「リスク回避のドル高」に要注意

Market Overview

17日にカタールの首都ドーハで開催された原油の増産凍結協議は、産油国間同士の足並みの乱れが露呈し合意に至ることが出来なかった。市場が求める減産はおろか、増産凍結ですら頓挫する状況では供給過剰懸念の後退は望めない。市場が注目する次の焦点は、6月2日に開催されるOPEC総会となろう。それまで原油価格の不安定化が続く可能性が高まった点は、今後、ことあるごとにリスク選好回帰ムードに水を差す可能性があろう。

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Analyst's view

ただ、現在はVIX指数が示すように投資家のリスクセンチメントは改善傾向にある。よって、原油価格の不安定化のみでグローバル市場全体が年明けのような混乱状態に陥る可能性は低いと想定している。

その理由は2つ。ひとつは、昨夏以降リスク回避の震源地となっていた中国人民元相場が堅調に推移していることである。実際、2月以降の人民元相場は対ドルで元高優勢で安定的に推移している。もうひとつは、米国株式がリスク選好の先導役を担っている点にある。比較チャート②を確認すると、日中はもちろんのこと、世界の株式パフォーマンス(MSCI)と比較しても米国株式の好調さが目立っている。これら市場が安定化している最大の要因は、イエレンFRBのハト派スタンス継続を背景としたドル安だろう(この点は資源国&新興国通貨も同様)。よって目先、人民元相場と米国株式の再不安定化をもたらすならば、それはドル高となる可能性が高い。また、ドル高は原油価格の押し下げ要因ともなり得る点も要注意。

そのドル相場だが、直近のドルインデックスは特段のドルの買戻し材料が無いにもかかわらず、94.00レベルで底打ち感を強めている。また、米2年債利回りも0.70%前後で底打ち感を強めている。これが「イエレンFRBのハト派スタンス織り込み済み」を示唆するならば、ドル相場は徐々にドル高へ回帰する展開が想定される。その過程で人民元相場への不透明感が強まれば、外為市場では原油価格の再不安定化も合わさり資源国&新興国通貨安が加速しよう。米国株式も決算シーズンを乗り切ることが出来たとしても、「ドル高+中国リスク+原油価格不安定化」の三重苦により上値の重い展開へシフトする展開が想定される。

尚、円相場では常に円高加速を警戒したい。主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米当局が「円相場の動きは秩序的」と指摘し、日本サイドによる円安誘導政策をけん制する発言があった。このタイミングで「リスク回避のドル高」となれば、円相場は株安の方に強く反応することで下値トライとなろう。

【比較チャート①】緑:米国株式 青:世界株式 赤:中国株式 黄:日本株式
 

株式チャート

【比較チャート②】青:オンショア 赤:オフショア

人民元チャート

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