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金価格 見通し(3/18):原油価格高止まり、FOMCでドル高加速を警戒 4800ドル視野も

IG証券のアナリストによる金価格の短期見通し。原油価格にらみの状況が続く。FOMCが米ドル高の要因となれば、金価格の下落拡大を警戒。注目のチャート水準について。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 中東混乱の長期化懸念で外為市場では「有事のドル買い」が続いている。米ドル高が重石となり金価格は4週続伸の強気地合いから一転、2週続落の弱気地合いへ転じている
  • 目先は米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点に。FOMC声明文、四半期経済予測(SEP)、ドットチャートで利下げ期待がさらに後退すれば、米ドル高加速の要因に。金価格の下落拡大を警戒したい
  • 金価格が50日線を下抜ければ4910ドル、さらに4800ドルが下値の目安に。一方、反発局面では25日線の攻防に注目。突破すれば5200ドル視野に上昇拡大が予想される


米ドルにらみの金価格、原油価格にらみの米ドル

金価格の強気地合いが後退している。週間の変化率を確認すると、米国とイスラエルがイランへ軍事攻撃に踏み切る前は4週続伸の強気地合いにあった。しかし、中東の地政学リスクが高まった3月以降は2週続落。一転して弱気地合いに転じている。

金価格 週間変化率:年初来

金価格 週間変化率:年初来

ブルームバーグの価格データを基に作成

トレンド転換の主因は、米ドルの動きにある。「イラン攻撃→中東地域に影響が拡大→ホルムズ海峡事実上の封鎖→原油高→スタグフレーション懸念」の連鎖が意識され、グローバル市場では「Cash is king」のトレンドが鮮明となり、世界で最も流動性が高い米ドルの需要が高まっている。株取引で発生した損失を補填するために、金が売られやすい状況にあるという見方もある。

伝統的に米ドルと金価格が逆相関の関係にあることを踏まえれば、中東不安が続く限り、米ドル高が金価格の上値を抑制するトレンドが続く展開を想定したい。

金価格とドル指数 1時間足チャート:2月下旬以降

金価格とドル指数 1時間足チャート:2月下旬以降

TradingView提供のチャート

その米ドルは現在、中東情勢にらみの状況にある。原油先物価格は中東リスクのバロメーターだ。ゆえに現在の米ドルは、原油価格にらみともいえる。

原油価格の予想変動率を示すOVX指数は一時121%手前まで上昇する場面が見られた。直近は上げ止まっているが、依然として100%近辺で高止まりしている。WTI原油先物4月限が100ドルを視野に高止まりしている状況も踏まえれば、市場参加者は中東情勢の混乱が長期化する可能性を意識している。

ホルムズ海峡の船舶護衛を巡る国際連携の不協和も中東不安の長期化につながる。トランプ米大統領は、日本や欧州を含む約7カ国に艦船派遣を求めている。しかし、EU外相会合では戦争拡大への懸念から消極姿勢が示された。日本も安保法制上の制約を理由に、高市首相は護衛艦派遣について「決定は一切していない」と述べ、慎重な姿勢を示している。トランプ米政権が国際協調で後手を踏めば、ホルムズ海峡の早期安定化への期待が後退し、原油高の長期化リスクが意識されよう。目先は「原油高→有事のドル買い→金売り」のトレンドを想定したい。

OVX指数 日次チャート:2025年以降

OVX指数 日次チャート:2025年以降

ブルームバーグのデータを基に作成
※OVX指数:CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)。原油価格の予想変動率を示す原油版の恐怖指数


FOMC警戒、米ドル高加速なら金は下落拡大も

17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。15日のIG週間為替レポートで指摘したとおり、インフレリスクへの警戒から利下げ期待が後退すれば、今回のFOMCは米ドル高の要因となる可能性がある。
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OIS(翌日物金利スワップ)市場 では今年の利下げ見通しが急速に後退している。レポート掲載時点では、12月のターミナルレート(予想)が3.4%前後にある。3月から7月までのFOMCでは利下げが見送られることを織り込む。9月の利下げ確率(合計確率)は60%台にあるが、インフレ次第では、さらに後ずれする可能性がくすぶる。

中東の地政学リスクが高まる前から、米連邦準備制度理事会(FRB)内にはインフレ再燃を警戒する向きが見られた。1月開催分のFOMC議事録では、大半の参加者が「2%の物価目標に向けた進展は想定より遅く不均一になる可能性がある」と警戒感を示し、インフレが目標を持続的に上回るリスクを軽視できないとした。イランを巡る軍事的緊張も重なり、FOMC声明でインフレリスクを警戒する表現が盛り込まれ、SEPのインフレ見通しが上方に修正される可能性がある。

ドットチャートにも注目したい。2026年政策金利の見通しについて、昨年12月の予想中央値3.4%から上方にシフトすれば、1回利下げの見通しにすら不透明感が高まろう。また、FRB のパウエル議長が会見でインフレリスクへの強い警戒を示す場合も、利下げパスの不透明感が高まろう。今回のFOMCは、米ドル高の要因となる可能性がある。有事のドル買いに利下げ期待後退の米ドル買いも重なれば、FOMC後の金価格は下落拡大を警戒したい。


金価格のチャート分析、4800ドルへ下落か5200ドルへ反発か

50日線ブレイクなら下落拡大を警戒
目先の金価格は、FOMCとパウエルFRB議長の会見にらみとなろう。FOMC前に中東情勢絡みのニュースで原油先物価格が動けば米ドルも同じ方向に連動しよう。金価格は逆のトレンドを意識したい。

日足チャートでトレンドを確認すると、右肩上がりのトレンドチャネルを下方ブレイクした後、下限5000ドル、上限5200ドルのレンジ相場へシフトしている。MACDはデッドクロスに転じ、RSIは50を下回る。いずれのテクニカル指標も金価格の弱気地合いを示唆している。この点は4時間足チャートも同じだ。短期レジスタンスラインが形成され、RSIは50以下で推移。DMIとADXのトレンドも考えるならば、原油高+米ドル高の局面では下落拡大を警戒したい。

「有事のドル買い」が続く中、一連のFOMCイベント(声明文、SEP、パウエル会見)が米ドル高の要因となれば、金価格は50日線(4963ドル)を下方ブレイクするだろう。この場合、最初の下値ターゲットは直近高安の半値戻し4910ドルとなる。さらに下値を目指す場合は、4800ドルの攻防を意識したい。直下の4790ドルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%にあたる。テクニカル面でも4800ドルはサポートラインとして意識されやすい。今週20日までの下限と予想する。
注目のチャート水準:サポート
・4963ドル:50日線
・4910ドル:半値戻し
・4800ドル:下限予想、直下に61.8%戻し(4790ドル)

25日線突破なら5200ドルが視野に
一方、中東懸念の後退や一連のFOMCイベントが米ドル安の要因となれば、金価格は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。

最初の焦点は5100ドルの攻防だ。この水準には現在25日線が推移している。4時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準5073ドルの突破は、25日線(5100ドル)をトライするサインと捉えたい。23.6%戻しはレジスタンスラインに転換する可能性がある(4時間足チャート、緑矢印を参照)。

次の上値ターゲットは5200ドルだ。この水準は半値戻し(5192ドル)にあたる(4時間足チャート)。3月以降、レンジの上限としても意識されている5200ドルを今週20日までの上限と予想する。

想定を超える上昇で5200ドルを突破しても現在の状況(中東不安による米ドル高トレンド)を考慮すると、2月24日と3月10日にレジスタンスラインとして意識され、かつフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準でもある5240ドルまでの反発が限界と予想する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・5240ドル:61.8%戻し(5246ドル)
・5200ドル:上限予想、半値戻し(5192ドル)
・5100ドル:25日線
・5073ドル:23.6%戻し


金価格 日足チャート:2025年12月下旬以降

金価格 日足チャート:2025年12月下旬以降

TradingView提供のチャート

金価格 4時間足チャート:2月下旬以降

金価格 4時間足チャート:2月下旬以降

TradingView提供のチャート


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