米国株、急落リスク継続 S&P500に脆さ イラン交戦に長期化の恐れ
S&P500は2日はエネルギー株などが買われて横ばいとなる一方、VIX指数は上昇。米国とイランの軍事衝突の長期化が投資家心理を揺さぶる恐れは残る。
アメリカの株式市場で急落リスクが続いている。S&P500種株価指数の2日の終値は前週末比0.04%高で、ほぼ横ばいの値動き。週末の米国とイスラエルによるイラン攻撃後として初の取引は、株式市場全体としてはリスク回避の売りは強まらなかった。ホルムズ海峡の事実上の封鎖が原油価格を上昇させていることから、エネルギー関連株が上昇するなど「有事の買い」の動きもみられる。また、大手ハイテク株の値動きにも底堅さが感じられた。ただ、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は2日まで3営業日連続で上昇しており、投資家の株価急落に対する警戒が緩んだわけではない。米国株式市場では、人工知能(AI)ブームをめぐる懸念や、原油価格の上昇で米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遠のく展開への不安が強まる可能性もある。さらにドナルド・トランプ大統領は2日、イランに対する軍事作戦が長期化する可能性を示唆しており、投資家心理が弱気に揺らげば、S&P500の下落が一気に進むシナリオも想定されそうだ。
アメリカのS&P500は横ばい 取引開始直後の1.19%安から回復
S&P500(SPX)の2日の終値は、前週末より2.74ポイント高(0.04%高)の6881.62。ほぼ横ばいの値動きながら3営業日ぶりの反発となった。1月27日の最高値(6978.60)からは1.39%安の水準で、記録更新への距離は縮まっていない。
米国は米国東部時間2月28日午前1時15分にイランへの攻撃を開始。最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師が死亡したほか、イラン側は近隣国や米軍基地などへの攻撃を続け、石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となっている。このため投資家の間ではリスク回避姿勢が強まり、2日の東京株式市場では日経平均株価(N225)が急落。ブルームバーグによると、S&P500も2日の取引開始直後には、前週末比1.19%安にあたる6796.85をつける場面もあった。
VIX指数は3営業日連続の上昇で21.77に アルファベットやアマゾン・コムは下落
ただ、S&P500の今後の見通しに関する投資家の不安が収まったわけではない。シカゴ・オプション取引所によると、VIX指数(VIX)の2日の終値は前週末よりも7.96%高い21.44で、26日から3営業日連続での上昇。2月5日(21.77)以来の高さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
米国の株式市場では米国とイランの軍事衝突以外にも、大手ハイテク各社の設備投資負担の大きさや、AIの本格普及が既存企業から市場を奪うシナリオへの懸念といった不安材料がある。2日は底堅さをみせた大手ハイテク株の中でも、巨額の設備投資負担を社債で補う構図が嫌気されているアルファベット(GOOGL)は前週末比1.68%安、アマゾン・コム(AMZN)は0.77%安で、S&P500の足を引っ張っている。
FRBの追加利下げ見通しは後退 軍事衝突長期化でS&P500の急落不安継続
また、原油価格の上昇が米国の物価上昇を加速させることになれば、S&P500にとって追い風となるはずのFRBの追加利下げは遠のく。ブルームバーグによると、2日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.124%で、前週末よりも0.092%ポイント高くなった。年内3回の利下げ確率は7%となり、前週末段階での43%から大きく利下げ期待が後退している。
さらに米国とイランの軍事衝突は短期間で終わるわけではなさそうだ。トランプ氏は2日のホワイトハウスでの演説で米国の軍事作戦について、当初想定していた4-5週間よりも「はるかに長い期間」にわたって継続することができると言及。軍事作戦の目的として、イランのミサイル攻撃能力とイラン海軍の壊滅、イランによる核兵器保有とテロ組織支援の阻止を挙げた。マルコ・ルビオ国務長官は2日、記者団に対して「米軍からの最も激しい攻撃はまだ行われていない」として、目的遂行のために攻撃を激化させる可能性を示唆している。
イラン周辺での戦火に収束の兆しが感じられない事態が長引けば、世界経済に悪影響が及ぶとの懸念が投資家心理を冷やす恐れがある。投資家の警戒感が強まっている中で悪材料が浮上する事態を想定すれば、S&P500が急落するリスクは依然として残っているといえそうだ。
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