株高継続も鈍い円売り感応度

Market Overview

22日の海外外為市場は、米ドルの売り買いが交錯する展開となった。イエレンFRBの利上げ見送り決定の余波を受けドル売り局面が散見されるも、ユーロドルは1.12ミドルレベルで上値がレジストされ、長い上ヒゲが示現(日足ローソク足)。このレベルでの上値の重さを再確認する展開となった。一方、円相場は欧米株高を背景に「円売り>ドル売り」の展開に。ドル円は101.00手前まで米ドルのショートカバーが進行した。ユーロ円もアジア時間の安値112.08レベルから113.50レベルまで円安が進行する局面が見られた。ただ、ロンドンフィキシング後は米ドルの買戻し圧力が強まったことで、クロス円全般で上値の重い展開となった。

他の市場動向だが、原油先物相場(11月限)は前日比+2.0%以上の続伸。堅調な原油相場とイエレンFRBの利上げ見送りを背景に欧米株式は揃って続伸する展開となった。米金融政策の方向を織り込む2年債利回りは0.77%台でキャップされる状況が継続した。

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Analyst's view

目下、世界的に株高ムードが強まっている。主因は米利上げリスク(=ドル高リスク)の後退にあろう。イエレンFRBの利上げ見送り後、ドル安圧力が強まっていることで原油先物相場は続伸し、欧州株式はエネルギーセクターが上昇の牽引役となっている。また、米国株式市場では景気に敏感なハイテク株の上昇が目立ち、ナスダック総合株価指数は連日で高値を更新中。欧州発の金融危機リスクはくすぶっているものの、銀行セクターの小康状態を鑑みるに、今日明日にもそれが顕在化する可能性は低い。よって、目先は調整を挟みながら株高トレンドが継続する展開が想定される。

気になるのは、世界的に株式市場が堅調地合いとなっても外為市場での円売り感応度が鈍いことだ。ドル安圧力が強まっている現状を考えるならば、円安の牽引役となるべきはクロス円。しかし、ユーロ円はトライアングルの下限を完全に下方ブレイク。しかも、21日に一目/雲の下限(日足)で上値がレジストされた点も考えるならば、むしろさらなる下落リスクを警戒すべきフェーズへシフトしている。ポンド円も同じく一目/雲の下限(日足)で上値がレジストされ、三度の130円割れムードが高まっている。また、「株高+原油相場続伸」にもかかわらずカナダドル円は、21日にBREXITショック以来となる76.15レベルまで下落する一方、上値は一目/転換線(日足)で上値がレジスト状態。

この状況を誘発している主因は、黒田日銀による新たな金融緩和政策(長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策)に対する不透明感と考えられる。この点を如実に示したのが、黒田総裁の記者会見中(21日)に円高圧力が急速に強まっていった事実である。会見が始まった当初102.50レベルで推移していたドル円は一時101.60台まで急落。①金融緩和の軸が量から金利へシフトしたことでこれまでの量的緩和を軸とした異次元緩和の限界を市場に意識させ、②その量的緩和も購入増額とはならなかったことで事実上のテーパリングを市場に意識させ、且つ③新たなターゲット目標が設定された長期金利を中央銀行が操作できるのかという疑問を市場に想起させたがために(通常中央銀行がターゲットとするのは短期金利)、株高にもかかわらず円売りの感応度が鈍っていると考えられる。

ただ、株高が継続するうちは円高圧力もある程度は相殺されよう。また、今月は重要経済イベントも予定されておらず各市場が大きく変動する材料もない。よって、目先の円相場はレンジ相場入りが想定される。ドル円は下限を100.00前後、上限を一目/雲の下限(今日現在102.30前後で推移)と想定したい。


【ドル円チャート】

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