原油価格、上昇再加速か イラン情勢緊迫 WTIは66ドル超えも
WTIは63ドル台後半で推移。米国とイランの軍事衝突の可能性が材料視されている。さらに事態が進展すれば、上昇が再加速する可能性がある。
原油価格に上昇圧力がかかり続けている。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間4日昼までの取引で1バレル=63ドル台後半で推移。3日夕方の61ドル台前半から大きく値上がりしている。アラビア海に展開しているアメリカ軍がイランのドローンを撃墜したと伝わり、地政学リスクの強まりが意識された。一方、WTIの値動きをめぐっては、ドル高の可能性が金価格と連動した下落につながっていたほか、ドナルド・トランプ大統領がイランとの核協議継続の姿勢も示していることも、上昇を落ち着かせる要因だといえる。ただ、イラン国内での政情不安が続く中、米国とイランの軍事衝突のシナリオが浮上していることは投資家心理を大きく揺らしており、WTIの上昇が直近の高値である66ドルを超えて勢いづく可能性もありそうだ。
WTIは4日に一時64ドル台 半日で3ドル上昇
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間4日午前12時13分段階で1バレル=63.62ドルで取引されている。午前5時台には64.21ドルを付ける場面もあり、3日午後6時台の61.12ドルとの比較では半日で3ドル超の上昇をみせたことになる。
米軍がイランのドローンを撃墜 1月下旬には5か月半ぶりの66ドル台を記録
原油価格を上昇させたのはイラン情勢の緊迫だ。ブルームバーグによると、米中央軍司令部は3日、アラビア海を航行中の米空母エイブラハム・リンカーンに接近したイランのドローンを米軍の戦闘機が撃墜したと発表。米国とイランの軍事的な衝突が激化する可能性が、中東からの原油供給を混乱させるとの懸念を膨らませた。
WTIは1月上旬までは1バレル=60ドルを割り込む水準だったが、イラン国内でのデモ活動の高まりを受け、トランプ政権による軍事介入の可能性が浮上すると、1月14日に2カ月ぶり高値にあたる61ドル台まで上昇。トランプ氏はその後もイランへの圧力を強め、28日には自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、米国が1月2日にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を軍事作戦の末に拘束したことを引き合いに出したうえで、「巨大艦隊」がイランに向かっていると表明。必要であれば「素早く暴力的な手法で米国としての使命を迅速に達成する用意がある」とし、イランに核開発の放棄を迫った。ブルームバーグによると、WTIは29日には66.48ドルを付け、2025年8月6日(66.75ドル)以来、5か月半ぶりの高値を記録している。
WTIはドル高観測で金と共に下落 イラン情勢の外交解決の可能性も値下がり要因
一方、WTIが29日の66ドル台から2月3日の61ドル台まで下落していた要因は、30日以降に急落した金の値動きにつられた面がありそうだ。トランプ氏が1月30日に連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長候補として、金融緩和に慎重な「タカ派」の一面もあるケビン・ウォーシュ元理事を指名したことが、ドル高を意識させる商品価格の下落要因だとみられていた。ブルームバーグによると、金のスポット価格が13.28%下落した30日と2月2日の週末を挟んだ2営業日で、WTIも合計5.01%下落している。
また、イラン情勢をめぐっては本格的な軍事衝突が回避される可能性があることも、原油価格の上昇にブレーキをかける要因だ。ブルームバーグによると、トランプ氏は3日、記者団に対してイランとの交渉が継続中であることを指摘。イランのアッバス・アラグチ外相は、イラン側も事態の外交的な解決の容易があるとしている。6日にはトルコで、アラグチ氏と、米国のスティーブ・ウィトコフ特使らとの協議が開かれる予定だという。
イランの国内情勢は依然不安定 米国が軍事攻撃ならWTIは66ドルを超える上昇も
ただ、原油先物市場では今後もトランプ氏がイランへの軍事介入を決断するシナリオが意識されそうだ。トランプ氏は2025年6月にはイランの核施設への攻撃を実行したうえで、SNSへの投稿でイランの政治体制の転換を望む考えを示唆。今回もイランへの軍事攻撃を決断する可能性がある。
同時にイラン国内での政情不安も原油供給不安を連想させる原油価格の上昇要因といえる。米国に拠点を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー(HRANA)」は3日、デモに関連したこれまでの死者数は6872人にのぼり、逮捕者は5万0553人に達していると報じている。イラン政府による市民の逮捕が進む中でも、イラン各地では学生集会や死者への追悼イベントが開かれているという。ロイターは2日、イラン政府高官らの話として、イラン指導部は反政府デモが再燃すれば政権が揺らぎかねないと強く懸念していると報じた。
このため今後、実際に米国とイランの軍事衝突やイラン国内の反政府デモの強まりが報じられるなどすれば、原油価格に強い上昇圧力がかかる可能性がある。WTIは米国がイランの核施設を攻撃した2025年6月には、月初めの61ドル台から23日の78.40ドルまで上昇したこともあるだけに、足元の値動きでも直近の高値である66ドルを超える値動きが進むことも考えられそうだ。
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