真に注視すべきはトランプリスクではなく原油安

Market Overview

1日の海外外為市場は米ドル安の展開となった。米大統領選に関する一部世論調査でトランプ候補リードの報道が伝わると、米ドル売り圧力が強まり、ユーロドルは1.1069までドル安が進行した。一方、円相場は、「トランプリスク」に原油安も重なりこの日の欧米株式が総じて軟調地合いとなったことから、海外時間は総じて円高優勢の展開に。ドル円は一時103.80まで下落する局面が見られた。クロス円も円高優勢となった。

他の市場動向だが、NY原油先物相場(WTI12月限)は減産合意に対する懐疑的な見方を背景に続落。資源国通貨は対ドルで強弱まちまちの展開に。原油安が重石となるもドル売りがその影響を相殺したかたちとなった。米債券市場では「株安・原油安」を背景に各ゾーンの金利が低下した。

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Analyst's view

1日の海外株式市場は、米大統領選の不透明感を背景にリスク回避の展開となった。この不透明感の主因は「トランプリスク」にある。ワシントンポストとABCテレビによる共同の世論調査ではトランプ候補1ポイントリードの報道(トランプ候補:46% / クリントン候補:45%)が伝わった。RCP(Real Clear Politics)といった他の世論調査では相変わらずクリントン候補が優勢だが、その差は急速に縮まっている。現在の外為市場が「クリント優勢=ドル高」「トランプ優勢=ドル安」で推移している点を考えるならば、本日以降も「トランプリスク(=クリントン劣勢)」に関する報道が散見されれば、これまで急速に進行したドル高調整地合いを促そう。

ただ、「トランプリスク」はあくまで一過性の現象である。真に注視すべきリスク要因は、1日のレポート「再び不穏なムードが漂う原油相場に要注意」で指摘したとおり、原油先物相場にあろう。減産合意への懐疑的な見方が強まる中、9月28日以来となる安値水準まで下落しているNY原油先物(WTI)だが、テクニカル面でも2月11日に付けた今年最安値26.05レベルを起点としたサポートラインをトライするという重要局面を迎えている(チャート①)。このラインの下方ブレイクは、テクニカル面でのさらなる下値トライシグナルとなるだろう。
原油先物相場の動向を注視すべき理由は、株安とインフレ期待を押し下げる要因となるからだ。実際、昨日はそのような展開(=株安 / 米金利低下)となった。特に警戒すべきは米株の下落だろう。チャート②(S&P500と10年債利回り比較チャート)をみると、S&P500が下落トレンドを形成しつつあることがわかる。直近の下落をクローズアップしたのがチャート③。昨日、ネックラインである2,120レベルをローソク足の実体ベースで完全に下方ブレイクしていることがわかる。原油安が加速すれば米株のさらなる下落を促そう。その過程で米金利にも低下圧力が強まり、結果、ドル高の調整が加速する展開が想定される。ドル円は103.50レベルで推移している日足の一目雲の上限が目先の下値攻防分岐だが、このテクニカルを下方ブレイクする場合は、ビッドが観測されている103.00レベルのトライを想定したい。一方、大陽線示現により1.1050レベルの上方ブレイクに成功したユーロドルは、①オファーが観測されている1.1100、②89日MA(今日現在1.1126)、③日足一目雲の下限(今日現在1.1159)そして④今年最高値1.1616を起点としたレジスタンスラインの順でレジスタンスポイントを想定しておきたい。


【チャート①:NY原油先物(WTI)】

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【チャート②:米S&P500と10年債利回り比較】

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【チャート③:米S&P500指数】

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