アーム、株価急落継続の恐れ 成長減速見通し スマホ市場にも懸念
アームの10-12月決算発表を受け、時間外取引での株価は一時13%急落。2四半期連続での成長減速見通しが嫌気されている。
英半導体大手のアーム・ホールディングスが4日に行った2025年10-12月期決算発表は株価の急落につながった。アームの発表内容は、10-12月期の実績に加え、2026年1-3月期の見通しでも市場予想を超える結果。ただ、業績見通しは2四半期連続で総収入の成長が減速するという絵姿になっており、投資家は満足しなかったようだ。アームの株価は4日の時間外取引で一時13%超値下がりする場面もあった。アームの半導体技術は半導体の電力効率を高める点が評価されており、半導体メーカからの需要は強い。一方、人工知能(AI)ブームによる半導体不足はスマートフォンの販売減少につながる可能性があり、アームの収入にとって逆風になるとの懸念がある。アームの株価は最高値から4割超下落しており、さらに値下がりの余地があるともいえそうだ。
アームの2025年10-12月期決算は増収増益 伸び率は減速
アームの10-12月期決算は総収入が前年同期比26.3%増の12.42億ドルで、前四半期(7-9月期)の34.5%増から成長が鈍化。また調整ベースの1株当たり利益(EPS)は10.3%増の0.43ドルで、やはり前四半期(30.0%増)よりも伸び率が小さくなった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が12.29億ドル、1株当たり利益が0.41ドル。発表された結果はいずれも市場予想を上回ったが、総収入と利益の伸び悩みが示されたといえそうだ。
アームは1-3月期の見通しでも成長減速 株価は時間外取引で一時13%安
またアームが決算発表と合わせて示した業績見通しも低調だった。アームが示した1-3月期の総収入の見通しは14.70億ドル前後で、前年同期比18.5%増の水準。10-12月期から成長がさらに鈍化することになる。1-3月期の1株当たり利益は0.58ドルの見通しで、伸び率は5.5%増でしかない。ブルームバーグがまとめた市場予想の総収入14.53億ドル、1株当たり利益0.56ドルは超えたとはいえ、高い成長性を示したとは言い難い水準だ。
このためアームが米国で上場する米国預託証券(ADR)の株価(ARM)は4日の時間外取引で急落。ブルームバーグによると、一時、90.76ドルをつけ、直前の終値(104.90ドル)から13%超の値下がりとなった。その後も7%安程度での取引が続いた。
半導体の省電力化技術に強い需要 スマホ出荷減少ならロイヤルティ収入に悪影響
アームの1-3月期の業績は収益の2本柱がともに冴えない結果になりそうだ。ジェイソン・チャイルドCFOは4日の決算会見で、1-3月のライセンス収入の前年同期比伸び率について10%台後半との見通しを提示。ロイヤルティ収入については10%台前半だとの予想を示した。10-12月期はライセンス収入が前年同期比25.3%増、ロイヤルティ収入は27.1%増だっただけに、いずれも大きく成長が減速することになる。
このうち顧客企業との間でアームの技術を用いた半導体製造の契約を結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入は大型契約が結ばれるタイミングによって収入がぶれやすい。1-3月期の伸び率はマレーシア政府との大型複数年契約が決まった2025年1-3月期との比較になるため、伸び率が抑えられる側面がありそうだ。アームの技術は半導体の省電力化を実現する効果が大きく、ルネ・ハースCEOは4日の決算会見で「付加価値の高い次世代技術でライセンス契約を結ぶトップクラス企業が増えている」として中期的な見通しに自信を示した。
一方、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収益に応じて受け取るロイヤルティ収入はスマホ市場での逆風の余波を受ける可能性がある。半導体市場ではメモリ半導体大手がAI向けの最先端製品の生産に注力していることから、スマホなどに用いられる汎用メモリ半導体の品不足が生じている。アームのロイヤルティ収入はスマホ向け半導体からの収入が多くの比率を占めていて、スマホの出荷台数が落ち込めば、アームの収入に悪影響が及ぶことは避けられない。
株価は最高値から43%下落 さらなる値下がりの可能性も
こうした懸念に対して、チャイルド氏は4日の決算会見でスマホ市場の悪化が業績に与える影響を認めつつも、大きな影響が出るわけではないとの見方を示した。チャイルド氏は、スマホメーカーはメモリ半導体不足が進む中でも高付加価値製品の生産を維持しようとしていると指摘。アームは高付加価値製品の販売から多くのロイヤルティ収入を得られる契約になっているため、販売台数の減少がそのまま収入の減少として現れるわけではないとした。チャイルド氏は、来年のスマホ出荷台数が20%減ったとしても、ロイヤルティ収入全体には「1-2%の悪影響」が出るにすぎないとした。1-3月期のロイヤルティ収入の成長が鈍化する理由については「季節性」を挙げている。
ただ、アーム自身が1-3月期の成長減速を見込んでいることに変わりはなく、株価には今後も下押し圧力が働きそうだ。アームの株価は2024年7月10日につけた最高値(186.46ドル)から4日終値までに43.74%下落。ドナルド・トランプ大統領の相互関税発表をめぐって世界の株式市場が混乱していた2025年4月8日につけた85.82ドルにむけて値下がりが続く可能性もありそうだ。
また、アームの株価にとっては発行済株式の90%を保有するソフトバンクグループ(9984)がアームの株式を売却するとの観測も不安材料だ。ハース氏は4日の決算会見で、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長から直接聞いた話として「孫氏はアームの株を1株であっても売ることに関心はない」と述べたが、投資家の不安がくすぶり続ける可能性もある。
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