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米国株、雇用統計で波乱の恐れ S&P500に不安 エヌビディア続伸

S&P500は9日に続伸したものの、大手ハイテク株への不安は消えていない。11日の雇用統計で労働市場が悪化すれば、株価の逆風になる恐れがある。

米国株、雇用統計で波乱の恐れ S&P500に不安 エヌビディア続伸 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の先行きに不安が拭えない。S&P500種株価指数の9日の終値は前週末比0.47%高で、最高値を視野に入れる値動き。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中では、半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)が2営業日続伸で合計10%超高となるなど、買い戻しが入っている。ただ、大手ハイテク各社の株価は2025年10-12月期決算発表後の急落の傷が深く、本格回復には至っていない。各社の設備投資負担の重さを背景に、投資家の不安心理は悪化したままで、株価の見通しが晴れ渡っているとはいえなさそうだ。こうした中、株式市場の関心は11日に発表される1月雇用統計に向かう。このところの値動きでは労働市場の弱さが株価下落につながるケースが目立つだけに、雇用統計が想定外の悪化を示してS&P500に波乱が起きる可能性もありそうだ。

アメリカのS&P500は最高値から0.20%安 エヌビディアは続伸で10%超上昇 

S&P500(SPX)の9日の終値は6964.82。6日の1.97%高に続く値上がりとなった。1月27日の最高値(6978.60)からは0.20%安となっている。S&P500は28日の取引時間終了後から始まった大手ハイテク各社の決算発表が嫌気されたことや、AI開発企業のアンソロピックのサービス機能強化が既存のソフトウェア企業の収益を削るとの懸念から5日には最高値から2.58%安まで下落していたが、落ち着きが戻ったようだ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

S&P500への影響度が大きい大手ハイテク7社の9日の値動きでは、エヌビディア(NVDA)が前週末比2.50%高。2日続伸の間に合計10.57%高となった。このほか9日にはマイクロソフト(MSFT)が3.11%高、メタ・プラットフォームズ(META)が2.38%となるなど、7社のうち5社の株価が値上がりしている。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラ、アップル、マイクロソフト、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

マグニフィセント・セブンの勢いは戻らず アルファベットは200億ドルの社債発行

ただ、大手ハイテク株の勢いが戻ったとの判断は時期尚早といえそうだ。エヌビディアは1月30日から2月5日までの5営業日続落で合計10.72%安を記録しており、6日からの続伸はこのマイナスを取り戻したに過ぎない水準。また、アマゾン・コム(AMZN)の9日の終値は大手ハイテク各社の決算発表前の1月27日終値との比較で14.70%安となっている。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)の9日の終値は、28日終値との比較で3.62%安に沈んだままで、S&P500の足を引っ張っている。

マグニフィセント・セブン指数の推移のグラフ

大手ハイテク各社は10-12月期決算発表に際し、AI関連の設備投資負担の重さが不安視され、S&P500の重荷となった。アマゾン、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト、メタの4社は2026年の設備投資額が合計6800億ドルにのぼる可能性がある。このうちアルファベットは2026年の設備投資額が1750億-1850億ドルになると見通し。ブルームバーグによると、アルファベットは9日にドル建て社債で200億ドルを調達するという。アルファベットは11月にもドル建て社債(175億ドル)とユーロ建ての社債(65億ユーロ)を発行済みで、巨額のAI関連投資を賄うために外部からの資金調達に頼る構図が強まっている。

投資家心理は悪化 VIX指数の上昇傾向は崩れず

大手ハイテク株をめぐる不安は投資家心理を暗くしているようだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の9日の終値は17.36。前週末よりも2.25%低いとはいえ、12月24日につけていた13.47からの上昇傾向が感じられ、投資家が2026年の株価上昇への期待を弱めている様子がうかがえる。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。

S&P500とVIXの推移のグラフ

1月の雇用統計は堅調な結果の見通し 期待外れならS&P500は下落で反応か

こうした中、株式市場では11日午前8時30分(日本時間11日午後10時30分)に発表される1月雇用統計に注目が集まる。ブルームバーグがまとめた事前予想によると、非農業部門の就業者数は前月比6.8万人増となり、前月の5.0万人増から伸びが大きくなる見通し。失業率は前月と同じ4.4%が予想されている。また、平均時給の伸び率は前年同月比3.7%となり、前月(3.8%)よりも低くなる見込みだ。こうした予想通りの結果となれば、労働市場の堅調さが確認され、S&P500にとっての追い風となる。

アメリカの雇用統計の推移のグラフ

一方、発表される結果が労働市場の弱さを示せば、S&P500が下落で反応することになりそうだ。米国の労働市場をめぐっては、民間雇用サービス会社ADPが4日に発表した1月の就業者数が市場予想を下回る結果となり、この日のS&P500は前日比0.51%安。5日発表の12月雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が5年3カ月ぶりの低さだった際も、S&P500は1.23%安となっている。

労働市場の悪化はFRBの追加利下げ見通しを強める要因とはいえ、AIブームの継続性をめぐる懸念を和らげるほどの効果を生むわけではななさそうだ。大手ハイテク株への期待が薄れていく中、S&P500は悪材料による波乱が起こりやすくなっているとみることもできる。


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