注視すべきは米雇用統計とドル相場の動向

Market Overview

4日の海外外為市場は、ポンドが急落した。イングランド銀行(BOE)はこの日開催された金融政策委員会で、7年5カ月ぶりの利下げ(0.50%→0.25%)を決定。同時に資産買取ファシリティー(APF)の額も現行の3750億ポンドから4350億ポンドに拡大するとした。利下げは市場で織り込み済みだったが、量的緩和の再開や年内もう1回の利下げ期待も高まったことで、ポンドは急落。対ドルでは7月27日以来となる1.3102レベルまでポンド安が進行した。ユーロにも売り圧力が強まり、ユーロドル(EUR/USD)は1.1114レベルまで下落した。一方、資源国通貨は総じて堅調地合いを維持。原油先物相場(WTI9月限)が大幅に続伸し(前日比+2.69%)、国際商品市況全体も堅調に推移したことがサポート要因となった。

他の市場動向だが、BOEの金融緩和を受け欧州株式は総じて堅調に推移した。一方、米株は欧州株高や原油先物相場の続伸がサポート要因となった一方、5日に発表される米雇用統計を見極めたいとの思惑もあり、値動きは限定的だった。

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Analyst's view

カーニーBOEは「BREXITショック」の悪影響が出始める年後半を見据え、緩和スタンスを鮮明にしてきた。危機意識は資産買取ファシリティーの増額(=量的緩和の再開)に見て取れる。2012年10月以来止めていた国債の新規購入を今後6カ月かけて市場で国債600億ポンドを購入する他、ポンド建ての社債を100億ポンドまで購入することも決定。さらに委員の過半数が年内0%水準への利下げをも想定しているとなれば、ポンド相場に売り圧力が強まるのは当然だろう。

ただ、4日のレポート「焦点は欧州通貨の動向」で指摘したとおり、BOEイベントの真の焦点は、カーニーBOEの決定を受けたユーロ相場の動向である。ユーロ相場の動向はドル相場の方向性に大きな影響を与えるからだ。そのユーロは対ドルで2日連続の陰線が出現し続落中。ユーロ円(EUR/JPY)や資源国通貨でもユーロ安となった。カーニーBOEが動いたことでドラギECBもプロアクティブに動かざるを得ない(=早期に金融緩和の強化に踏み切らざるを得ない)との連想が働いている可能性が高い。

欧州通貨売りはドル相場のサポート要因となり(=7月のドル高が再現され)、4日のドルインデックスは2日連続で陽線が出現している。本日の米雇用統計(7月)で、賃金の伸びも含め労働市場の改善傾向が確認されれば、ドルインデックスは再び200日MAの突破を目指す展開となろう。テクニカル面でもサポートラインの維持が明確化することで、緩やかなドル高トレンド形成の思惑が醸成されよう(チャート参照)。

ドル高が円高要因であることは既にこのレポートで指摘済み。2016年は「ドル高=株安」「ドル安=株高」の構図が鮮明となっており、円相場、特にドル円(USD/JPY)は株式市場のトレンドに左右される状況となっているからだ。米雇用統計の結果に外為市場がドル高で反応した場合、USD/JPYのファーストリアクションが「ドル高・円安」となっても、FEDの利上げが意識され株式市場や国際商品市況の圧迫要因となれば、上昇幅は限定的となろう。注目すべきレジスタンスポイントは、一目/雲の下限(日足、104.00)レベル。すぐに下の水準には21日MAも推移しており重要レジスタンスポイントとして意識しておきたい。これらテクニカルの突破に成功しても、雲の上限(日足、105.42)やレジスタンスライン(105.60)の突破に成功しない限り、常に100円割れリスクを警戒したい。


【ドルインデックス日足チャート】  

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【ドル円日足チャート】 赤ライン:21日MA   青ライン:10日MA

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