原油価格、イラン情勢で緊迫 WTIが64ドル台 ホルムズ海峡に不安
WTIは64ドル台で前週末から上昇。ホルムズ海峡危機の恐れが材料視された。イラン情勢をめぐる混乱は今後も下落圧力としての強さを維持しそうだ。
原油価格をめぐる緊張が続いている。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間10日の取引で1バレル=64ドル台で推移。62ドル台から再浮上した。アメリカ政府が9日にイラン南岸のホルムズ海峡を航行する船舶に安全上の注意を促したことが要因だ。米国のドナルド・トランプ大統領はイランの国内情勢の混乱を機に、イランに核開発の放棄を迫る圧力をかけており、今後も原油価格への上昇圧力として働くとみられる。一方、米国とイランが問題の外交解決を模索していることは原油価格の下落を意識させる材料。また、米エネルギー情報局などは10日以降、相次いで原油市場に関する短期見通しを発表する予定で、原油の過剰供給が注目されれば、原油価格が下押しされる可能性もある。ただ、イラン情勢の早期解決は見込みにくく、原油価格は値上がりしやすい状況にあるといえそうだ。
WTIは64ドル台で推移 原油価格への上昇圧力が再燃
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間10日午後4時28分段階で1バレル=64.23ドルで取引されている。ブルームバーグによると、WTIは日本時間5日未明に65.53ドルまで上昇した後、6日夜には62.20ドルまで下落する場面もあった。足元の水準は改めて原油価格への上昇圧力が強まったことを意味する。
アメリカ政府がホルムズ海峡通過船舶に勧告 原油価格値上がりの要因に
10日の原油価格上昇はホルムズ海峡危機が意識されたことが要因。米国運輸省は9日の海事勧告で、ホルムズ海峡を通過する米国の民間船舶に対して「可能な限りイランの領海から離れる」よう促した。ホルムズ海峡はイランの南岸に位置する原油や石油製品の重要な輸送ルート。米エネルギー情報局(EIA)がまとめた2023年のデータによると、日量2090万バレルの石油が通過し、世界の石油海上輸送の27%程度を占めている。ホルムズ海峡で有事となれば、石油の供給不足が原油価格の上昇につながるとの筋書きが注目されそうだ。
イラン情勢は、1月にイラン各地で物価上昇に抗議するデモが起きて以降、不安定化。トランプ氏は28日にはイランに巨大艦隊が向かっているとし、必要があれば軍事的に介入する用意があることを示唆した。米中央軍司令部は2月3日、アラビア海を航行中の空母エイブラハム・リンカーンに接近したイランのドローンを米軍の戦闘機が撃墜したと発表している。トランプ氏はイランに対して核開発の放棄を求めており、今後も米国とイランの関係悪化を思わせる進展が出れば、WTIはさらに上昇するとみられる。
米国とイランは外交協議を継続 原油過剰供給見通しも価格下落要因に
一方、米国とイランの間で外交協議が進められていることは原油価格の下落材料だ。6日には両国がオマーンの首都マスカットで間接的に協議。ブルームバーグによると、イランのアッバス・アラグチ外相は協議後、「よい立ち上がりになった」と話し、今後も話し合いを継続する意向を示している。トランプ氏も6日夜、記者団に対して協議について「非常に良好」と発言。WTIが62ドル台まで値下がりするきっかけを作った。
また原油価格にとっては引き続き、原油の過剰供給という下落圧力もかかり続けている。EIAは10日に2月の短期エネルギー見通し(STEO)を発表する予定で、過剰供給の継続が注目されれば、原油価格は下押しされることになりそうだ。EIAは1月13日に発表した前回のSTEOで世界の石油市場について、2027年まで一貫して生産が需要を上回るとの見立てを示していた。このほか11日には石油輸出国機構(OPEC)が2月の月報を発表。国際エネルギー機関(IEA)も12日に月報を発表する。
米国とイランの協議は難航必至 原油価格は値上がりしやすい状況
ただ、原油価格にかかる上昇圧力は当面の間は強さが維持されそうだ。イランはこれまでの協議でも核開発の放棄への合意を拒んでおり、交渉が長引くにつれて米国からイランへの圧力が増す展開が想定される。EIAなどが原油過剰供給が拡大するとの見通しを示したとしてもイラン情勢への懸念が勝る可能性があり、トランプ氏が6月にイランの核施設への攻撃に踏み切った経緯もあいまって、今後も原油価格が上昇しやすい状況が続くとみられる。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。