米金利と原油先物相場

Market Overview

20日の海外外為市場は、FOMC前に進行した米ドル安の調整相場が継続した。ユーロドルは、14日高値1.1296からの38.20%戻しにあたる1.1118まで米ドルのショートカバーが進行した。ドル円は、アジア時間に一度トライした日足一目雲の下限が推移している111.80を再度試す局面が見られた。だが、この日のNY原油先物7月限が過剰供給懸念を背景に2.0%を超える大幅続落となったことを受け米長期金利が低下。米金利の低下は米ドル買い圧力の後退要因となり、ドル円は雲の下限手前であえなく反落した。

ドル円の上値が抑制されたこと、原油先物相場が続落したこと、そしてこの日のグローバル株式が総じて軟調地合いとなったことでクロス円の上値も重かった。特にポンド円は、今月15日以来となる140.59まで下落する局面が見られた。

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Analyst's view

2017年に入り米長期金利は低下基調にある。要因は米国の政治と経済の両方にあろう。前者の要因は言うまでもなくトランプ政策に対する期待が、政治の混乱により後退していることである。この点は、ロシア疑惑をめぐるモラー特別検察官の捜査次第でさらに米金利の低下要因もしくは抑制要因となる可能性がある。だが現在、より注視すべきは後者の方だろう。2017年に入り米国のインフレは低下傾向にある(チャート①参照)。特にコアCPIにいたってはFEDが利上げのタイミングを見計らっていた2015年半ばの水準まで急低下している。インフレ低下に歩調を合わせるように米10年債利回りも低下している。この状況を克服するには、20日のレポート「FOMC前に進行した米ドル安の調整相場を想定」で指摘したとおり賃金の上昇が必須となろう。この点については6月雇用統計まで待つ必要がある。

賃金動向以外で米インフレ動向に影響を与えるもうひとつの要因として注視すべきは、原油先物相場だろう。上述のとおり20日のNY原油先物7月限は大幅続落となり、一時は42ドル台へ突っ込む局面が見られた(チャート②参照)。この水準は、昨年11月の米大統領選の結果を受け、米ドルが急伸した際に付けた安値水準である。産油国間における減産とその期間延長にもかかわらず、国際エネルギー機関(IEA)は14日に公表した月報で、米国等の増産を理由に2018年にかけて需給の緩みを指摘した。5月のOPEC月報で5か国が増産していたこと、そして6月2日時点で米国内の石油掘削機(リグ)稼働数が22週連続で増加している事実も考えるならば、現在のところIEAの指摘は示唆に富む。原油安がさらに進行すれば、エネルギーセクターの下落要因ともなろう。現在の外為市場では米ドル安の調整相場となっているが、原油安が水を差す可能性が出てきた。

本日のドル円だが、111.80レベルの日足雲の下限が上値の焦点となろう。下値のそれは111円台の維持となろう。一方、ユーロドルは、21日MAと日足転換線が推移している1.1205レベルを上値の攻防分岐、1.1100を下値の攻防分岐と想定したい。


【チャート①:米インフレ動向と10年債利回り】

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【チャート②:NY原油先物チャート】

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