円相場の命運は米株とともに

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「fragile」という英単語があります。発音は「フラジャイル」。意味は「脆い、壊れやすい、危うい」等々。

最近、この「fragile(フラジャイル)」という英単語をよく耳にしませんか?「fragile(フラジャイル)5」という表現で。

「fragile(フラジャイル)5」とは、ファンダメンタルズの弱い5つの新興国(ブラジル、南アフリカ、トルコ、インド、インドネシア)を指し ます。最近ではアルゼンチン問題もあり、「fragile(フラジャイル)6」になっていますが、とにもかくにも、ファンダメンタルズの面で脆弱性 (fragile)が露呈している新興諸国への懸念から、グローバル金融市場では再び不透明感が強まっています。

しかし冷静に考えてみると、新興国の脆弱性(fragile)は、何も今年に入っていきなり意識されたわけではありません。昨年5月下旬のバーナン キショックの際も、新興諸国市場は大きな打撃を受けました。この背景には、各国が抱えるファンダメンタルズ面での脆弱性があったからです。要は、ずっと以 前からマーケットでは新興国リスクが水面下でくすぶっていたわけです。

では何故、そのリスクが今になって再びマーケットで意識されたのか、今回のリスク回避相場では、この点を見極めることが最も重要なのです。

【 米国株式が蓋の役割を果たしていた 】

筆者なりに考えた結果、新興国リスクが再びマーケットで意識された最大の理由、それは米国株式の失速に あると考えます。米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和(QE3)縮小の決定を下しました。米国株式は緩 和マネー先細り懸念よりも米国の景気回復を意識し、連日の史上最高値更新となりました。そして先進国経済の先導役である米国経済の成長は、他の主要国の成 長を促すという連想から、日経平均株価や欧州株高を誘発しました。いわば、米国株式がリスク選好の先導役となっていたわけです。そして、新興国リスクを水面下へと押し込む役目を果たしたのです。

しかし、1月に入るとその米国株式は、強弱まちまちの経済指標や企業決算の結果を受け、失速してしまいます。そうなると、新興国リスクを押し込めていた蓋(米株高)が外れて しまいます。その結果、新興国リスクがマグマのように表に吹き出し、そのマグマがグローバル金融市場を覆ってしまったというわけです。実際、米株の失速に 歩調を合わせるように、年初から新興国株式ファンドより約40億ドルの資金が流出したとのことです(EPFRグローバル)。

【命運は米株とともに 】

このように考えると、再び円安トレンドへ回帰するには、新興国リスクに蓋をする必要があります。その蓋の役目を果たすのが、米国株式の上昇であることは上述した通りです。とすると、株式市場との相関性が高い円相場の命運は米国株式の動向にゆだねられているということになります。

では、その米国株式は何をきっかけに反転するのでしょうか。やはり経済指標でしょう。

先月30日に発表された10-12月期GDP速報値は前期比年率+3.2%と、米国経済が堅調に推移していることが確認されました。この結果を受 け、米国株式は反発しました。しかしリスクオンへと完全に回帰するには、今週発表の重要経済指標、特に2月7日の米雇用統計(1月分)や、その後に発表さ れる小売売上高(同月分)等で景気回復が堅調であるという証拠が必要でしょう。何故ならマーケットは、ひとつの経済指標のみではなく、総合的に米国経済の 状況を見極めてくるからです。これら米国の経済指標が総じて強い内容となれば、2月いっぱいをかけて、グローバル金融市場はリスクオフからオンへ軸足がシ フトしていくシナリオを筆者は描いています。

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※このレポートは、2014年1月31日(金)現在の相場状況と情報をもとに作成されております。

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