原油価格 リスク選好の阻害要因となる可能性あり

Market Overview

29日のNY外為市場はドル売り優勢の展開となった。イエレンFRB議長はニューヨークのエコノミッククラブでの講演で、今後の利上げについては「海外経済のリスクなどを考慮して慎重に進める」と表明。また、状況に応じて緩和へ転じる可能性も示唆した。米国債券市場では、議長発言が「ハト派」スタンスと受け止められ各ゾーンで利回りが低下。外為市場では上記の通りドル売り圧力が強まり、ユーロドル(EUR/USD)は今月18日以来となる1.13台へ到達する局面が見られた。一方、ドル円(USD/JPY)は112.61レベルまでドル安が進行した。ただ、ドル安は米国株式の押し上げ要因となったことで、クロス円は売り買いが交錯する展開となった。

チャート

Analyst's view

最近、FEDサイドからは利上げに向けた「タカ派」発言が聞かれていた。しかし、肝心のイエレンFRB議長は海外リスクと根強い低インフレ状態に警戒感を示した上で、今後の利上げについて慎重姿勢を強調してきた。CMEのFEDウォッチでは6月の利上げ確率が30%まで後退。7月のそれも43%前後まで後退している。米金融引締め観測の後退は、基本的にリスク選好要因となるはずだ。事実、昨日の米国株式はイエレン議長の「ハト派」発言が好感され3ヵ月ぶりの高値水準まで上昇する展開となった。リスク選好の先導役である米国株式がこのまま堅調さを維持するならばグローバル株式も同様の展開となることで、円相場はクロス円を中心とした円安トレンドの進行が想定される。USD/JPYはドル売り圧力と株高を背景とした円売り圧力(=クロス円での円売り圧力)に挟まれ、レンジ相場(111.00-114.50)が継続しよう。

だが昨日は、一点だけ気がかりな動向があった。それはドル安にもかかわらず原油価格が大幅に続落したことだ(=NY原油先物5月限及びブレント先物5月限の下落率は共に前日比2.8%を超えた)。産油国間における増産凍結合意への不透明感が強まっているにもかかわらず3月中旬まで原油価格が上昇基調を維持出来た背景には、ドル安があった。今月18日にドルインデックスがドル高へ転じて以降、原油価格の上値トライが抑制されている事実は、ドル安が原油価格のサポート要因であったことを示唆している。しかし、昨日のドル安が原油価格のサポート要因とならなかった事実は、ドル安以上に供給過剰懸念の方が再びエネルギー市場で意識されてきたことをうかがわせる。本日公表される米国の週間石油在庫統計でさらに在庫の増加が確認されれば、その懸念を背景に原油価格の続落要因となろう。そして原油価格が再び不安定化すれば、米利上げ観測後退のプラス要因をかき消され、上述した円相場のリスク選好シナリオが崩れる可能性がある。

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