の混乱が長期化することを意識する動きだ。資源国通貨を中心に円安が進行する可能性がある。
日本円の動向:3月以降、13日までの動向
ブルームバーグの為替データを基に作成
18~19日の日銀金融政策決定会合も円安が再燃する要因として警戒したい。
利上げ見送りの公算が大きい中、市場参加者は植田和男総裁の会見から4月利上げの可能性を探ろうとするだろう。しかし、OIS市場は4月の利上げを6割以上の確率で織り込んでいる。このため、仮に植田総裁が4月の利上げを示唆し円買いが見られても、一過性で終わることが予想される。米利下げ期待が急速に後退する中では、日米金利差が埋まらない状況も対米ドルでの円安要因になり得る。
政治環境も円安方向にある。毎日新聞は2月24日、高市首相が植田総裁との会談で追加利上げに難色を示したと報じた。高市政権との関係を踏まえ、植田総裁は経済・物価の見通しとリスク、そして2%の物価安定目標の実現の確度を確認しながら適切に判断していくという従来の政策方針を維持するだろう。中東リスクについても日本経済への影響を注視するという見解にとどまる可能性が高い。様子見姿勢は、市場にハト派的シグナルとして受け止められる可能性がある。円安再燃を警戒したい。
日銀 利上げ確率の推移:3月・4月
ブルームバーグ、OIS市場のデータを基に作成 / 13日時点
ドル円のチャート分析、週間想定レンジ156.00-161.40
160円の攻防
ドル円(USD/JPY)は心理的節目であり重要ラインでもある160.00(160円)を射程に強気地合いにある。中東の地政学リスクは長期化の様相を呈している。今週の外為市場も「有事のドル買い」が予想される。
ドル円が160.00を突破する場合は、161.00を視野に上昇が拡大するシナリオと反落のシナリオを想定したい。前者のシナリオならば、161.00そして日足チャートのフィボナッチ・エクステンション161.8%水準161.37レベルのトライを意識したい。ロング勢はこれら2つの水準を上値(利益確定売り)の目途と想定したい。
一方、後者のシナリオの場合、160.00レベルがサポートラインに転換すれば、161円を目指す可能性がより高まろう。161.37レベルの上の水準161.40を今週の上限と予想する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・161.40:上限予想
・161.37:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・161.00:節目の水準
・160.00:心理的節目の水準
円安再燃での160円突破なら急反落を警戒
ドル円(USD/JPY)が160.00の攻防となる場合、注意すべきは政府・日銀の為替介入を意識した動きだ。
週足チャートで過去の160円の攻防を確認すると、2024年7月は政府・日銀による為替介入でドル円は下落した。2025年の初めは、トランプ政策の不透明感と日米利回り格差の縮小がドル円の下落要因となった。今年1月23日の外為市場では、日銀のレートチェック観測と米ニューヨーク連銀のレートチェックを受け、159円台から155円台へ急反落した。現在は「円安再燃→政府・日銀による為替介入」を警戒する状況にある。
片山さつき財務相は14日、日韓財務対話を行い、最近の急速な韓国ウォン安及び日本円安に関する深刻な懸念を表明した。更に、両大臣は為替レートの過度な変動と無秩序な動きに対して、外国為替市場を注視し、引き続き適切な対応をとることを再確認した(共同プレスリリースより)。円安進行で160円台以上の攻防となれば、口先介入やレートチェック、実際の為替介入を警戒したい。為替介入絡みでは、その材料次第でドル円の下落幅は大きく左右されるだろう。現時点では、50日線と13週線が推移している156円台までの下落を想定しておきたい。
一方、米ドル高の調整による反落のケースでは、1円幅で下値の攻防を想定したい。159.00、158.00、157.00はいずれもサポートラインに転換する可能性がある。158.00上には10日線が推移している。
注目のチャート水準:サポート
・159.00:サポート転換の可能性あり
・158.00:上に10日線(158.10)
・157.00:サポート転換の可能性あり
・156.60:13週線
・156.30:50日線
・156.00:下限予想
※移動平均線の水準:3月13日時点
ドル円 日足チャート:2026年以降
TradingView提供のチャート
ドル円 週足チャート:2024年以降
TradingView提供のチャート
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