メキシコペソが一時5円台、3カ月ぶり高値　トルコリラは最安値圏

新興国通貨はメキシコペソが強地合いとなる一方、トルコリラは引き続き売られている。ペソは日本時間10日深夜に海外市場で5円の節目を一時上回り、約3カ月ぶりの高値を付けた。

ペソの対円相場は6月上旬に5円台で取引されていたが、同月中旬以降は4.6円から4.8円台半ばで動意薄の状態が続いていた。きょうの午前は4.9円台後半で推移している。

今回のペソの上伸のきっかけはメキシコ政府が8日、緊縮型の2021年予算案を公表したことだった。インフラ支出などの景気刺激策は見送り、基礎的財政収支（プライマリーバランス）の均衡を目指すという内容。歳入は最新の20年の見通しよりも6.4％多い5兆5390億ペソとした。

予算案では21年の経済成長率をプラス4.6％と予測。新型コロナウイルス向けワクチンが早い時期に国内に行き渡るとの想定に基づく。今年はマイナス8％と予測している。

これに加えて、メキシコの国立統計地理情報院（INEGI）が9日発表した8月の消費者物価指数がメキシコ銀行（中央銀行）の目標を上回り、現行の利下げサイクルが終了するとの見方が強まったこともペソを支援した。

8月の消費者物価指数は前年同月比4.05％上昇。中銀の目標の上限である4％を上回った。同指数は4月に2.15％まで低下していた。

コロナ禍で冷え込んだ景気をてこ入れするため、中銀は8月に政策金利を0.5％引き下げて4.5％にすることを決めた。利下げは10会合連続で、16年9月以来の低い水準となった。

次回の中銀の金融政策決定会合は9月24日に予定されている。

メキシコペソの対ドル相場は足元で21ペソ台前半で推移。これは3月上旬以来、約半年ぶりの高値に相当する。

トルコリラ

トルコリラの対円相場は同9日に14.10円台まで下げて過去最安値を更新。その後もこの安値付近にとどまっている。

トルコ中央銀行の主要政策金利である1週間物レポ金利が8.25％である一方、足元のインフレ率は約12％。実質的にマイナス金利の状態だ。こうしたなか、エルドアン大統領は利上げに反対する姿勢を示しており、リラが売り圧力を受けている。

トルコリラは対ドルでも同9日に7.49リラ台まで下落して過去最安値を更新した。

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