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原油価格、一時12%急騰 WTIが75ドル台 ホルムズ海峡事実上封鎖

原油価格はイラン情勢悪化で急騰。ホルムズ海峡の事実上封鎖が長期化すれば、原油価格への上昇圧力も大きくなる可能性がある。

原油価格、一時12%急騰 WTIが75ドル台 ホルムズ海峡事実上封鎖 出所:Adobe Images

原油価格がイラン情勢悪化で急騰している。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間3日午前の取引で、一時、1バレル=75ドル台を記録。前週末終値との比較では12%を超える上昇率となった。週末にアメリカとイスラエルがイランへの空爆を実施し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師が死亡。石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥り、供給不安が原油価格の先高観を一気に強めた形だ。一方、サウジアラビアやロシアを含むOPECプラスの8か国は1日に4月の増産を決め、原油価格の安定を図っている。しかしイランの最高指導者の殺害に至った米国とイランの軍事的な対立は長期化する恐れもあり、原油価格への上昇圧力も継続する可能性がありそうだ。

WTIは一時75.33ドル 前週末比で12.40%高の急騰

WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間2日午前10時55分段階で1バレル=69.68ドルで取引されている。ブルームバーグによると、週明けの取引開始直後にあたる午前8時2分には75.33ドルをつけ、2月27日のニューヨーク市場終値との比較で12.40%高となった。この高値は米国によるイランの核施設攻撃が材料視された2025年6月23日の78.40ドル以来の水準にあたる。

WTIの推移と主な出来事のグラフ

ホルムズ海峡が事実上の封鎖 アメリカのイラン攻撃でハメネイ師が死亡

原油価格を上昇させたのはホルムズ海峡の事実上の封鎖だ。米中央軍の発表によると、アメリカとイスラエルは米国東部時間の2月28日午前1時15分(日本時間28日午後3時15分)、イランへの攻撃を実施。日本時間の1日午前10時台には、イランの国営テレビがハメネイ師の死亡を報じ、イランが周辺国にある米軍基地や空港などへの攻撃を行っている。イランの革命防衛隊はイラン南岸のホルムズ海峡周辺の船舶に対して海峡の通過は安全ではないと通告していると報じられており、事実上の封鎖状態にあるとみられている。

米エネルギー情報局(EIA)がまとめた2025年1-3月期のデータによると、ホルムズ海峡は世界の石油海上輸送の27%にあたる日量2010万バレルの石油が通過している。石油タンカーなどがホルムズ海峡を通過できない事態が長期化すれば、原油市場で供給不足が起こる懸念が高まることは避けられず、原油価格の上昇圧力として意識されそうだ。

OPECプラスは4月の増産を決定 不安心理を安定させる効果は限定的か

一方、原油の供給不安が高まる中、中東の産油国は4月の増産を決めた。OPECプラスの8か国は1日に開いた会合で、4月の生産量を3月との比較で日量20.6万バレル引き上げると発表。今後も原油市場の状況を注視し、市場安定の努力を続けるとしている。8か国は2025年4月から12月にかけて毎月生産量を引き上げた後、2026年1-3月は生産量を維持していた。4月の増産幅は最後の増産だった12月の増産幅(日量13.7万バレル)よりも大きくなっており、原油価格にとっては下落材料とみることができそうだ。

OPECプラス8か国の原油生産量の推移のグラフ

しかし8か国のうち、サウジ、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートの4か国は原油の輸出の際にホルムズ海峡を利用する必要性が大きく、4月からの増産が原油の供給不足をめぐる不安を落ち着かせることができるかどうかは不透明だ。

米国とイランの交戦は長期化も 原油価格への上昇圧力が大きくなる可能性

またイランの最高指導者殺害に至った米国とイランの対立は、イスラエルとイランのミサイル攻撃の応酬が起きた前回2025年6月の交戦時よりも深刻なことは明らかだ。前回はイスラエルと連携する米国がイランの核施設を攻撃した後、イランがカタールの米軍基地を攻撃したものの、米国は迎撃に成功。イランは米国にミサイル発射を事前通告していたという。その数時間後にはドナルド・トランプ大統領がイスラエルとイランの停戦合意を発表し、原油価格は急騰後に急落していた

これに対して今回の交戦をめぐっては、トランプ氏は日本時間1日朝、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で「われわれの目的である中東の、そして実際には世界の平和を達成するという目標を達成するのに必要な限り」、標的を絞った爆撃を継続するとしている。また米中央軍は1日、今回の作戦中に米軍側で3人が死亡し、5人が重傷を負ったと発表。トランプ氏は1日の演説で米国側の犠牲者がさらに増える可能性にも言及した。米国とイランの交戦が長期化すれば中東の不安定化が進むことになり、原油価格に及ぶ影響が大きくなることも考えられそうだ。


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