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米国株、ハイテク株への悲観拡大 S&P500停滞 見通し不安継続

S&P500は週次で0.10%安。大手ハイテク株の急落が足を引っ張った。一方、各社の巨額の設備投資は景気への追い風といえるが、労働市場には不安もちらつく。

米国株、ハイテク株への悲観拡大 S&P500停滞 見通し不安継続 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場が伸び悩んでいる。S&P500種株価指数の6日の終値は1週間前比0.10%安という冴えない値動き。2025年10-12月期決算を相次ぎ発表してきた大手ハイテク各社は、週次12%超安となったアマゾン・コムを筆頭に、軒並み大幅安となっている。人工知能(AI)サービスを展開する大手4社の2026年の設備投資額の合計は6800億ドルを超えるとみることができ、中長期的に利益を圧迫するとの悲観が強まった。一方、こうした大手ハイテク各社の巨額の設備投資は米国経済にとってのプラス要因であることは確か。株式市場の動きからは大手ハイテク株以外への資金移動も感じられ、中小型株の値動きはS&P500を大きく上回る成績となっている。ただ、米国経済をめぐっては労働市場の悪化という不安材料も浮上しており、見通し不安が消えたわけではない。週明け9日以降の取引では11日に発表される1月雇用統計などが波乱要素になる可能性もありそうだ。

【関連記事】米国株、雇用統計で波乱の恐れ S&P500に不安 エヌビディア続伸(2026年2月10日)

アメリカのS&P500は週次0.10%安 3営業日続落で2.55%安の場面も

S&P500(SPX)の6日の終値は前日比では1.97%高の6932.30。週次では0.10%安となり、1月27日につけた最高値(6978.60)から0.66%安の水準で終わった。ブルームバーグによると、週次での下落は、ドナルド・トランプ大統領のデンマーク領グリーランドをめぐる言動が相場を揺らした1月19-23日週(0.35%安)以来2週ぶり。AI開発企業アンソロピックのサービスの新機能がソフトウェア企業の収益を削るとの観測が材料視された3日から5日にかけての3営業日続落では合計2.55%の急落に見舞われた。6日の急騰は前日比として2025年5月27日(2.05%高)以来の大きな上昇率で、行き過ぎた不安が後退した形だが、週次でのマイナスを拭い去るには至らなかった。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

大手ハイテク各社は決算発表後に急落 アマゾンは週次12.11%安

6日までの株式市場では、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価も急落している。ブルームバーグによると、5日に決算を発表したアマゾンの株価(AMZN)の6日の終値は週次12.11%安。アルファベット(GOOGL)も4日発表の決算が嫌気され、週次4.48%安となった。またマイクロソフト(MSFT)は1月28日の決算が悪材料視され、決算発表翌日から6日までの7営業日で株価は16.71%安となっている。さらにメタ・プラットフォームズ(META)は28日の決算発表で示した1-3月期の高成長見通しが好感され、翌29日の株価は前日比10.40%高となったが、その後の6営業日では合計10.41%安となった。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アップル、テスラ、マイクロソフト、アマゾン・コムの株価の推移のグラフ

各社の決算発表がS&P500を下押しした背景にあるのは設備投資負担の重さだ。各社の決算発表によると、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、メタの4社は2025年に合計2919億ドルの設備投資を実施。2026年は見通しを発表しているアマゾン、アルファベット、メタの3社の合計だけでも5000億ドルの設備投資が行われる。仮にマイクロソフトの2026年の設備投資額の前年比伸び率が、2025年の伸び率と同じだと仮定した場合、4社の合計設備投資額は6800億ドルになると試算することができる。米国連邦政府の2025会計年度の歳出規模の7兆0100億ドルの9.7%にもあたる規模の金額が、将来的な減価償却費となって4社の利益を圧迫することを考えれば、負担の重さは明らかだ。

メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アルファベットの設備投資額の推移のグラフ

大手ハイテク各社の設備投資は米国経済の追い風 ハイテク株以外への資金移動も

一方、こうした4社の設備投資は米国経済にとっては経済活動を刺激する効果を生む。4社の2026年の設備投資額は米国の年間名目GDP(31兆ドル程度)との比較でも2.2%程度にあたり、無視できない影響力を持ちそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は1月28日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で米国経済の強さに「驚かされている」としたうえで、要因として個人消費の良好さや旺盛なAI関連投資を挙げている。このため、4社の設備投資の大きさは、S&P500を構成する大半の企業の株価にとっては追い風とみることもできる。

実際、S&Pグローバルが公表している時価総額を考慮しないで算出したS&P500の6日の終値は2025年末比で5.47%高となっており、S&P500本体の1.27%を大きく上回る成績だ。S&P500本体の上昇が時価総額が大きい大手ハイテク株の不振で伸び悩んでいることを示す結果といえ、投資家がハイテク株以外へと資金を移動させている様子がうかがえる。

S&P500と時価総額を考慮しないS&P500の推移のグラフ

また中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)も6日の終値で2025年末比7.59%高という好調ぶり。やはりS&P500の成績を大きく上回っている。ブルームバーグによると、ラッセル2000の前日比での騰落率は2026年に入ってからの26営業日のうち、18回でS&P500の騰落率よりも良い成績を記録している。

ラッセル2000とS&P500の推移のグラフ

S&P500の伸び悩みは続く見通し 1月雇用統計や消費者物価指数で波乱の恐れも

ただ、S&P500が時価総額が大きい大手ハイテク株の値動きの影響を受けやすい設計であることに変わりはなく、S&P500は今後も伸び悩むことが想定されそうだ。また、米国経済をめぐっては5日に発表された12月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が5年3カ月ぶりの低さになったほか、民間雇用サービス会社ADPが4日に発表した1月の全米雇用リポートでも就業者数の伸びが市場予想を下回っている。労働市場の悪化はFRBの利下げ見通しを強めることで株価を押し上げる効果も期待できるものの、S&P500は4日には前日比0.51%安、5日には1.23%安となっていた。

このためS&P500の今後の見通しをめぐっては、11日に発表される1月雇用統計が波乱要因になる可能性もある。また13日発表の1月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の根強さが確認された場合には、FRBの利下げ見通しを弱めることで株価への下落圧力が強まり、S&P500にとっての逆風になる展開も想定されそうだ。


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