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ユーロ円、ユーロ高に息切れ 186円台から転落 為替介入への警戒も

ユーロ円相場は為替介入への警戒で最高値付近から転落。ECBはユーロ高への警戒もにじませており、ユーロ高の勢いは衰えている。

ユーロ円、ユーロ高に息切れ 186円台から転落 為替介入への警戒も 出所:Adobe Images

ユーロ円相場でのユーロ高が息切れしている。ユーロ円相場は日本時間9日昼の取引で1ユーロ=185円台で推移。早朝につけた186円台前半からユーロ安が進んだ。8日投開票の衆議院選挙で自民党が歴史的な大勝を収めたことがユーロ高要因とみなされた一方、日本政府による為替介入への警戒が相場をユーロ安方向に動かした結果だ。また欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は5日の理事会後の記者会見で、ユーロ高がユーロ圏経済に悪影響を及ぼすことを懸念する姿勢もちらつかせており、FX市場でのユーロ安を促した側面もある。このところはECBの追加利下げの可能性が出ていることもユーロ安要因だといえる。ただ、高市早苗首相の積極財政が日本の財務の健全性を損ねるとの見方は消えておらず、円安材料として改めて注目を集めかねない。ユーロ円相場の今後の見通しは、ユーロ安の流れと円安の流れが拮抗する展開も考えられそうだ。

ユーロ円は185円台 最高値付近からのユーロ安が進行

ユーロ円相場(EUR/JPY)は日本時間9日午前12時32分段階で1ユーロ=185.49円で取引されている。ブルームバーグによると、午前5時台には186.36円をつけ、1月23日につけた史上最高値の186.87円に向けたユーロ高がみられたが、勢いは続かなかった。

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事の値動きのグラフ

衆院選での自民大勝で円安進行 三村財務官発言で為替介入への警戒高まる

ユーロ円相場で朝方にユーロ高が進んだ要因は衆院選での自民党大勝を起因とする円安だ。自民党は衆院選で316議席を確保し、単独で定数(465議席)の68%を獲得。ひとつの政党が単独で衆院の3分の2を超える議席を確保するのは戦後初だ。衆院を通過した法案が参議院で否決されても、衆院が再可決できるだけの勢力を持ったことで、高市氏の政策の推進力が増した。高市氏の積極財政路線は金融市場では円安材料とみなされており、ドル円相場(USD/JPY)は9日午前5時台には1ドル=157.76円をつけ、1月23日(159.23円)以来の円安水準となった。

一方、こうした円安の流れは長続きしなかった。FX市場では1月23日に日米が共同で円安阻止の介入を検討しているとの見方が出たことや、ドナルド・トランプ大統領が円安を批判したことで、「米国がドル安を望んでいる」との見方が拡大。高市氏の動向を材料視した円安圧力は衰えている可能性がある。さらに衆院選を受けた9日朝には、財務相の三村淳財務官が記者団に対して為替動向について「高い緊張感をもって注視する」と発言。FX市場では為替介入への警戒が強まり、ドル円相場は一時、156.22円まで円高に振れている。

ECBはユーロ高の進行を警戒か ラガルド氏が物価上昇率下押しの可能性に言及

また、ユーロ円相場でユーロ高にブレーキがかかった背景にはECBがこれ以上のユーロ高を望んでいないとの観測もありそうだ。ブルームバーグによると、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は米国がドル安を望んでいるとの見方が強まっていた1月27日には一時、1ユーロ=1.2081ドルをつけ、2021年6月16日(1.2135ドル)以来、4年7か月ぶりのユーロ高水準に到達。ラガルド総裁は2月5日の理事会後の記者会見で為替相場について議論したことを認め、「ユーロ高の進行は物価上昇率を現在の想定を超えて低くする可能性がある」と述べた。

ユーロ、円、ポンド、豪ドルの対ドル相場の推移のグラフ

実際、ユーロ圏の物価上昇率は低下が続いている。欧州連合(EU)統計局が4日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数で前年同期比1.7%となり、12月の2.0%から大きく低下。食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数では2.2%となり、やはり12月の2.3%よりも小さくなった。コア指数の伸び率はブルームバーグがまとめた市場予想(2.3%)を下回っている。ラガルド氏は物価上昇率の水準について、中期的な安定目標とする2.0%に沿った水準だとの見方を示しているが、今後の見通しについては「いつにも増して不確実性が高い」との立場もとっている。

ユーロ圏の消費者物価指数の伸び率の推移のグラフ

ECBに年内追加利下げの可能性 高市円安の再燃ならユーロ円は膠着か

ECBは今回の理事会で5会合連続で政策金利を維持。ユーロ高の背景となっていた「利下げ打ち止め」の姿勢を崩していない。しかし金融市場では年内に追加利上げがあるとの見方もじわじわと広がる始めているようだ。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月理事会後の政策金利(中銀預金金利)の水準は9日午前12時32分段階で1.876%となっており、12月までの利下げ確率は23%だ。ECB次期総裁として名前が挙がるイザベル・シュナーベル理事が「次の金利の動きは利上げになると予想している」と述べた2025年12月までの状況とは様相が異なっている。

ECBの政策金利の見通しの推移のグラフ

ただ、衆院選で大勝した高市氏の積極財政が改めてFX市場での注目を集めれば、ドル円相場での円安が再進行する可能性は残っている。これと同時にユーロ高の息切れ感が強まることになれば、ユーロ円相場は史上最高値付近で横ばいの値動きとなる筋書きもありえそうだ。


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