米連邦公開市場委員会(FOMC)後はドル売りを警戒

市場参加者の焦点は9月16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に集中しています。筆者は、利上げが実施されても見送られても、外為市場ではドル売り優勢の展開になると考えています。そのシナリオは?

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<利上げ実施のケース>

外為市場でドル高トレンドが形勢されるためには、株高と米金利の上昇が持続的且つ同時に発生することが必須条件となります。しかし、現在の米国株式市場では利上げへの耐性が未だ不十分なため、この条件をクリアできずにいます。事実、9月16-17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が近づくにつれ、米国株式市場では上値の重さが目立ちます。リスク選好の先導役である米国株式市場がこの状況のまま、今回の会合でイエレンFRBが利上げに踏み切った場合、金融政策のコントラスト(=方向性の違い)が意識されることで外為市場でのファーストアクションはドル買いで反応するでしょう。しかし、それ(=ドル買い)はすぐに終息する可能性があります。上述した利上げへの耐性が不十分なままでの利上げ敢行は、米国株式市場のさらなる圧迫要因となるからです。米国株式市場の不安定化は、グローバル株式市場全体の不安定化要因となるでしょう。利上げ後も世界的に株式市場での不安定化が継続すれば、他の国債と比較し安全性、流動性そして何よりも利回りの面で米国債券への投資妙味が増すことから、米金利には徐々に低下圧力が強まるでしょう。よって、「株安 / 米金利上昇」を背景としたドル高は一過性の値動きに終わり、その後は「株安→米金利低下」を背景としたドル売り圧力が徐々に強まることが想定されます。

尚、利上げ実施によるリスク回避の度合いは声明文の内容に左右されるでしょう。最も注視すべきリスクシナリオは「利上げ+タカ派声明文」となった場合です。この場合、世界的な株安と商品市況の低迷を背景に外為市場では円高が急速に加速するでしょう。ドル円は目先の重要サポートポイント118.40はおろか、8月安値の116円前半レベルをも下抜ける展開が想定されます。

【ドル売りシナリオ:利上げ実施のケース】



<利上げ見送りのケース>
次に利上げを見送った場合のドル売りシナリオです。この場合、グローバル株式市場は株高で反応する可能性が高いでしょう。一方、利上げ見送りの失望感を背景に米国の金利には低下圧力が強まるでしょう。つまり、利上げ見送りは「株高のみのリスク選好(=株高 / 米金利低下)」という相場環境へのシフトを促すということです。過去の経緯を振り返ると、このような環境下での外為市場では、米ドルから資源国通貨や新興国通貨へ資金シフトするパターンが見られます。米金利上昇というドル相場最大のサポート要因が欠けるためです。また、この相場環境は、商品市況のサポート要因となるだけでなく新興国市場からの過度な資本流出も抑制するからです。
利上げ見送りがドル安圧力を強めるもうひとつの影響として注視すべきは、利上げペース加速期待の後退です。7月以降、イエレンFRBサイドは早期利上げに向けたシグナルを発信し続けてきました。それにもかかわらず9月利上げの見送りとなれば、今夏以降マーケットで急速に台頭してきた海外リスク(=景気減速が予想以上に深刻化してきた中国経済 / 低迷し続ける原油価格 / 先行き不透明な日欧経済)が今後の米国経済におけるファンダメンタルズ改善の阻害要因となる、というメッセージとして市場で受け止められる可能性があります。利上げ見送りの結果としてこのような懸念が台頭すれば、イエレンFRBによる年内利上げ自体に疑問符が付くでしょう。仮に年内利上げを何とか敢行できても、その後のペースは非常に緩やかなものになるという認識が市場のコンセンサスとなるでしょう。このようなコンセンサスの確立は、利上げペースに対する加速期待の後退につながるでしょう。
尚、利上げ見送りのケースでドル相場にとって最も警戒すべきリスクシナリオは、声明文までがハト派的な内容となった場合です。利上げ時期そのものに対する不透明感が強まることで、米国の金利には低下圧力が強まるでしょう。米金利の急低下は、ドル相場全体でのドル急落要因となる可能性があります。ただ、ドル円は株高がサポート要因となることで、他のドルストレートと比較した場合、下落幅は小さくなる可能性があります。

【ドル売りシナリオ:利上げ見送りのケース】

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