ドル高が“トレンド化”するためのキーポイント

7月以降、米国の金融当局サイドから利上げに対するタカ派発言が相次ぐ中、ドル相場と米国株式の関係にはある変化が見られます。この変化は、ドル高が“トレンド化”の道を辿るかどうかを左右するキーポイントとなるでしょう。また、そのキーポイントはもうひとつあります。

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<キーポイント1:利上げに対する耐性度合い>
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、労働市場の改善について上方修正がなされました。また、7月30日に発表された4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は+2.3%(前期比年率)と、1-3月期の+0.6%(同)から急回復しました。注目すべきはそのけん引役となったのが、米国経済のエンジンである個人消費だったことです(前期比年率で+1.8%から+2.9%へと急拡大)。個人消費が拡大するためには所得の拡大が必須条件となります。所得の拡大には労働市場の改善が必須条件となります。4-6月期の個人消費が急拡大したということは、「労働市場の改善→個人所得の増加→個人消費の拡大」という景気の好循環が米国内で形勢されていること(=イエレンFRBの見方が正しかったこと)を示唆しています。

筆者が興味を惹いた点は、米国経済の強さ以外にもうひとつあります。それは、上記の動向を受け米国株式の高値圏維持とドル高が同時に発生したことです。今年前半は、「ドル高=米国株式の下落要因」として認識される局面が散見されてきました。しかし、7月に入ってからのドルインデックスと米国株式は順相関の関係に回帰しつつあることがわかります。ドル高維持の土台は米金利の上昇であり、その金利上昇は利上げ期待によって支えられている点を考えるならば、順相関回帰への兆しが意味するところは、米国株式における金利上昇リスクへの耐性が出来上がりつつある(=利上げに対する覚悟が固まりつつある)ことを示唆しています。この点は非常に重要です。利上げへの耐性度合いが強まっているということは、米国株式が米金利の低下要因となる可能性が著しく低下していることを意味するからです。よって、今後発表される米国の指標データが総じて市場予想を上回って尚、米国株式が現在の高値圏を維持するならば、緩やかな米金利の上昇も同時に発生することでドル高の“トレンド化”をサポートするでしょう。

しかし、株高維持だけではドル高が“トレンド化”するには不十分です。それにはもうひとつのドル高要因が必要です。


【ドル相場と米国株式は順相関へ回帰?】


<キーポイント2:利上げペース加速期待>
8月中に発表される米国の指標データが総じて市場予想を上回れば、各市場はイエレンFRBによる9月利上げを完全に織り込むでしょう。それは、新たな焦点へのシフトを意味します。その焦点とは、2回目以降の利上げペースです。現状、この点については、「相当緩慢な」ペースでの利上げ予測が大勢を占めています。よって、今夏以降に発表される米国の指標データ(特にインフレ関連指標と雇用関連指標)がこの予測を覆すことができなければ、9月利上げに対する期待先行のドル高相場が終了した後、ドル相場全体が深い調整局面に突入する可能性があります。

また、米国外のリスク要因(日欧の景気回復の遅れ、中国の景気減速、商品市況の低迷)を背景に米国株式の上値がレジストされる展開となれば、米金利の上昇圧力が抑制されるでしょう。米国債券市場がそのような展開となれば、7月後半同様、対ドルでショートポジションが積み上がっている通貨(円、ユーロ)を中心にドルロング調整地合いが加速する可能性があるでしょう。

米国株式における利上げへの耐性が強化されていること、利上げペースへの加速期待、この2つがドル高の“トレンド化”にとって重要なキーポイントとなるでしょう。

【ドル高“トレンド化”、2つのキーポイント】

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