米雇用統計の焦点は賃金動向

Market Overview

6日の海外外為市場は、欧州通貨買い優勢の展開となった。この日公表されたECB議事録を受け、欧州債券市場では金融緩和からの脱却期待が高まった。結果、独金利が上昇し米独利回り格差は縮小。ワイトマン独連銀総裁が金融政策の正常化について言及したことも、独金利と米独利回り格差の縮小要因となった。欧米債券市場の動きを受け外為市場ではユーロ買い圧力が強まり、ユーロドルは1.1425まで上昇。ユーロ円も129.42レベルと、2016年2月10日以来の水準まで上昇した。一方、マカファーティ英金融政策委員会(MPC)委員によるインフレ加速と利上げについてのコメントが意識され、英ポンドも買い優勢の展開となった。特に対円では147.28レベルと、5月11日以来となる水準まで上昇する局面が見られた。

この日の欧米株式は、金融引き締めに対する懸念を背景に総じて下落。米株ではハイテクセクターに対する売り圧力が強まり、ダウ平均は続落。ナスダック総合は前日比1%安の6,089.46と、5月19日以来の安値水準まで下落した。NY原油先物8月限は米国の原油&ガソリン在庫の減少が好感され反発。前日比0.39ドル高の1バレル=45.52ドルで取引を終えた。

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Analyst's view

6日の欧米市場は「株安・金利上昇」の展開となった。昨日の動きだけをもって、欧米の金融引き締め観測がリスク回避の引き金になる、と考えるのは早計だろう。6月27日以降、急反発した金利の動向に金融セクターは株高で反応し、原油先物相場も反発基調を維持し、さらに外為市場ではリスク性の高い資源国通貨買いと円売りが発生している現状も考えるならば、リスク選好トレンドは依然として根強いからだ。

欧米金利の反発が株式市場のネガティブ要因として捉えられるならば、そのきっかけは指標データにあろう。目先注目すべきは、世界経済のけん引役である米国のデータだろう。本日は6月雇用統計が発表される。これまでの金融緩和政策により雇用の増加、つまり「量」についてはすでに成果を上げている。この点は4.3%まで低下した失業率が示唆している。このため、市場の焦点は労働市場の「質」、つまり賃金動向にシフトしている。前年比で2.5%と抑制された賃金の伸びが今回も焦点となるだろう。賃金の加速が確認されるならば、「賃金増加→個人消費拡大→景気拡大→インフレ上昇期待」のサイクルが意識されることで、金融引き締め観測の負の側面(=企業の借入コストの増加)が意識されることなく「株高・金利上昇」の展開となろう。外為市場では金融政策のコントラスト(=引き締めの欧米 vs 緩和継続の日本)が意識され、円安優勢の展開となろう。一方、賃金の伸びが抑制されるならば、上述したサイクルが意識される可能性が低いことから米金利の伸びは抑制され、欧州通貨買いが米ドル買いに先行する可能性が高い。ただ、株式市場では株高要因と捉えられるだろう。
前者(=賃金上昇)の場合、ドル円の上値焦点は、5月の戻り高値114.37レベルのトライとなろう(チャート①参照)。一方、後者(=賃金抑制)の場合は、上値の重い展開となるだろうが、「株高・原油反発」を考えるならば下落幅は限定的だろう。まずはビッドが観測されている112.50レベルの維持が焦点となろう。一方、ユーロドルは節目の1.15トライが焦点。この水準をトライするシグナルとして、1.1445前後に観測されているオファーをこなすことが出来るかどうか、この点が注目される(チャート②参照)。


【チャート①:ドル円チャート】

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【チャート②:ユーロドルチャート】

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