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新型コロナウイルス、雇用、原油の三つ巴相場へ

米国ウィークリー2020年4月7日号

Source: Bloomberg
  • 米国株市場は、新型コロナウイルス感染拡大、米国経済に係る雇用の動向、および原油相場の3要素を柱として推移し始めたように見受けられる。
  • 新型コロナウイルス感染拡大の状況は、欧州で新規感染者数および新規死者数とも3月下旬でピークアウトした傾向が示されるなか、米国では4/5の新規感染者数が4/4から減少し、NY州の4/5の新規死者数も4/4から減少した。その一方、米国全体の新規死者数は4/4から増加するなど未だ増加ペースがピークを過ぎたかはっきりしない状況である。株式市場に目を転じると、市場の不安心理を表すとされ、新型コロナウイルスへの不安心理を反映しやすいVIX指数は4/3終値が46.80となり、前週末の終値(65.54)から低下するなど落ち着く方向に向かっている。感染者拡大に関し、3/31にトランプ大統領が「新型コロナとの戦いで非常に厳しい2週間になる」と語る一方、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)が7月上旬に終息した経験から、新型コロナウイルスの動きもある一定程度以上の気温や湿度、紫外線の下で鈍化することへの期待も市場では囁かれている。科学的根拠が十分ではない仮説に対する過度な期待は禁物だろうが、気候の変化が感染拡大に与える影響は注視されるべきものであろう。
  • 4/2に発表された3/28終了週の新規失業保険請求件数が664万8,000件と過去最悪を更新し、4/3に発表された3月の雇用統計では非農業部門の就業者数が前月比70万1,000人と9年半ぶりの減少数となった。失業率は前月比0.9ポイント低下の4.4%に悪化し、米議会予算局より失業率が4-6月に10%を超える見通しが示された。これらは株式市場にとって売り材料と見なされやすいが、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)は4/2終値が前日比470ドル高、4/3終値が前日比361ドル安といった強弱まちまちの推移となった。雇用の減少が現時点は株式市場にとって必ずしも強い懸念材料とは見なされていないのかも知れない。
  • また、4/1にシェール企業のホワイティング・ペトロリアムが原油相場下落に伴う経営悪化を原因として経営破たんするなか、トランプ大統領が4/2にサウジアラビアとロシアによる原油の減産の可能性がある旨をツイート。更に、翌週のOPECプラス緊急会合が開催されることとなったことからWTI原油先物価格が急騰した。生産コストの高い米シェール企業の経営改善には原油相場の回復が必要であり、トランプ大統領が選挙支持基盤のエネルギー業界へ配慮することが期待される。原油価格の上昇は米国株市場を押し上げる要因と考えられよう。


S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/3現在)

■主な企業決算の予定

●4月13日(月): デルタ航空、ファースト・リパブリック・バンク

■主要イベントの予定

●4月7日(火)

・米求人件数 (2月)、消費者信用残高 (2月)

●4月8日(水)

FOMC議事要旨

●4月9日(木)

米債券市場、午後2時までの短縮取引

・米新規失業保険申請件数 (4日終了週)PPI (3)、卸売在庫 (2月)、ミシガン大学消費者マインド指数 (4)

●4月10日(金)

・グッドフライデー(聖金曜日)の祝日で欧米・香港市場休場

・米CPI (3)

●4月12日(日)

・復活祭 (イースター)

(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)



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