米9月利上げの可能性を探る状況は継続

アナリストの視点-玉虫色の米雇用統計

トレーダー

2日の海外外為市場は、米雇用統計(6月)が冴えない内容となったことでドル売り優勢の展開となった。ただ、9月利上げ観測を完全に後退させるほどのインパクトもなく、EUR/USDは1.10後半を中心としたレンジ相場が継続。USD/JPYも123円台を中心に売り買いが交錯する展開となった。

一方、クロス円は強弱まちまちの展開に。対ドルで堅調に推移した通貨は対円でも買い優勢の展開となった一方、EUR/JPYはNYタイムにEUR/USDでドル高優勢となったことを受け円高優勢の展開に。136円前半で上値の重い状況が継続したまま、本日の東京時間を迎えている。

6月の米非農業部門雇用者数は22.3万人と市場予想(23.3万人)以下となった。5月のそれも28.0万人から25.4万人へ下方修正された。だが、直近3ヵ月平均は22.1万人と20万人の水準を維持。失業率も5.5%から5.3%へ低下(今回の失業率低下は労働参加率の低迷が影響しているが、これは季節的要因とベビーブーム世代のリタイアが大きく影響しているため)労働市場の持続的な改善傾向が確認された。しかし、平均時給の伸び率は前月比で横ばい、前年比で2.0%の伸びにとどまったことで、利上げのハードルとなっている低インフレ状態を克服するにはまだ時間がかかることも確認された。今回の内容に米金利は低下、ドルは売りで反応。ただ、どちらも低下/下落幅が限定的だった点を考えるならば、今回の雇用統計は9月利上げの有無に対する決定打とはならず、これを巡るマーケットの焦点は早くも来週以降の米指標データにシフトしている。

さて、来週のグローバル市場の焦点だが、上記の米重要指標データの発表が第3週以降より本格化することを考えるならば、目先はやはりギリシャ情勢に注視せざるを得ないだろう。焦点は、5日のギリシャ国民投票で、同国のユーロ圏離脱リスク(Grexit)が高まる結果となった場合の欧州債券市場の動向だろう。ギリシャ情勢の不透明感が日に日に強まる中でも、独10年債利回りに急激な低下圧力がかかるムードは感じられず、0.80%前後の水準を維持している。一方、フランスのそれは1.30%前後、イタリア/スペインのそれも2.3%前後で安定的に推移しており、現在のところ2012年当時のような南欧諸国への波及リスクムードは感じられない。来週6日以降も同じ状況が続けば、「ギリシャショック=局所的かつ一時的なショック」という思惑がマーケットのコンセンサスとなる可能性がある。この場合、ユーロ相場は堅調に推移することが想定される。

一方、Grexiリスクが欧州債券市場の混乱要因となれば、ユーロ相場全体に相当の売り圧力がかかることが想定される。ただ、これまで述べてきた通り、そして9月の米利上げ観測への思惑が交錯する中では、そのような展開となっても「ギリシャショックによるユーロ売り」は短期間で終息する可能性が高いと考える。

本日の焦点-外為市場はレンジ相場を想定、リスクは株式の下落


昨日の米雇用統計を受けCMEのFED Watchでは、9月利上げの可能性が12.0%へ後退。12月までのそれも雇用統計発表前の57.0%から49%まで低下。上述した米国マーケットやドル相場の状況も考えるならば、本日ドル買いを仕掛ける理由はない。
一方、リスクイベントである5日のギリシャ国民投票だが、緊縮策受け入れに対する世論調査の報道を見る限り、ここにきて賛否が二分している。当初は反対派優勢だったが、潮目が変わりつつある点を考えるならば、ユーロ売りを仕掛けるタイミングでもない。また、本日は米系勢が不在であることも考えるならば、外為市場ではレンジ相場が想定される。

リスク要因はアジア・欧州株式の下落だろう。週末というタイミング、そして5日のギリシャ国民投票を意識し利益確定売り優勢となれば、円相場は円高優勢の展開(特にEUR/JPYでの円高進行)となることが想定される。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 123.49:21日MA(赤ライン) 123.29:10日MA(緑ライン)
サポート 122.50:サポートポイント 122.04:リトレースメント38.20%

上値は引き続き上記の両MAの突破が焦点となろう。一方、下値の焦点は122円台の維持で変わらず。直近のオーダー状況だが123.75及び124.00にはオファーが観測されている。122.50及び122.00にはビッドの観測あり。

EUR/USD

レジスタンス 1.1226:21日MA(緑ライン) 1.1165:一目/基準線(赤ライン)&10日MA(黄ライン)
サポート 1.0994:一目/雲の下限 1.0965:リトレースメント76.40%

上下のチャートポイントは上記の通り。直近のオーダー状況だが1.1150及び1.1200にはオファー、1.1030-1.1000にはビッドが断続的に観測されている。

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