米国マンスリー2018年8月号

リスク優勢も業績が株価押し上げへ!

bg_maersk_1120013

見通し不変も下振れリスクに注意

IMFは7月世界経済見通しで、2018年、2019年の成長率を前回4月の3.9%に据え置いた。ただ、成長にばらつきが見られ、見通しに対するリスクが高まっていると指摘。日本、ユーロ圏、英国は、2018年前半の経済活動の停滞や消費や投資の低迷などの影響から成長予測が下方修正された。

ドル高、原油高や米国金利上昇、貿易摩擦激化でファンダメンタルズの弱い国の一部の通貨に圧力がかかっている。米国は経済の勢いが一時的に強まるとの予想だが、米中とも貿易戦争への対応策として農業や金融での支援を実施へ。IMFは世界経済の下振れリスクが優勢と指摘している。(庵原)

【IMF世界経済見通し~まだらな経済成長と高まる貿易摩擦に懸念示す】

phillip_fig_monthly_Aug18_01

貿易摩擦と貿易統計の動向

WTOのモノの世界の貿易総額は2016/11以降、2018/5まで前年同月比19ヵ月連続でプラス推移となった。ただ、3/1にトランプ大統領が鉄鋼やアルミニウムの製品に追加関税を課す計画を表明し、2018/3に前年同月比9.5%増と1桁成長に落ち込んだ。

中国や日本も大きく鈍化し、ブラジルや南アフリカなど新興国などにも影響が及んだ可能性がある。ただ、4月、5月の世界の貿易は再び増勢に転じているが、欧州は2018/5に伸びが急激に鈍化しており、ドイツやフランスなどの景気動向を注視したい。また、米中貿易戦争の統計への影響など2016/6以降のデータも注目したい。(庵原)

【世界の貿易統計は引き続き良好だが~一部に変調も見られ動向に注目!】

phillip_fig_monthly_Aug18_02

滑り出し好調、好決算相次ぐ!

2018/2Q(4-6月)のS&P500構成企業のEPSは前年同期比20%超の増益が見込まれている。アルファベット(GOOGLバイオジェン(BIIBベライゾン・コミュニケーションズ(VZユナイテッド・テクノロジーズ(UTXなどあらゆる業界で好決算が相次いでいる。

7/24現在、118社が決算発表を行い103社、87.3%もの企業が事前の市場予想を上回った。貿易摩擦の影響が懸念される一方、下院共和党は7/24、第2の減税案である「税制改革2.0」法案の概要を公表。個人と一部事業主の減税の恒久化を目指す内容となっている。良好な景気指標と決算が株価を押し上げる展開となりそうだ。(庵原)

【軒並み市場予想を上回る決算~良好な景気指標もあり相場は一段高も!】

phillip_fig_monthly_Aug18_03

企業と消費者でマインドに温度差

7/2発表の6月のISM製造業景況指数は、前月比1.5ポイント上昇の60.2と2ヵ月連続の上昇。7/5発表の6月の米ISM非製造業景況指数も、同0.5ポイント上昇の59.1と2ヵ月連続の上昇。製造業・非製造ともに市場予想を上回った。企業マインドは、4月に通商問題を巡る不透明感や関税が製造コストに与える影響への懸念などにより、著しく悪化したが、持ち直しが見られている。

一方、7/13発表した7月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は、同1.1ポイント低下。市場予想の99を下回った。所得や雇用の見通しは明るいものの、関税の影響への懸念を挙げる声が高まっているという。米国の消費者マインドの動向には注意したい。(増渕)

【企業マインドは持ち直したが消費者マインドは低迷~通商問題が焦点】

phillip_fig_monthly_Aug18_04

エネルギー独歩高の商品市況

商品の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数は、7/24時点で193.18。2017年末比では横ばいだが、5/23の206.37の高値から1ヵ月弱で約6.4%下落しており、足元では軟調に推移している。貿易摩擦への懸念や、中国景気の先行きに対する悲観などを背景に、農産物や非鉄金属、貴金属が年初から大幅に下落。

上昇基調だったエネルギー価格も、WTI原油が7/11に前日比5.0%安の大幅安。足元では60ドル/バレル台後半で推移。米国のイラン制裁再開を8/7に控え、米とイランの非難の応酬は激しさを増している。また、中国の米国産原油への追加関税も原油在庫の増加要因と見られている。当面の原油相場は神経質な展開となろう。(増渕)

【エネルギー上昇も軟調な商品市況~エネルギーも当面は神経質な展開へ】

phillip_fig_monthly_Aug18_05

大手金融機関は軒並み好業績

大手金融機関の2018/12期2Q(4-6月)は、ウェルズ・ファーゴ(WFCを除く5社は2桁の増益と好調だ。税制改革などもあり、米国企業は投資を積極化。FRBによると、2018/4-6月期の企業向け融資の伸びは年率換算で7.7%。利上げの継続で貸出金利が上昇し、貸出利鞘も改善。また、大型M&Aなどで投資銀行業務の伸びも目立つ。

株価は、過去52週でJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)バンク・オブ・アメリカ(BAC)など商業銀行が市場リターン(S&P500)を上回るパフォーマンスだった一方、ゴールドマンサックス・グループ(GS)モルガン・スタンレー(MS)など投資銀行は市場リターンを下回っている。好業績が確認できたことにより、リターン・リバーサル効果も期待できよう。(増渕)

【好調な大手金融の第2四半期~リターン・リバーサルなら投資銀行】

phillip_fig_monthly_Aug18_06


【レポートにおける免責・注意事項】
本レポートの発行元:フィリップ証券株式会社〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
TEL:03-3666-2101 URL: http://www.phillip.co.jp/
本レポートの作成者:公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員 庵原浩樹
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提 供している証券会社との契約に基づき対価を得ております。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の 見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身 の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害につ いても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じま す。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則平14.1.25」に基づく告知事項> 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IGアカデミー

無料のオンラインコースや各種ウエビナー、セミナーなど、IGが提供する豊富な学習プログラムを通じてトレードの方法を学び、トレードに関する知識を深めることができます。