金価格 週間見通し(2/2週):荒れ相場警戒、FRB議長人事の影響と米雇用指標にらみ
IG証券のアナリストによる金価格の週間見通し。今週も荒れ相場か。米ドル高進行なら下落警戒。米雇用指標も焦点に。週間予想レンジは4500ドル~5140ドル。
要点
- 1月30日のNY金先物価格(4月物)は、前日比600ドル超(11%)急落。1980年以来46年ぶりの下落となった。トランプ米大統領がウォーシュ氏を次期FRB議長に指名したことが急落のトリガーに
- 今週の金価格も上下に大きく振れる荒れ相場を警戒したい。ウォーシュ氏指名による米ドルの反応を注視。米雇用指標も変動要因となろう。6日の1月雇用統計に注目
- 金価格の週間予想レンジは4500ドル~5140ドル。下落継続なら25日線と半値戻しが重なる4740ドルの攻防に注目。反発局面では節目の5000ドル回復と5100ドルのトライが焦点に
次期FRB議長にウォーシュ氏指名、金先物46年ぶりの急落
1月30日の取引でNY金先物価格が前日比600ドル超(11%)急落した(終値:1トロイオンス4745.1ドル)。1日の下落としては1980年以来、46年ぶりの大きさとなった。
急落のトリガーとなったのが、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長を巡る人事だった。トランプ米大統領はこの日、候補者の中では「タカ派寄り」と見られている元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏を次期議長に指名した。
注目すべきは米ドルの反応だ。30日の市場では主要通貨(G10通貨)全てで米ドル高となった。
米ドルとドル指数の動向:1月30日、対G10通貨
ブルームバーグの為替データで作成
次期FRB議長の候補者の中にはトランプ米大統領に忠実なハト派もおり、そうした人物が就任すればFRBの独立性が損なわれるとの懸念が市場でくすぶっていた。ウォーシュ氏も昨年7月の米CNBCの番組で利下げに言及しており、ハト派的な側面を持つ。しかし、今回の人選に対する米ドルの反応を見る限り、市場は同氏をFRBの独立性を脅かす存在とは見なしていないようだ。昨年から続く「米ドルの信認低下」に伴う米ドルの売り圧力は、一時的にせよ後退する可能性がある。
ゆえに、今週の金価格のトレンドを考える上で、米ドルの動きを注視したい。現時点ではウォーシュ氏の政策姿勢は不透明だが、それでも外為市場で米ドルの買い戻しが続く場合は、「米ドル不信の後退→金の調整売り継続」を想定したい。
今週も荒れ相場を警戒、焦点は米雇用指標
ブルームバーグのデータによれば、2025年にスポットの金価格は65%(1695ドル)高という記録的な上昇相場となった。2026年1月も金(ゴールド)を買う流れが続き、1月29日の取引で金価格は5600ドル手前まで急騰。上昇率は一時30%に達した。
IGコモディティレポートで指摘してきた通り、今月の動きは明らかに過熱気味だ。予想変動率の急上昇も勘案すれば、上下どちらに振れてもボラティリティの拡大を警戒する相場となっていた。
関連記事
・金価格見通し(1/30):急騰→急落→急反発の荒れ相場、5100~5600ドルの攻防
今週、米ドルの変動要因として注目したいのが、1日のIG週間為替レポートで取り上げた雇用関連の経済指標だ。特に6日の1月雇用統計に注目が集まろう。
関連記事
・ドル円 週間見通し(2/2週):米ドル高予想、FRB議長人事の影響と雇用統計に注目
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータを基に作成 / 赤棒グラフ・ドット:1月予想
米FRBは1月28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。声明では足元の雇用について、失業率に安定化の兆しがある(the unemployment rate has shown some signs of stabilization)とした。また、雇用の下振れリスク(downside risks to employment)についての記述を削除した。
米FRBが雇用市場の評価を修正し、次期FRB議長に「タカ派寄り」のウォーシュ氏が指名されたタイミングで雇用統計が労働市場の堅調さを示す場合は、金価格の下落要因となろう。雇用統計前の経済指標でも労働市場の底堅さが確認される場合は、金価格の下落拡大を警戒したい。
一方、雇用統計をはじめとした今週の雇用関連指標が総じて労働市場の軟化を示唆する場合は、金価格の押し上げ要因となろう。
今週の米雇用関連指標
ブルームバーグ、公開情報を基に作成
金価格の週間見通しとテクニカル分析
今週も急変動を警戒
日足チャートで金価格のトレンドを確認すると、30日の急落で節目水準の5000ドルのみならず、25日線や半値戻しといった重要なテクニカルラインをも下方ブレイクする場面が見られた。
しかし、これらテクニカル付近で長い下ヒゲが示現し反発した状況は、多くの市場参加者が下値での押し目買いを狙っていることを示唆した。金を取り巻くファンダメンタルズ(国際情勢の不透明感や米国と対立するBRICS諸国の中銀による金購入など)に大きな変化はない。よって、中長期での金相場は強気トレンドを維持する公算が大きい。下落の局面では押し目買いの好機を探りたい。
しかし現在は、過熱感(買われ過ぎ)が意識されやすい状況にある。予想変動率の急上昇も考えるならば、今週も金価格の急変動を警戒したい。
金価格の1ヶ月予想変動率のチャート:2025年以降
ブルームバーグのデータを基に作成 / 1月30日時点
下落拡大なら4500ドルの維持が焦点に
今週、金価格の下落要因として警戒したいのが米ドル高の進行だ。下落局面での最初の焦点は、4740ドルの攻防となろう。上で述べたとおり、30日の急落相場では25日線と半値戻しが重なるこの水準で長い下ヒゲが示現し反発した。4800ドルの下方ブレイクは、4740ドルをトライするサインと考えたい。
金価格が4740ドルを完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%水準の4540ドルを視野に下落拡大を予想する。50日線も同水準で推移しており、サポートラインとして意識される可能性がある。変動拡大を警戒し、下の水準4500ドルを今週の下限と予想する。
注目のチャート水準
4800ドル:サポートライン
4740ドル:半値戻し、25日線
4540ドル:61.8%戻し、50日線
4500ドル:下限予想
※テクニカルライン:日足チャート
※移動平均線の水準:1月30日時点
半値戻しのトライなるか
今週、金価格の反発局面で最初の焦点となるのが、心理的節目5000ドルの回復だ。4900ドルを突破する場合は、5000ドルをトライするサインと考えたい。フィボナッチ・リトレースメント23.6%水準4897ドルの突破は、4900ドルをトライするサインとなろう。
5000ドル台の攻防となれば、次の焦点はレジスタンスラインへの転換が意識される5100ドルのトライだ。半値戻しの5138ドルとともにレジスタンスゾーンを形成する可能性がある。10日線の突破が、このゾーンをトライするサインとなろう。
「半値戻しは全値戻し」という相場格言があるように、5138ドルは現在の相場の分岐点として重要な水準だ。半値戻しの上の水準5140ドルを今週の上限と予想する。
想定を超える反発で金価格が5140ドルをもブレイクアウトすれば、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5247ドルを視野に上昇拡大を想定したい。
注目のチャート水準
・5247:61.8%戻し
・5140ドル:上限予想、直下に半値戻し(5138ドル)
・5100ドル:レジスタンス転換の可能性あり
・5060ドル:10日線
・5000ドル:心理的節目の水準
・4900ドル:直下に23.6%戻し(4897ドル)
※フィボナッチ・リトレースメント:4時間足チャート
金価格の日足チャート:昨年10月以降
TradingView提供のチャート
金価格の4時間足チャート:1月下旬以降
TradingView提供のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。