製薬会社のワクチン開発 モデルナも接種に前進、アンジェスなど国内勢は?

(12月1日更新)コロナワクチンの開発が接種まであと一歩のところまで進んだ。以下ではファイザーやモデルナなどの欧米の主要プレーヤー、さらにアンジェスを含む国内勢の開発の進捗状況をまとめた。

【更新情報(12月1日)】
モデルナのワクチン開発の進捗について更新しました。
各企業の時価総額を更新しました。

新型コロナウイルス向けワクチンの開発が接種まであと一歩のところまで進んでいる。以下ではファイザーやモデルナなどの欧米の主要プレーヤー、およびアンジェスを含む国内勢の開発の進捗状況をまとめた。


モデルナ

第3相臨床試験・最終分析

米国のモデルナはメッセンジャーRNA(リボ核酸)と呼ばれる遺伝子の一種を人工的に作成して免疫反応を引き起こす仕組みのワクチンを米国立衛生研究所(NIH)などと共同で開発する。

これまでに臨床試験(治験)で得られたデータの分析により、ワクチンは94.1%の有効性があるとの結果を11月30日に発表した。

それによると、3万人を超える治験対象者のうち、半数にワクチンを投与し、残りの半数にはプラセボ(偽薬)を与えた。そのうち新型コロナに感染した196例を調べたところ、185例がプラセボの投与者でワクチン接種者は11例だった。重症化した30例は全てプラセボの投与者という。

11月16日の中間分析の発表の際には94.5%の有効性が確認できたとしていた。


モデルナは11月30日、米食品医薬品局(FDA)にワクチンの緊急使用許可を申請した。申請はファイザーに続き2社目となる。FDAは17日に第三者委員会で審議し、ワクチンを承認する見通し。早ければ今月中旬にも接種が始まる可能性がある。

同社は欧州連合(EU)の規制当局にも条件付き販売許可を申請する予定。


米国向けに年内に約2000万回分のワクチン供給が準備できるという。来年には5億~10億回分のワクチンを供給できる見通し。

日本政府は来年秋までに2500万人分の供給を受ける契約を結んでいる。このうち2000万人分は来年1~6月に供給されることになっている。

モデルナのワクチンはセ氏マイナス20度の環境で最大6カ月の保管が可能。また通常の冷蔵庫で温度管理可能な2~8度では最大30日の保管が可能となる。

モデルナの時価総額は約6兆3050億円。

ファイザー

第3相臨床試験・最終分析

米国のファイザーは、モデルナと同様にメッセンジャーRNAの技術を用いたワクチンをドイツのビオンテックと開発している。

ファイザーは11月18日に第3相臨床試験の最終分析での予防効果が95%に達したと発表した。

治験に参加した約4万4000人のうち170例の新型コロナ感染者を分析したところ、ワクチン接種者は8例にとどまった。うち重症は1例という。残りの162例はプラセボ接種者で、このうち9例は重症だった。


英フィナンシャル・タイムズ(FT)は11月28日、英政府が近くファイザーのワクチンを緊急承認する方針であり、早ければ12月7日にも接種が始まると伝えた。英国はファイザーのワクチンを認可する最初の国になる可能性が高い。英政府は同ワクチンを4000万回分調達する契約を結んでいる。

米国では11月20日にFDAにワクチンの緊急使用許可を申請した。FDAは12月10日に同ワクチンの承認に関する有識者会合を開く見通し。米政府でワクチン開発を指揮するチームのモンセフ・スラウイ首席顧問は11月22日、承認から24時間以内には各州へのワクチンの輸送が始まるだろうと語り、12月11日にも接種が始まるとの見通しを示した。


ファイザーのワクチンはセ氏マイナス60~80度の環境で最大6カ月の保管が可能。コールドチェーン(低温物流)の確立がカギとなる。2~8度では最大5日の保管が可能だ。

年内に5000万回分、来年には最大13億回分の生産が可能としている。日本政府は来年6月末までに6000万人分の供給を受けることで合意している。

日本への供給分は空輸される見込み。ワクチンの専用容器は、ドライアイスと温感センサーを使い、マイナス70度の温度を維持する。全地球測位システム(GPS)で事前に計画した通りの輸送経路をたどっているかを確認し、品質保持に努める。日本当局と到着後の流通方法について今後調整するという。

ファイザーの時価総額は約22兆2150億円。

アストラゼネカ

第2/3相臨床試験・中間分析

英国のアストラゼネカウイルスベクター(アデノウイルス)を用いたワクチンを英オックスフォード大学と開発する。

11月23日、第2/3相臨床試験の中間分析で平均70%の効果が確認されたと発表した。これは世界で最大6万人を対象に行われる治験のうち、英国とブラジルでの暫定的な結果という。

それによると、最初に1回分の半分の量を投与し、1カ月後に1回分を追加したグループ(約2700人)で90%の効果を確認。一方、2回分を1カ月おきに投与したグループ(約8900人)は62%。平均では70%の効果を確認した。


しかし、その後に90%の効果があったグループについて、本来は最初に1回分を投与する過程を、誤って半分の量を投与していたことが分かったという。アストラゼネカは追加治験を実施し、投与量が少ない方が効果が出たことについて確認するという。

さらに、ワクチンの開発促進を目指す米トランプ政権の「ワープ・スピード作戦」の責任者は、90%の効果を確認したグループの年齢は55歳以下だったとして、高齢者への有効性に疑問を呈している。同社は年齢別の有効性についても検証するという。

第3相臨床試験の最終結果は12月末までに判明するとしている。


アストラゼネカのワクチンは通常の冷蔵庫で保管が可能という。日本政府は6000万人分の供給を受けることで合意している。このうち1500万人分を来年3月にかけて受け取る予定。

アストラゼネカの時価総額は約14兆1940億円。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)

米国のJ&Jは、アストラゼネカと同様にウイルスベクター(アデノウイルス)を用いたワクチンを開発しており、約6万人を対象とする大規模な第3相臨床試験を行う。

原因不明の疾患の発生を受けて、10月に治験を一時中断したが、これまでに再開している。

J&Jのワクチンは1回の投与で効果を出すことを目指している。

J&Jの時価総額は約39兆7130億円

アンジェス

第2/3相臨床試験・開始予定

創薬ベンチャーのアンジェス<4563> は大阪大学と共同でDNAワクチンを開発している。

アンジェスは11月20日、治験施設における治験審査委員会(IRB)において審議・承認されれば、第2/3相臨床試験を開始すると発表した。

アンジェスの発表によると、第2/3相臨床試験の期間は2020年11月~22年3月。接種は21年3月ごろに完了する予定で、試験期間は接種後52週間のフォローアップ期間が含まれる。

第2/3相臨床試験では、第1/2相試験での用法用量における安全性と免疫原性を症例数を増やして評価する。

第2/3相臨床試験の目標症例数は500例。接種間隔を2種(2週間間隔で2回接種を250症例、および4週間間隔で2回接種を250症例)で、それぞれプラセボを50症例を含むという。関西と関東の8施設で実施する。


アンジェスはこれまでに第1/2相臨床試験で60人を対象にワクチンを投与しており、試験成績を総合的に判断する速報結果を12月までに公表するとしていた。しかし、11月23日付のリリースで、当初の見込み以上に有効性としての免疫原性の分析に時間を要しているとし、データが揃い次第発表すると表明した。

500症例の第2/3相臨床試験の後に、発症予防効果を検証するための第3相臨床試験を実施する予定。第3相臨床試験は、海外を含む感染が流行している地域も視野に入れ、1万~数万人規模を想定している。

アンジェスの時価総額は約1590億円


アンジェスはDNAワクチンの製造をタカラバイオ<4974>に委託しており、来年4月までに20万人分の製造を予定している。治験の結果次第で量産を拡大する可能性があり、タカラバイオでは十分な生産体制の構築を急務としている。

タカラバイオの仲尾功一社長は11月10日、本社(滋賀県)の再生医療製品の研究・製造施設に新たに95億円を投じて新型コロナワクチンの製造体制を整える計画を明らかにした。この全額をワクチン生産などに資金援助する国の補助金で賄うという。


塩野義製薬

塩野義製薬<4507> は子会社のUMNファーマが独自に確立したバキュロウイルス・昆虫細胞系を用いたたんぱく質発現技術を基盤とする組換えたんぱく質ワクチンの開発を進める。

塩野義の手代木功社長は10月下旬の決算説明会でワクチン開発について、第1相臨床試験を12月にも開始し、年明けすぐには第2相臨床試験に入りたいとの考えを明らかにした。

塩野義の時価総額は約1兆7600億円。


このほか、国内では治験支援大手アイロムグループ<2372>子会社のIDファーマが、国立感染症研究所と連携してウイルスベクターワクチンを用いたコロナワクチンの開発を進めており、また明治ホールディングス(HD)<2269>傘下でワクチン製造のKMバイオロジクスが不活化ワクチンを開発している。


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