ドル高圧力の高まりと人民元相場の動向

Market Overview

18日の海外外為市場は、ドル高の展開となった。この日発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で「6月利上げ」の可能性が議論されていたことが判明。これを受け米債券市場では各ゾーンの利回りが急騰。金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは、3月16日以来となる0.9120レベルまで急伸する局面が見られた。米金利の上昇は外為市場でのドル高圧力を強め、ドルインデックスは重要レジスタンスポイント95.20台まで上昇した。これを受けドル円(USD/JPY)は心理的節目の110.00を突破し、110.26レベルまでドル高が進行した。一方、ユーロドル(EUR/USD)は、4月22日の安値1.1218を下方ブレイクし1.1214レベルまで下落する局面が見られた。

ドル高を受け、原油価格(WTI6月限)は利益確定売り圧力が強まり小幅に反落。NY金も同様の展開となった。また、「6月利上げ懸念」を背景に米株にも売り圧力が強まったが、「金利の上昇→貸出金利の上昇→金融機関の収益拡大期待」を背景に金融セクターが上昇したことで、ドル高のネガティブインパクトを相殺した。

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Analyst's view

筆者にとって昨日のFOMC議事録の内容は意外だった。米金利の急騰やCMEの「Fed Watch」で6月の利上げ確率が議事録公表前の15%前後から34%まで急上昇したこと点を考えるならば、今後の指標データ次第でイエレンFRBによる「6月利上げ」の可能性をさらに意識した展開を想定する必要が出てきた(実際利上げに踏み切るかどうかは別問題)。

「良好な指標データ→6月利上げ観測の再台頭」の展開となれば、市場は「米金利上昇→ドル高」で反応しよう。その場合、これらマーケット動向が2月中旬以降、リスク選好回帰の起点となった国際商品市況へどのような影響を与えるか、この点が新たな焦点として浮上しよう。昨日の原油価格(WTI6月)は上記の通り小幅に反落。一方、CRB指数は小幅に続伸する展開となる等、昨日はドル高に対して過敏な反応を示さなかった。VIX指数もレンジ内(13-18ポイント)で推移中。この状況が継続するらば、グローバル株式市場が再不安定化する可能性は低いだろう。よって、円高圧力が急激に強まる可能性も現時点では低い。

だが、ドル高がさらに進行することで国際商品市況が崩れるならば、グローバル株式市場もその動きに追随しよう。そのトリガーとなる要因として注視すべきは、やはり中国市場、特に人民元相場だろう。オフショアのドル/人民元(USD/CNH)は、これまで人民元安圧力を抑制していた「ドル安」という蓋が外れたことで、今年2月上旬の水準まで人民元安が進行中。冴えない指標データを背景に上海株式は節目の3,000ポイントで上値がレジストされ、目先のサポートポイント2,770レベルをトライ中。中国株式に下落圧力が強まっているタイミングでドル高  /人民元安がさらに進行すれば、同国からの資本流出懸念が再び意識される可能性があろう。国際商品市況が堅調さを保ち、VIX指数が低空飛行状態にあり、且つグローバル株式市場が何とか持ち堪えている現状は、中国リスクが顕在化していないことの証左ではあるが、このリスクが突然市場で意識される展開は昨夏以降から散見されるパターンである。心理的節目の110.00を突破したドル円(USD/JPY)は、グローバル市場(=国際商品市況 / グローバル株式)が堅調に推移し続ければ、112円再トライの可能性が見えてきた。しかし、中国リスクが意識されるならば、一気に円高圧力が強まる可能性を内包しての上昇である点を考慮しておくべきだろう。


【中国人民元(CNH/USD)】※USD/CNHの逆数

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