原油価格、高止まりの見通し WTI反発 イランの周辺国攻撃止まず
WTIは95ドル前後で推移。イランによる米国関連のエネルギー施設への攻撃が続いており、トランプ氏の早期撤退発言も市場の不安を抑えられていない。
原油価格が高止まりの兆候を示している。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間18日午前の取引で1バレル=95ドル前後で推移。前日ニューヨーク市場の終値は2営業日ぶりの反発となった。イランは周辺国の米国関連のエネルギー施設への攻撃を続けているとみられるほか、石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡の封鎖解消のめどがたたないことが、原油価格への上昇圧力として働いている。一方、アメリカのドナルド・トランプ大統領はイランからの早期撤退も示唆したが、時期を明示しているわけではなく、原油高を落ち着かせる効果は乏しかったようだ。こうした中、原油先物市場ではWTIの受け渡し期日が先の銘柄でも高値が続いており、当面の間は原油価格の値下がりが見込めない状況とみることもできそうだ。
WTIは95ドル台で推移 値上がり圧力は衰えず
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間18日午前11時13分段階で1バレル=95.00ドルで取引されている。17日のニューヨーク市場の終値は96.21ドルで、2営業日ぶりの反発となっていた。WTIは16日の取引で一時、102.44ドルをつけた後、国際エネルギー機関(IEA)がまとめた石油備蓄放出やホルムズ海峡封鎖の解消を目指す動きへの期待を背景に、16日終値では前週末比5.28%安の93.50ドルまで値下がりしていたが、上昇圧力が衰えたわけではなさそうだ。
イランは周辺国の米国関連エネルギー施設を攻撃か ホルムズ海峡の安全確保も困難
原油高の背景には改善の見通しがたたないイラン情勢がある。ブルームバーグによると、16日にはアラブ首長国連邦(UAE)のシャー・ガス田がドローンによる攻撃を受け火災が発生。シャー・ガス田の運営会社は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)が60%、米国の石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)が40%を保有しており、イランの攻撃の標的になった可能性がある。また米CNNによると、イラクの首都バグダッドでは官公庁や米国大使館がある地区が17日にドローン攻撃を受けたほか、イラン南部のマジュヌーン油田も標的になっているという。米国のプラントエンジニアリング企業KBR(KBR)は2月、マジュヌーン油田での油田管理サービス契約を受注したと発表している。
またホルムズ海峡をめぐる緊張感も緩んでいない。トランプ氏は日本時間18日午前0時台に自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、北大西洋条約機構(NATO)の「同盟国」からイランに対する軍事作戦への参加を拒まれたと言及。「もはやNATOからの支援は必要でもないし、望んでもいない。絶対にだ! 日本やオーストラリア、韓国も同じだ」とした。トランプ氏は14日の投稿では、NATO加盟国のフランスやイギリスに加え、中国と日本、韓国の名前を挙げて、ホルムズ海峡の安全確保のための艦船派遣を要請していた。
トランプ氏は早期撤退に言及 WTIは6月渡しも90ドル超えで原油高長期化か
一方、トランプ氏はイランでの交戦が早期に終わるとの見通しも強調している。17日にはホワイトハウスで記者団に対して、「まだ準備が整っているわけではないが、近く(イランを)去ることになるだろう」と発言。「本当に非常に近い将来だ」と述べた。原油先物市場では、この発言が伝わった日本時間18日午前1時台には、WTIが1バレル=96ドル付近から94ドル台前半まで下がる場面もあったが、トランプ氏が撤退時期を明示しているわけではないこともあり、下落は長続きしなかった。トランプ氏は16日には、イランでの戦争を理由に挙げ、3月31日から4月2日の実施が見込まれていた中国訪問と習近平国家主席との首脳会談を延期することも明かしている。
こうした中、原油先物市場の値動きからは、投資家が原油高の長期化を想定している様子もうかがえる。ブルームバーグのデータでWTIの価格を期日別にみると、受け渡しが6月に行われる先物商品の価格も1バレル=90ドルを超える水準で推移。10月渡しでも80ドル近い水準で取引されている。
仮にホルムズ海峡の封鎖が早期に解消されたとしても、これまでの攻撃で被害を受けた原油インフラの改修や、貯蔵施設の容量の問題から生産を抑えた油田の運転再開には時間がかかるとみられ、中期的には原油の供給不足が原油価格の下落を阻む筋書きも考えられそうだ。
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