円&ユーロのショートカバーを警戒

Market Overview

18日の海外株式市場はリスクオフ優勢の展開となった。主要な欧米株式市場は、クリスマス休暇前のポジション調整と下げ止まらない原油安が嫌気され、総じて軟調地合いに。特にダウ平均及びS&P500は約2ヶ月ぶりの安値水準まで下落する展開となった。新興国市場も欧米株式に追随。週間騰落率ではブラジル(-2.99%)とロシア(-1.47%)株式市場の下落が目立った。

世界的な株安は外為市場での円高圧力を強め、USD/JPYは121.05まで急落。黒田日銀の期待外れの緩和補完措置(黒田総裁によれば追加緩和ではないとのこと)による円買い圧力も重石となった。クロス円も総じて円高優勢で推移したが、NYタイムのEUR/JPYは堅調に推移した。

チャート

Fundamentals Analysis Highlights

筆者にとって、18日の黒田日銀による「緩和補完措置=①ETF新買入れ枠設定・②国債買入れのデュレーションの長期化・③貸出支援金制度期限の延長・④日銀融資の担保種類の拡充・⑤成長分野に融資した金融機関に対する低利融資の拡充・⑥J リートの

買入れ限度額の引き上げ」は想定外の決定だった。「戦力の逐次投入はしない」とあれ程明言していた黒田総裁が「戦力の逐次投入」に打って出た背景には様々な要因があろう。中でも、原油価格の急落に伴い企業と消費者のデフレマインド改善が腰折れになるリスクを前にして何も手を打たなければ、これまで日銀が実施してきた政策との整合性が取れない(国内外に説明責任が果たせない)との懸念が黒田日銀内で意強く識された可能性がある。

とは言え、小出しの感が否めない「補完措置」にとどまった背景には、①株高は維持したいがこれ以上の円安促進はかえって輸入インフレを高めることになる、②実質賃金の伸びが緩慢な状況にある中での輸入インフレ上昇は来年夏の参院選にネガティブインパクトを及ぼす可能性がありそれは避けたい、③早ければ来年2月にも予定されている米議会でのTPP承認に関する審議への悪影響を避けたい(共和党内ではマコネル上院院内総務がTPP法案審議を17年に先延ばしする意向を表明する等審議入りに不透明感が増している)、との思惑があると考えられる。

「補完措置」は「追加緩和」の温存シグナルでもあるが、マーケットはリスクオフで反応。筆者の想定通り「1月追加緩和」を実施しても、その持続性に決して小さくない疑問符が付く結果となった。また、18日の海外市場が総じてリスクオフとなった点も考えるならば、現在、市場のメインテーマが低迷する国際商品市況であることをあらためて認識させる結果ともなった。

 

 

【パフォーマンス比較チャート 基準日:11月2日】青:グローバル株式(MSCI) 赤:商品市況(CRB指数)

Today’s Outlook

今週も市場の焦点は国際商品市況の動向に集中しよう。イエレンFRBサイドから12月利上げに関するタカ派発言が相次いだ11月以降のグローバル株式と商品市況のパフォーマンスを比較したチャートを確認すると、12月入り後は株式の下落により商品市場との乖離が収斂される傾向にあることがわかる。よって、国際商品市況の低空飛行が続く限り、常にリスクオフを警戒すべき局面にあると言えるだろう。

一方、CFTCによれば米連邦公開市場委員会(FOMC)後、金融政策に敏感な米2年債のショートポジションは調整される方向にある。「商品安→株安」のトレンドが継続すれば、米債ショートの巻き戻しがさらに加速することで、外為市場では円&ユーロを買い戻す動きが加速しよう。
ただ、より警戒したいのはユーロのショートカバーの方だろう。CFTCによれば、対ドルでの円ショートは6.8万枚から2.6万枚に急減している。ユーロも17.2万から15.9万に減少しているが、積み上がりの規模を考えるならば、ショートカバーの余地があるのはユーロの方だろう。実際、18日のNY外為市場ではユーロ買い圧力が円買い圧力を凌駕し131円台を維持した経緯がある(安値131.03)。

【パフォーマンス比較チャート 基準日:11月2日】青:グローバル株式(MSCI) 赤:商品市況(CRB指数)

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 122.30:21日MA(緑ライン) 121.66:10日MA(赤ライン)
サポート 120.82:一目/雲の下限 120.00:心理的節目、ビッド

120.00-123.50のレンジは変わらず。より注視すべきは日足の一目/雲の下限を下方ブレイクし、120円をトライする展開だろう。上下のチャートポイントは上記の通り。
尚、直近のオーダー状況だが121.00、121.50及び120.00にはそれぞれビッドが観測されている。

EUR/USD

       

レジスタンス 1.1085:一目/雲の上限 1.0965:一目/雲の下限
サポート1.0900:サポートポイント 1.0800:21日MA(緑ライン)、一目/基準線 1.0750:ビッド

焦点は引き続き1.08台の維持。21日MAがこのレベルまで上昇している他、厚いビッドも観測されている(1.08下にはストップの観測あり)。一方、ユーロショートカバーの展開となった場合は、日足の一目/雲のトライが焦点となろう。

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