金価格 見通し(3/3):イラン緊迫で5400ドルの攻防、停戦交渉の思惑で急反落も
IG証券のアナリストによる金価格の見通し。イラン情勢の緊迫化で5400ドルの攻防。しかし、米国・イランの動向次第では急反落を警戒したい。目先注目のチャート水準は?
要点
- 金価格の強気地合いが鮮明となってきた。イラン攻撃とエネルギー輸送の要衝、ホルムズ海峡の封鎖状態を受け2日の取引で5400ドルへ上昇した
- 市場の焦点は米・イラン停戦交渉にシフトしている。米国・イスラエルの大規模攻撃でイランの安全保障体制は大打撃を受けた。国内の混乱も踏まえればイランが停戦交渉に転じる可能性がある。2日の原油先物市場と米株式市場は、早くもこの点を織り込む動きが見られた
- 金価格は上昇・下落、いずれの局面でも1000ドル幅の攻防に注目したい。中東リスクの長期化で5500ドルを突破すれば、最高値5598ドル=5600ドルが視野に入ろう。中東リスクが後退に転じる場合は10日線(5170ドル台)のトライを想定したい。サポート転換が確認された5100ドルを目先の下限と予想する
イラン情勢緊迫化で5400ドルへ上昇
金価格の上昇幅が拡大している。5100ドルがサポートラインへ転換すると、5300ドルを一気に突破。2日の取引では5400ドルへ到達する場面が見られた。MACDはゴールデンクロスに転じ、RSIは買われ過ぎの水準まで余裕がある。5500ドルの攻防が視野に入る。
金価格の日足チャート:2026年1月以降
TradingView提供のチャート
焦点は停戦交渉に、中東リスク後退なら急反落を警戒
米国とイスラエルがイランに大規模攻撃を仕掛け、ホルムズ海峡が封鎖の状況に追い込まれている。EIA(米エネルギー情報局)の調査によれば、同海峡は世界の石油需要の約2割にあたる日量約2000万バレルが通過する要衝であり、世界のLNG貿易の約2割も同海峡を経由している(主にカタール産)※。
※EIA:Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint(June 16, 2025)
目先の焦点は、ホルムズ海峡の封鎖状態がどの程度続くかだ。長引けば、世界的なインフレ再燃の懸念とそれによる経済への打撃が意識され、市場心理が冷え込むだろう。このケースでは安全資産への逃避需要がさらに増し、金価格は5500ドル、そして1月29日に付けた最高値5598ドルを視野に上昇拡大が予想される(上の日足チャートを参照)。
中東リスクが早期で後退する展開も想定しておきたい。トランプ米大統領は1日、米誌アトランティックとのインタビューで、イランの新指導部から対話の打診を受け「同意した」と述べた。一方、イランの国家安全保障最高評議会のラリジャニ事務局長は2日、米国と交渉はしないとXに投稿した。しかし、米国とイスラエルの攻撃を受け、イランの国家安全保障体制は大きな打撃を被った。国内の混乱状態も踏まえれば、イランが事態の早期収拾を図るため停戦交渉に転じる可能性がある。
この点を先取りしてか、2日の原油先物市場は取引序盤こそ急騰でスタートしたが、その後はレンジ相場で推移した。
原油先物価格 15分足チャート:3月2日の動向
TradingView提供のチャート
米株式市場では時価総額の約80%をカバーするS&P500とハイテク比率の高いナスダック指数が上昇で終えた。中小型株のラッセル2000は前週末比0.9%高と、上昇率トップだった。「中東リスクの先」を見据えた動きが早くも見られる。
急転直下で市場の焦点が停戦交渉へとシフトする場合は、「中東リスクの後退→安全資産の需要後退→金価格の急反落」が予想される。
米株価指数の動向:3月2日
ブルームバーグのデータを基に作成
金価格のテクニカル分析、1000ドル幅の攻防に注目
1000ドル幅の攻防
イラン情勢の混乱がサウジアラビアなど周辺国へ本格的に飛び火すれば、ホルムズ海峡封鎖の長期化懸念がさらに増すだろう。この場合、金価格は1000ドル幅の攻防を意識しながら、新たな高値水準を見極めることになろう。
目先の焦点は、昨日の上昇を止めた5400ドルの突破だ。5400ドル台の攻防へシフトすれば、5500ドルのトライが視野に入ろう。5500ドルを突破した後、調整売りの局面でこの水準がサポートラインに転換すれば、いよいよ最高値5598ドルが視野に入る。
5598ドルのトライは、5600ドルがレジスタンスラインとして意識されるかどうかを確認する攻防でもある。フィボナッチ・エクステンション100%の水準5558ドルのブレイクアウトは5600ドル(5598ドル)をトライするサインと捉えたい。
注目のチャート水準:レジスタンス
・5598ドル:最高値
・5558ドル:フィボナッチ・エクステンション100%
・5500ドル:節目水準
・5400ドル:節目水準
下落局面も1000ドル幅の攻防に注目
一方、米国とイランが停戦交渉に入るとの期待が高まる場合は、金価格の反落を想定したい。昨年10月以降、金価格は変動拡大の傾向にある。予想変動率(1ヶ月、年率換算)は30%台で高止まりしている。停戦交渉に関する情報次第では、下落拡大もあり得る。
金価格 予想変動率の動向:2025年1月以降
ブルームバーグのデータを基に作成
※予想変動率:1ヶ月、年率換算
金価格が下値をトライする局面でも、1000ドル幅の攻防を意識したい。10日線が現在、5170ドル台まで上昇している。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、サポート転換が明確に確認された5100ドルを視野に下落拡大の可能性が高まろう。
5100ドルの直下には現在、25日線が上昇している。テクニカル面でも5100ドルはサポートラインとして意識されやすい状況にある。目先は5100ドルを下限と想定したい。
注目のチャート水準:サポート
・5300ドル:節目水準
・5200ドル:節目水準
・5176ドル:10日線(3/3時点)
・5100ドル:下限予想、直下に25日線(3/3時点、5080ドル)
【再掲】金価格の日足チャート:2026年1月以降
TradingView提供のチャート
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