異なる100円ブレイクの意味合い

Market Overview

16日の海外外為市場は、米ドルの売り買いが交錯する展開となった。欧州タイム序盤は、米早期利上げ観測の後退を背景にドル安が加速。対円では心理的節目の99.54レベルまで、対ユーロでは1.1322レベルまでドル安が進行した。しかしNYタイムでは、市場予想を上回った米住宅着工件数(7月)や鉱工業生産(同月)が好感されドルショートカバーが散見された。また、ダドリーNY連銀総裁が9月利上げの可能性を示唆したこともドル相場のサポート要因となった。

他の市場動向だが、欧州株式は景気の先行き不透明感を背景に総じて下落。米国株式もアジア&欧州株式に追随する展開となった。ダドリー発言は株安圧力を強めると同時に米金利の上昇要因となった。しかし、米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.75%でキャップされる状況が継続した。原油先物相場(9月限)は生産調整期待を背景に続伸し、一時46.72ドルと期近ベースでは先月15日以来の水準まで上昇する局面が見られた。

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Analyst's view

ドル円は16日、心理的節目の100円をあっさりと下方ブレイクし、安値99.54レベルまで下落した。「BREXITショック」時の100円ブレイクは、単なるイベントリスクを背景とした一過性の動きだった。しかし、今回の100円ブレイクはファンダメンタルズとテクニカルの両面が合わさった現象であり、同じブレイクでもその意味合いは全く異なる。

「ファンダメンタルズ面での100円ブレイク」という観点で注視すべき要因は、8月3日のレポート「ドル円100割れ 5つの要因」で指摘済み。昨日の100円ブレイクで筆者の興味を惹いたのが、ドル安と原油相場の続伸が同時に発生したにもかかわらず、ダドリー発言によって米国株式の上値が抑制されたことだろう。米利上げ観測が「金融緩和相場」の脆さを再認識させたかたちとなったわけだが、本日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で早期利上げに向けた議論が具体的且つ活発に行われていたことが判明すれば、米利上げ観測の再台頭を背景としたドル高リスクが市場で再浮上する可能性がある。そして、ドル高リスクは米株安を誘因する可能性があろう。「ドル高リスク→米株安」となれば、円相場は円高で反応しよう。

「テクニカル面での100円ブレイク」という観点で注視すべきは3つ。①2016年に入り一目/雲で上値がレジストされ続けていること。②それに伴い右肩下がりのレジスタンスラインが形成されていること。③一目/雲とレジスタンスラインで上値がレジストされ続けると同時に、節目の100円をローソク足の実体ベースでかろじて維持しているがために、ディセンディング・トライアングルの形状となっていることである(日足チャート参照)。そして、昨日の100円ブレイクがファンダメンタルズに基づいた現象である以上、ローソク足の実体ベースで100円を割り込むのは時間の問題だろう。それはディセンディング・トライアングルの完成を意味し、その完成はさらなるドル円の下落シグナルとなり得る。今後は、円売り介入警戒感とのせめぎ合いによりドル円のボラティリティは高まるだろう。それに伴いドル円は一時的に急上昇する展開が想定される。しかし、上記の一目/雲とレジスタンスラインを完全に突破しない限り、トレンドは常に円高方向と考えたい。


【ドル円日足チャート】

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