米株の動向を注視

Market Overview

14日の米国債券市場では、FOMC後に金利が急騰。これが外為市場でのさらなる米ドル買い圧力を強める要因となり、ドル円は本日早朝に117.40レベルまで急伸する局面が見られた。一方、ユーロドルは2015年以降、重要サポートポイントとして意識され続けてきた1.05レベルを下方ブレイクする局面が見られた(安値:1.0496)。

ただ、米ドル高の加速は欧米株式と新興国株式の重石となった。また、国際商品市況も米ドル高が嫌気され軟調地合いに。NY原油先物(1月限)はオクラホマ州クッシング原油在庫の増加も重なり、前日比-3.6%を超える急反落となった。国際商品市況の下落は資源国通貨や資源に依存する新興国通貨売り圧力を強めた。特に原油先物相場の上昇で堅調に推移し続けてきたカナダドル、ノルウェークローネ、ロシアルーブル、そして銅先物相場との相関性が高いチリペソの下落幅拡大が目立った。

bg_janet_yellen_1427157

Analyst's view

今回のFOMC後、米国債券市場ではトランプラリーにより行き過ぎた金利の上昇(=債券売り)相場が一度調整局面を迎える、と筆者は指摘してきた。しかし、FOMC後に各ゾーンの米金利は急騰(比較チャート参照)。米金利の上昇は外為市場での米ドル高圧力を強め、ドル円は117円台の攻防へシフトしている。筆者の予測に反し米金利がさらに上昇した主因は、14日のレポートでも指摘したFEDの2017年利上げ予測にある。9月時点では2回と想定されていた利上げペースが、最新予測では3回に加速する可能性があると指摘。利上げペースが加速するとの観測を高めた主因は、トランプ次期大統領が掲げる財政拡張政策にあろう。①巨額の減税とインフラ投資が実現すれば米国内の内需を大きく刺激する。②それは個人消費の急拡大をもたらす。③個人消費の拡大はインフレ圧力を強める。④インフレ圧力が強まればFEDとしては経済と物価安定のために利上げペースの加速で対応する、といった連想が最新の利上げ予測の根底にあろう。ただ、FEDによる2017年から2019年にかけての物価上昇率(Core PCE inflation)の予測がそれぞれ1.8%、2.0%、2.0%と、9月時点からまったく変更がない点を考えるならば、実際に3回の利上げを実施できるかどうかは、トランプ政権の政策運営能力次第と言えよう。この点は、来年1月20日以降の動向を見極める必要がある。

目下注視すべきは、現在のトランプラリーがいつまで続くのか、この点にあろう。ECBが緩和スタンスの継続を表明し、国際商品市況はトランプ政策への期待先行とOPEC減産合意を受け堅調に推移中。そして米利上げペースの拡大観測まで台頭している現状を考えるならば、年内中にリスク回避を背景としたこのラリーが収束する可能性は低くなったと言える。ただ、FOMC後のグローバル株式と国際商品市況が下落した点は、これ以上米金利上昇と米ドル高が進行した場合、危険水域に入る可能性を示唆している。海外勢がクリスマス休暇シーズンに入ることも考えるならば、やはり来週以降、一度調整局面が訪れる可能性を警戒したい。そのシグナルとして注視すべきは、米国株式の動向だろう。FOMC前の筆者の予想は米国債券市場が調整の牽引役だった。しかし、FOMC後のマーケット動向を考えるならば、株式市場がその役目を担う可能性が出てきた点は要注意。株高調整地合いとなるかどうかは、今日明日の米株の動向を注視する必要があるが、続落となれば来週以降の米ドル高調整局面の到来を警戒したい。その場合、ドル円の下限は12月のサポートポイント113.00を想定。ユーロドルは1.08を目先の上限と想定したい。


【比較チャート:米金利の動向】

chart-1215

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • 技術的な過ち

    金融取引において心理状態は重要な要素であり、どのように取引を理解し反応するかが成功に大きな影響を与えます。ここでは、取引での心理状態についていくつかの要素を紹介し、気を付けるべき一般的な過ちを確認していきます。

  • リミット

    ポジションを保有・清算できるいくつかの方法を学びます。単純な直接取引から、人がいなくても自動で指示を出すような取引までいろいろあります。注文取引により、利益額をあらかじめ設定したり損失額に対してストップをかけたりできます。複数の注文方法を紹介するとともに、利用方法を説明いたします。

  • オートチャーティスト

    アナリストがどのようにチャートを使っているのかを学び、投資家の行動を勉強し市場パターンを理解しましょう。利用可能な様々なチャートの使い方を学習し、チャートが示す価格パターンを確認します。