焦点はEU首脳会議とユーロ相場

アナリストの視点-ギリシャショックによるユーロ売りは長く続かない?

EU

欧州中央銀行(ECB)は19日の緊急電話会議で、ギリシャ銀行向けの緊急流動性支援(ELA)の上限を再度引き上げることを決定した。17日に引き上げたばかりのELAの上限を2日後に再引き上げするという異例の展開は、ギリシャの銀行からの預金流出がかなり深刻化していることの証左だろう。今月の預金流出だけで40億ユーロを超えたとの報道もある。

混迷深まるギリシャ金融支援問題の解決は、今週2回(22・25日)開催されるユーロ圏首脳会議に委ねられているが、これら2回の会議を経てもギリシャ政府との溝が埋まらなかった場合、喫緊の課題である国際通貨基金(IMF)への返済(約15億ユーロの返済)は不可能となろう。この場合、ギリシャのデフォルトリスクとユーロ圏からの離脱(=ギリシャ危機)が意識され、欧州マーケットでは安全資産を求め独連邦債への資金シフトが加速し、欧州株安とユーロ相場の下落を誘発しよう。

だが、そのような展開となっても、ギリシャ危機がピークに達した2012年夏とは違いその影響は短期間で収束する可能性がある。第一に、ギリシャ危機がある程度欧州マーケットで織り込まれている点が挙げられる。事実、主要な欧州株式市場は4月以降上値の重い状況が続くものの、年初からの上昇幅を考えるならば調整の範囲内と言える。財政再建中のイタリアやスペインの10年債利回りも2.2%台と低水準で安定的に推移中。これら両市場は、EU財務相会合後も大きく崩れるムードはない。第二に、海外の民間投資家(大手金融機関)によるギリシャ国債の保有割合が急低下していることが挙げられる。

そしてユーロ相場において最も重要な点は、ドル安圧力が再び強まっていることだろう。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)はイエレンFRBの慎重姿勢が浮き彫りとなり、早期利上げ観測が後退。FOMC後、米債券市場では金融政策の方向性に敏感な2年債利回りの低下が鮮明となり、FF金利先物市場では今年12月までの利上げ確率が70%前後から50.00%付近まで低下している。米早期利上げ観測の後退よるドル売り圧力はギリシャリスクによるユーロ売り圧力を凌駕し、EUR/USDは一時1.14台へ上昇する等、未だアセンディングトライアングのパターン形成(5月15日高値1.1467レベルの突破)の可能性が残る展開となっている。
また、ユーロ売りが一過性に終わる要因として注目したいのが、通貨ドラクマの復活だ。仮にギリシャがユーロ圏を離脱した場合、ギリシャ政府は通貨ドラクマを復活させるだろう。しかし、ギリシャという国自体の信用力の低さからドラクマは対ユーロで急落するだろう。そのような展開となれば、ギリシャ国内のインフレ率が急上昇し、対ユーロでのドラクマ売り圧力がさらに増大するだろう(為替市場では高インフレ国の通貨に売り圧力が強まるため)。

本日の焦点-EU緊急首脳会議の行方

本日最大の焦点は、ユーロ圏(EU)緊急首脳会議となろう。ドル安圧力が再び強まる中、EU首脳レベルでギリシャの金融支援に向け議論が進展すれば、EUR/USDは1.14台の攻防へとシフトしよう。ユーロクロスも同様の展開となろう。

この場合、円相場はドルストレートでの下落を背景に「USD/JPY下落・クロス円上昇」の展開となろう。USD/JPYはチャート上のネックラインであり、125.86からの38.20%戻しの水準でもある122.00レベルを維持できるかが注目される。EUR/JPYはレジスタンスとなっている141.00を突破する展開が想定される。

逆に議論に何の進展も見られなければ、ギリシャのデフォルトリスクが意識され、ユーロ相場は売り圧力にさらされよう。この場合、円相場は上記とは逆の展開(USD/JPY上昇・クロス円下落)となろう。ただ、海外時間で欧州株が震源地となり世界的な株安となれば、短期的に円全面高の展開も想定されるため要注意。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 123.66:21日MA(赤ライン) 123.28:10日MA(緑ライン)
サポート 122.45:6/10安値 122.00:リトレースメント38.20%&レンジの下限

10日MAが21日MAを下方ブレイクしデッドクロスが示現。RSIも売り買い分水嶺の50.00レベルを下方ブレイクしていることを考えるならば、ダウンサイドリスクに警戒したい。目先は、日足の一目/基準線(青ライン)の攻防が注目されるが、真に注目すべきはネックラインであり今年最高値125.86からの38.20%戻しのレベルにあたる122円台の維持だろう。
上値は、上記の両MAを突破できるかが注目される。

EUR/USD

レジスタンス 1.1467:5/15高値 1.1450:レジスタンスポイント
サポート 1.1306:10日MA(黄ライン) 1.1240:短期サポートライン

今週もアセンディングトライアングルのパターン形成が焦点となろう。下値の焦点は10日MA及び5月27日安値1.0819を起点とした短期サポートラインの維持だろう。
ただ、これらテクニカルを下方ブレイクしても4月13日安値1.0520を起点としたサポートラインを下方ブレイクしない限り、ユーロ安/ドル高へ反転したと判断するのは早計だろう。

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