焦点はFOMCと米国マーケットの反応

アナリストの視点-イエレンFRBのスタンスを見極める

FRB

直近の米指標データでは、イエレンFRBが指摘する通り1-3月期の景気低迷が一時的な現象であった可能性が高いことを示唆する内容が続いている。その結果、米2年債利回りは今年3月上旬レベルの水準まで反発し、FF金利先物市場では今年12月までの利上げ確率が約70.00%まで上昇している。これら事実を鑑みるに、米国マーケットでは米金融政策の大転換を再び意識する状況へシフトしている。

今週はいよいよ米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。前回会合(4月28-29日会合)では6月利上げの可能性について多数のメンバーが否定的見解を示したことから、今回の会合で利上げに踏み切る可能性はないだろう(予想外に踏み切れば相当のネガティブサプライズ)。FF金利先物市場での利上げ確率はゼロとなっている。よって、焦点はFOMC声明文とイエレンFRB議長の会見内容となろう。

前回の利上げ実施が決定されたのが、2004年6月の会合だった。その前の会合(2004年5月4日)では「忍耐強くなれる」という文言を削除すると同時に「緩やかなペース」という表現で利上げを実施するシグナルを発信してきた。イエレンFRBは今年3月の会合まで2004年利上げ時の道のりを踏襲してきた。しかし、3月会合で「忍耐強くなれる」という文言は削除したものの、利上げシグナルとなる新たな文言の使用は未だなし。9月利上げがイエレンFRB内でメインシナリオとして設定されているならば、今回のFOMC声明で米景気回復に自信を示すと同時に利上げに向けた新たな文言を盛り込むことで、市場の地ならしに動く可能性が高い。イエレンFRB議長も会見で9月利上げに向けたシグナルを発信してくるであろう。この場合、米国マーケットの焦点は株式動向にあろう。イエレンFRB議長による「年内利上げ」発言(5月22日)以降、「株式軟調/米金利上昇」の展開となっている事実は、「緩和マネー依存症」を克服しきれていない米株の現状を浮き彫りにしている。このため市場が混乱しないよう(バーナンキショックの二の舞を避けるため)、イエレンFRBは利上げのペースについて相当慎重に行うことを明言するだろう。だが、一部では年内利上げはないとの観測も浮上しているタイミングで、実際は3か月後に利上げが実施される可能性が高まった場合、「緩和マネー依存症」から脱し切れていない米株が短期的に大きく崩れる可能性は否定できない。外為市場では、米金利上昇リスクを背景としたドル高が進行しよう(対円だけでなく経常赤字や政治リスクに直面する新興国通貨でのドル高の進行)。そのドル高も米株の圧迫要因となろう。円相場はUSD/JPYが上昇し、クロス円が下落する展開が想定される。だが、米株の下落がグローバル株式市場の不安定化につながれば、円相場全体で円高ムードが高まろう。

今年4月のFOMC声明では、原油安と急速に進行したドル高が米景気回復の疎外要因になると指摘。前者は落ち着きを取り戻しつつあるが、後者は再びドル高の兆しが見える。また、ギリシャ情勢や中国の景気減速といったリスク要因も考えた場合、米経済の成長が軌道に乗るかどうか12月まで見極めるスタンスを今回のFOMC声明や議長会見で示す可能性がある。この場合の米国マーケットの反応は、声明文やイエレン会見の内容次第となろう。12月までの利上げの可能性を明確にするならば、やはり短期的なリスク回避の動き(=米株下落/金利上昇/ドル高)を警戒したい。

一方、12月の利上げの可能性を示唆すると同時に、2016年の利上げの可能性にも言及してくるならば(国際通貨基金-IMF-はこの点を主張している)、「株高/金利低下/ドル安」の展開が想定される。

尚、18-19日の日銀金融政策決定会合も円相場の変動要因として注視しておきたい。

本日の焦点-FOMC控えレンジ相場か

12日に発表された米指標データは総じて良好な内容だったが、外為市場では目立った値動きは見られず。すでに米FOMCにらみの相場へシフトしているということだろう。よって、今日明日の外為市場はリスクイベントを前にしたレンジ相場を想定したい。

注目材料はギリシャ支援協議を巡る報道と欧州マーケットの動向だろう。この問題に関しては未だ情報が錯綜しており、欧州株式とユーロ相場の不安定化を招いている。欧州連合(EU)が、6月末に期限を迎える約72億ユーロ(約1兆円)のギリシャ金融支援を決定するには、今週18日のユーロ圏財務相会合での合意が必要となる。だが、ギリシャが金融支援を受けるためには、国際債権団(EU / ECB / IMF)を納得させるだけの経済構造改革案(緊縮財政政策の継続や年金削減等)を示すことが前提条件。しかし、それすらクリアできない現状を考えるならば、本日以降の欧州マーケットは不安定化する可能性があろう。ギリシャ不安から「株安/独金利低下」となれば、ユーロはドル&円で下値を模索する展開となろう。良好な指標データを背景に買い圧力強まっている英ポンドに対しても下落幅を拡大させよう。一方、ギリシャ支援協議の前進が確認できれば、ユーロ相場のサポート要因となろう。チャートポイントは下記「Technical analysis highlights」を参照されたし。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 124.06:10日MA(緑ライン) 123.50:5日MA(黄ライン)
サポート 123.15:21日MA(赤ライン) 122.45:6/10安値

直近の動向から、目先は5日MAを上方ブレイクするか、21日MAを下方ブレイクするかが焦点となろう。尚、直近のオーダー状況だが124.00&124.50レベルにはオファー、123.00、122.80及び122.50レベルにはビッドがそれぞれ観測されている。

EUR/USD

レジスタンス 1.1400:レジスタンスポイント 1.1234:10日MA
サポート 1.1143:一目/基準線 1.1127:21日MA

短期サポートラインは維持しているものの、RSIやDMIではユーロ買いの強さは確認できない。1.14手前での上値の重さや12日に10日MAでレジストされた経緯も考えるならば、下値トライに警戒したい。
サポートポイントは上記の通り。直近のオーダー状況だが1.1300、1.1350及び1.1400にはオファーが観測されている。ビッドは1.1150レベル及び1.1100に観測あり。

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