英国リスクからEUリスクへ

Market Overview

23日に行われたEU離脱の是非を問う国民投票の結果、英国は離脱を選択した。「英国ショック」は瞬く間に世界の市場に伝播し、外為市場では英ポンドが対ドルで約31年ぶりの水準まで急落。円は急騰。そして株式市場では世界的な株安の連鎖となった。

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Analyst's view

3つの焦点
今後の焦点は①ドル安の行方、②各国の金融政策、③欧州の政治動向となろう―
ドル安(①)は、リスク選好の土台として今年3月以降、明確に意識されているテーマである。事実、下の比較チャートがその点を示唆している(=特に24日は「ドル高=株安」の構図が鮮明となった)。ドル安継続ならば「英国ショック」の相殺要因となろう。しかし、イエレンFRBの言動によりドル安からドル高へ反転すれば、グローバル株式は再び不安定化しよう。結果、外為市場ではドル高以上に円高圧力が強まろう。事実、24日はそのような状況となった。金融政策(②)については、各国で政策手段に相違が見られよう。おそらく英中銀は「英国ショック」による景気後退を少しでも食い止めるために年内に利下げを敢行してくるだろう。自国通貨安による金融緩和の効果も期待できるからだ。よって年後半のポンド相場は、対主要国通貨で下落基調を辿る可能性が高い。一方、ドラギECBは「英国ショック」の現実化を受け、プロアクティブに金融緩和の強化を決断する局面に追い込まれる可能性が高い。このため、ユーロも対主要国通貨(特に対ドル&円)で売り圧力が強まる状況が散見されよう。そして日本では、円売り介入で円高に対抗するタイミングを見極めるフェーズへシフトしている。ただ、国内外のファンダメンタルズは円高要因へ傾いている。よって、「介入観測vsファンダメンタルズ」の状況は無用なボラティリティの拡大(急激な上昇/下落)を誘発するだろう。
グローバル市場のさらなる混乱は、欧州政治の動向(③)次第となろう。端的に言えば、「英国リスク」が他の欧州諸国のEUからの「独立」気運を高める要因となり得ることだ(=EUリスクへの発展)。事実、スコットランドでは同国行政府のスタージョン首相が英国からの独立を問う国民投票を再度行う考えを早速表明してきた。政情不安のスペインではカタルーニャ自治州のプチデモン州首相が、英国の離脱は同州がスペインから独立する根拠が強まったとの声明を発表。フランスやオランダではEU懐疑派の急先鋒である極右政党が台頭し(=Frexit&Nexitなる造語が一部メディアで散見され始め)、またイタリアでは今年10月に緊縮財政の是非を問う国民投票が開催される(=Italeaveという造語が出現)。ギリシャのEU離脱リスクも再び意識される可能性があろう(Grexit)。「英国リスク」から「EUリスク」への発展は欧州政治の機能不全を意味する。欧州の政治機能が麻痺すれば、今後中国リスク等が発生し世界経済が混乱した場合、世界的に迅速かつ協調的な経済政策を打ち出すことは不可能となろう。 
 

イエレンFRBのスタンス

目下、「EUショック」に対抗できるリスク選好の材料は上述した通り「ドル安」しかない。よって、目先注目されるのは、イエレンFRBのスタンスだろう。「英国ショック」を受けさらにハト派スタンスを協調する姿勢を示せば、ドル安が「EUショック」の相殺要因となろう。しかし、イエレン議長は21日の上院銀行委員会で、英国がEU離脱となっても米国経済がリセッション(景気後退)に陥るとは思わないと指摘している。言い換えれば、米指標データ次第では年内の利上げを敢行するということである。よって、今週以降発表される米指標データが総じて良好な内容となれば、ドル高リスクが再燃する可能性がある。ドル高はグローバル株式の下落要因となることから、外為市場ではクロス円(特に欧州通貨)を中心とした円高圧力が強まる展開が想定される。ドル円は100円台を維持できるか100円以下の攻防が常態化するか、この点を見極めるフェーズへシフトしている。


【比較チャート】緑:ドルインデックス 青:グローバル株式(MSCI)

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