米国経済が新たなリスク要因として浮上する可能性あり

Market Overview

28日のNY原油先物相場(WTI3月限)は、ロシアとOPECが減産について協議するとの観測報道が好感され3日続伸。堅調な原油相場の動向は米国株式をサポートする展開となった。一方、この日の米国債券市場は、米国経済の先行き不透明感と好調な7年債の入札を背景に各ゾーンの利回りが低下。「原油相場反発・株高・金利低下」は外為市場でのドル売りと資源国通貨買いの圧力を強めた。ただ、NYタイム後半では33.80ドルレベルで原油相場の上値がレジストされる展開となった事実を鑑みるならば、市場ではOPEC加盟国と非加盟国間での減産合意の実現性は尚不透明と考えていることが窺える。

円相場は、クロス円を中心に円安優勢の展開となった。EUR/JPYは今月4日以来となる130円台へ再上昇する局面が見られた(高値130.22)。一方、USD/JPYはドル売りと株高を背景とした円売りに挟まれ、119.00手前で上値の重い状況が継続。118.80台で推移したまま本日の東京時間を迎えようとしている。

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Analyst's view

中国経済がソフトランディングするかハードランディングするか不透明感が漂う中、目先、原油相場の反発要因は産油国間における減産合意にあるとこのレポートで指摘し続けてきた。この点に関して、原油安により財政赤字に陥った石油輸出国機構(OPEC)の盟主サウジアラビアと世界第2位の原油生産量を誇るロシア(OPEC非加盟国)が減産に向け動きだす可能性が指摘されている。昨日は、ロシアサイド(ノワク・露エネルギー相)から2月中にも減産を巡る調整協議の場を設ける可能性があるとの情報も発信された。その実現性への期待がさらに高まれば3月開催予定のOPEC総会を待たずに、原油相場(WTI)は38ドルレベルまでは一気に上昇しよう(チャート参照)。その過程で、外為市場では資源国通貨と新興国通貨の買い戻し圧力が強まろう。

ただ、事はそう簡単に運ばないという懸念は、29日のWTIが標準誤差回帰分析バンドの中心線でレジストされたことが物語っている。サウジアラビアとイランの対立を背景としたOEPC内の足並みが乱れるリスクはくすぶり続け、また、CRB指数が21日MA(チャート青ライン)及びレジスタンスラインで上値が抑制されている状況も考えるならば、産油国間がかろうじて減産で合意しても中国リスクへの懸念が後退しない限り、反発の動きは一過性で終わる可能性ある。

その可能性を高める要因として、中国リスク以外に注視すべきは米国経済の動向だろう。各連銀の製造業指数(NY連銀 / フィラデルフィア連銀)はマイナスに落ち込み、ISM指数のそれも昨年11月以降、好不況の分岐点である50.0を下回る状況が継続中(1月の予想値は48.5)。同指数は2008年2月以降(リーマンショック前に)、その後の米景気後退を予見するかのように50.00を下回り続けた経緯がある。景気に敏感な製造業関連指数のみならず、個人消費の動向を示す小売売上高は、昨年12月のコアが前月比で0.1%減。2015年通年では前年比2.1%増と前年の同3.9%増を下回る内容となった。また、設備投資の先行指標として注目度が高い耐久財受注(12月分)は前月比5.1%減(コアは同1.2%減)と、昨年8月以来1年4カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。来週は重要な米指標データの発表が目白押しだが、総じて予想以下となれば上記の減産合意期待を相殺する要因となりかねないだろう。現在、円相場は期待先行での原油相場反発を背景に円高圧力が後退しているが、米指標データ次第では再び円高圧力が強まる可能性を常に意識しておきたい。

【WTI日足チャート】標準誤差回帰分析バンド

WTI日足チャート

【CRB指数日足チャート】青:21日MA

CRB指数チャート

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