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【米国株】S&P500 見通し(3/11):くすぶるインフレリスク、反発維持は米CPI次第

IG証券のアナリストによるS&P500の短期見通し。トランプ発言で中東懸念はひとまず後退。しかしインフレ懸念は後退せず。米CPIを警戒。株価指数CFD「米国500」は反発相場維持の正念場。注目チャート水準について。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • IEAによる過去最大の石油協調放出案でWTI原油先物価格は一時76ドル台へ急落。しかし、イラン情勢は不透明であり上昇リスクがくすぶる。米国市場と外為市場では、中東リスクの長期化を意識する動きが続いている。
  • 今晩の2月米CPIに注目。中東情勢が不透明な中でインフレの粘着性を示す内容となれば、S&P500の反落を警戒したい。一方、インフレ懸念が後退すれば反発相場を維持か
  • S&P500の株価指数CFD「米国500」は6700と20日線、どちらをブレイクするかが目先の焦点に。6700を下方ブレイクすれば、今週は6600視野に下落拡大を警戒。一方、20日線ブレイクなら90日線(6870レベル)を視野に上昇拡大が予想される


原油価格急落も上昇リスク消えず

10日の取引でWTI原油先物価格(4月限)は80ドルを割り、76ドル台へ下落する場面があった。原油安の主因は、国際エネルギー機関(IEA)による過去最大規模の石油備蓄の協調放出案だ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10日、IEAが過去最大規模となる1億8200万バレル超の石油備蓄放出を提案したと報じた。実現すれば、2022年にロシアがウクライナに侵攻して以来の協調放出となる。

しかし、イラン情勢はなお不透明であり、原油価格の反発・高止まりの可能性がくすぶる。イラン革命防衛隊(IRGC)は、攻撃が続くなら「原油輸出を一切認めない」と警告。ホルムズ海峡に機雷を敷設し始めたとの一部報道もある(米CNN)。

米エネルギー情報局(EIA)の調査によれば、ホルムズ海峡は世界の石油需要の約2割にあたる日量約2000万バレルが通過する要衝だ。また、世界のLNG貿易の約2割も同海峡を経由している(主にカタール産)※。エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の混乱が長引けば、協調放出に対する期待はすぐに後退しよう。
※EIA:Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint(June 16, 2025)

トランプ米大統領が9日に対イラン軍事作戦について「ほぼ完了」と表明して以降、原油価格の上昇は抑制されている。一方で、イラン最高指導者に選出されたモジタバ・ハメネイ師との交渉について条件付きの姿勢を見せながらも、米国の要求をモジタバ師が拒めば排除を支持すると周辺に伝えたという(WSJ)。また、ヘグセス国防長官は10日、「過去最大級の空爆」に言及した。抗戦の構えを崩していないイランの姿勢も踏まえれば、原油先物価格のボラティリティが高い状態は当面続く可能性がある。

WTI原油先物価格 1時間足チャート:3月6日~10日の動向

WTI原油先物価格 1時間足チャート:3月6日~10日の動向

TradingView提供のチャート


注目の米CPI、インフレ懸念強まれば米株安を警戒

中東リスクはインフレリスクにつながる。この点を意識しているのが米国市場だ。ナスダック100のレポートで述べたとおり、インフレ期待を織り込んで動く米国の10年債利回りは4.1%台で高止まりしている。10日の米株式市場ではナスダック総合指数を除き、主要指数が下落した(詳細は以下のリンク先のレポートを参照)。

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外為市場の動きにも注目したい。イラン戦争が勃発して以降、対G10通貨で概ね米ドル高の状況にある。対カナダドルで米ドル安にある点にも注目したい。カナダは産油国だ。通貨カナダドルが対米ドルで上昇している状況は、原油先物価格と同じく中東リスクのバロメーターとして注視する価値がある。

米ドル高とカナダドル高の共存もまた、トランプ氏の「イラン戦争ほぼ完了」の言葉を市場が額面通りには受け取らず、むしろ長期化する可能性を意識している動きと言える。

米ドル/カナダドル 4時間足チャート:2月以降

米ドル/カナダドル 4時間足チャート:2月以降

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米国500のチャート分析、まずは20日線と6700の攻防に注目

6700ブレイクなら下落拡大を警戒
米国500のトレンドを日足チャートで確認すると、MACDはゼロライン以下での推移が続き、RSIは50を下回る状況にある。10日の市場では20日線がレジスタンスラインとなり相場の反発を止め、日足ローソク足には長い上ヒゲが示現した。これらの状況を踏まえれば、米国テク株100と同じく米国500もトランプ発言で反発基調にはあるが、その勢いは別のネガティブ要因ですぐに反転する可能性を示唆している。1時間足(1H)のADXもこの点を示唆している(25を下回り反発の勢いがない)。

米国500の反落要因として警戒したいのが、今日の2月米CPIだ。中東情勢がなお不透明な状況でインフレの粘着性を示唆する内容となれば、1時間足チャートにまとめたチャート水準の攻防に注目したい。

昨日の反落を止めた6760を下方ブレイクすれば、フィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。6700を挟んで上下に半値戻しと61.8%戻しが展開している。9日~10日の市場ではいずれもサポート・レジスタンスとして意識された経緯があり、かつ昨年11月安値と今年1月高値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準(日足チャート)でもある6700レベルを下方ブレイクする場合は、7日のIG米国株レポートで取り上げた今週の下限予想6600を視野に下落拡大を警戒したい。フィボナッチ・リトレースメント76.4%水準6642の下方ブレイクは、6600をトライするサインとなろう。
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注目のチャート水準:サポート
・6760:サポートライン
・6700:61.8%戻し、上に半値戻し(1H / 6712)、下に61.8%戻し(1H / 6681)
・6642:76.4%戻し(1H)
・6600:下限予想

20日線突破なら90日線が視野に上昇拡大も
トランプ氏の発言で原油先物価格が急落して以降、恐怖指数として知られるVIXの上昇がひとまず一服している。

VXV(3-Month Volatility)との比(レシオ)を確認すると、短期のリスクが強く意識され「1」を上回る(VIX>VXVの)場面が見られた。しかし現在は、0.977へ低下している(VIX<VXVの状況にある)。市場心理の悪化がひとまず収束していることを示唆している。

VIX/VXVレシオの動向:2025年3月以降

VIX/VXVレシオの動向:2025年以降

ブルームバーグのデータを基に作成
※VIX/VXVレシオ:分子VIX、分母VXV
※VXV:CBOE S&P 500 3-Month Volatility Index

中東懸念がさらに後退する新たな材料や2月CPIで米インフレ懸念が後退する場合は、米国500の反発維持が予想される。このケースでは、昨日の上昇を止めた20日線の突破が焦点となろう。これを達成すれば、7日のIG米国株レポートで取り上げた週間の上限予想6870を視野に上昇拡大を想定したい。テクニカルの面では90日線(6875)の攻防が焦点となろう。
注目のチャート水準:レジスタンス
・6875:90日線
・6870:上限予想
・6837:20日線


米国500 日足チャート:昨年11月以降

米国500 日足チャート:昨年11月以降

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米国500 1時間足チャート:3月5日以降

米国500 1時間足チャート:3月5日以降

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