ドル円、高市円安進むか否か 衆院選自民大勝も 米国経済は円高要因
ドル円相場は156円台で円安に歯止め。米国の労働市場の弱さが要因で、衆院選で自民党が大勝した際の値動きは今後の見通しを占うことになる。
ドル円相場での円安の流れが転換期を迎える可能性が出てきた。ドル円相場は日本時間6日午後の取引で1ドル=156円台で推移。高市早苗首相の発言がきっかけとなって157円台前半まで進んだ円安に歯止めがかかっている。アメリカで5日に発表された労働市場関連の経済指標が弱かったことが円高圧力となったためで、今後の経済指標次第で、さらに円高の流れが強まる可能性もある。一方、ドル円相場では8日投開票の衆議院選挙への関心が高く、高市氏が率いる自民党が大勝した場合、改めて円安圧力が強まる展開もありえる。ただ、米国の労働市場の弱さという新たな材料が意識される中、自民党が大勝した場合でも円安が大きくは進まない可能性もあり、9日のドル円相場の動きは今後の流れを占う重要性を持ちそうだ。
ドル円相場は156円台 高市発言後に進んだ円安に歯止め
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間6日午後4時14分段階で1ドル=156.70円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は日米が協調して円安是正に取り組むとの思惑などから1月28日に152.10円まで円高が進んだ後、1月31日に高市氏が川崎市内で行った演説が円安を望んでいると受け止められ、5日には157.34円まで円安に戻していた。6日午後の値動きは円安進行に歯止めがかかったといえる水準だ。
米国の労働市場悪化でFRBの利下げ見通しが深まる 11日の1月雇用統計が焦点に
円安にブレーキをかけたのは米国の労働市場の弱さだ。5日に発表された2025年12月の雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が654.2万件となって、新型コロナウイルス感染拡大期にあたる2020年9月(651.1万件)以来の少なさだった。ブルームバーグがまとめた市場予想の725.0万件も大きく下回っている。
米国の労働市場の弱さを受け、5日の金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが強まった。ブルームバーグによると、ドナルド・トランプ大統領から次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏にとって最初の連邦公開市場委員会(FOMC)となるとみられる6月会合後の政策金利の水準は、5日段階で3.359%と見積もられており、前日段階から0.101%ポイント低下した。6月までの利下げ確率は64%とみられており、米国の金利の先安観が円高要因となっている。ウォーシュ氏には金融緩和に慎重な「タカ派」としての側面もあることから、トランプ氏による指名後、6月までの利下げ確率は44%程度まで下がる場面もあった。
また、米国の労働市場をめぐっては、11日に1月雇用統計の発表が予定されている。雇用統計で示される失業率は、11月のデータで4.5%まで上がった後、12月のデータでは4.4%に低下。FRBのジェローム・パウエル議長は1月28日のFOMC後の記者会見で、「状況が安定しつつあるのかもしれない」としていたが、1月の失業率が改めて悪化すればドル円相場での円高圧力として働く可能性がある。
衆院選での自民党大勝の場合の値動きは? 高市円安の効果は減衰か
一方、ドル円相場では、8日投開票の衆院選が円安圧力として注目される可能性もある。衆院選の終盤情勢をめぐっては、日本メディアから「自民党が単独過半数の勢い」「自民と日本維新の会の与党で300議席超をうかがう」といった分析が相次いでいる。こうした予想通りに自民党が大勝すれば、高市政権発足のきっかけとなった10月3日の自民党総裁選後と同様に、積極財政路線が財務の健全性を損なうとの見方がドル円相場を円安方向に動かす展開も考えられそうだ。
ただ、高市氏の動向を材料視した円安圧力はすでに衰えている可能性もある。日本時間の1月28日から2月5日にかけて152円台から157円台まで進んだ円安のきっかけは、高市氏が31日の演説で円安について「輸出産業にとっては大チャンス」「外為特会っていうのがあるんですが、これの運用、今ホクホク状態です」と述べたこと。ただ、5円もの円安が進む中、FX市場では、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)やユーロの対ドル相場(EUR/USD
)、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)もドルに対して安くなっており、高市氏の発言だけが原因で大きく円安が進んだとはいえなさそうだ。
ブルームバーグによると、各通貨の対ドル相場の5日のニューヨーク市場の終値を1月27日終値と比較すると、円が3.08%の円安に動くと同時に、ポンドは2.30%のポンド安、ユーロは2.19%のユーロ安、豪ドルは1.20%の豪ドル安となっている。
トランプ氏の動向は円高要因 衆院選後の円安の流れは弱い可能性も
こうした高市氏の発言が生む円安効果の弱まりの背景には、トランプ氏の動向がありそうだ。トランプ氏は27日に日本や中国が通貨を切り下げていると批判し、円高が152.10円まで進むきっかけを作っていた。トランプ氏の発言は、金融市場での「米国売り」懸念を強め、スコット・ベッセント財務長官が「強いドル政策」を支持して火消しに入る展開となったが、米国の労働市場の弱さが意識され始める中、ドル円相場では「トランプ氏が円高を望んでいる」との根強い見方が高市円安の効果を抑え込んでいる可能性がある。
このため衆院選で自民党が大勝した場合でも、9日のドル円相場では大きく円安が進まない展開も考えられる。逆に円安が大きく進んだ場合には、ドル円相場で高市円安の筋書きが支持されていることが裏付けられるが、11日の1月雇用統計への警戒もあって勢いが長続きしないことも想定されそうだ。
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