米国株式市場における利上げの耐性度合いを見極める一週間

アナリストの視点-ドル相場と米国株式市場における順相関の再構築なるか

ディーラー

イエレン議長を筆頭とした米連邦準備理事会(FRB)メンバーから利上げに対してタカ派寄りの発言が続いていること、そして堅調な伸びを示した4-6月期の実質国内総生産(GDP)を受け、グローバル市場では米国の年内利上げが強く意識されている。ただ、外為市場では米利上げについてある程度織り込んでいるため、利上げ期待のみでドル高がトレンド化する可能性は低いだろう。では、ドル高がトレンド化するための重要ファクターとは何か?それはドル相場と米国株式市場における順相関の再構築であると筆者は考えている。

先週より当レポートで指摘している通り、7月以降、米ドルの総合的なトレンドを示すドルインデックスと米国株式市場は、順相関の関係に回帰しつつあることがわかる。それまでドル高は企業収益や商品市況のネガティブ要因として捉えられ、その結果、ドル相場と米国株式市場の間では逆相関の関係が散見されていた。しかし、米利上げ時期が近づくにつれ、両者の関係が再び順相関へ回帰しつつある事実は、米国株式市場における利上げへの耐性が強まりつつあること示唆している。

しかし、この点について確信を持つためには、さらなる良好な米インフレ&雇用関連指標データを受けて尚、米国株式市場が現在の高値圏を維持することが求めらよう。米企業決算がピークアウトする中、今月より米指標データにより反応しやすい日々が続こう。特に今週は、個人消費支出(6月、PCEコア・デフレーター)や雇用統計(7月)といった重要指標データが目白押し。総じて市場予想を上回る内容が続けば、「9月利上げ」が意識されよう。この場合、米国株式市場が高値圏を維持できれば、米金利には緩やかな上昇圧力が強まることで、ドル高トレンドが鮮明となっていこう。特に中国リスク、中銀による利下げ、そしてドル高を背景とした商品市況の低迷といった三重苦に直面する資源国通貨は対ドルで下げ幅を拡大させよう。金融政策のコントラスト(=方向性の違い)を背景にユーロも対ドルで1.08割れトライの展開が想定される。対円では「第一黒田ライン=124.60」レベルの突破が焦点となろう。ただ、安倍政権の支持率低下や難航する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉のかく乱要因となり得る過度のドル高/円安は日米双方ともに望んでない。よって、「第二黒田ライン=125.00」に近づくにつれ、政治的思惑が上値を重くする展開が想定される。

本日の焦点-米指標データと株式の反応

本日最大の焦点は、米指標データとその内容を受けた米国株式市場の動向だろう。注目指標はPCEコアデフレーター(6月)とISM製造業景況指数(7月)。前者の予想値は+0.2%(前月比)、後者のそれは53.5(同)となっている。総じて予想以上となり、米国株式市場がそれら良好な結果を素直に好感すれば、「株高・金利上昇」を背景に外為市場ではリスク選好のドル高となろう。EUR/USDは1.08を視野に下落幅が拡大する一方、USD/JPYは上記の「第一黒田ライン=124.60」レベルをトライする展開を想定したい。

一方、良好な指標データが利上げ懸念を想起させ米国株式市場の不安定化要因となった場合は、金利の動向が焦点となろう。「株安・金利上昇」ならばリスク回避のドル高圧力が強まり、対資源国通貨や新興国通貨でドル高となる一方、USD/JPYは株安の影響を受け日足の一目/雲を視野に円高優勢の展開が想定される。

株安に連れ金利も低下するならば、総じてドル安優勢(=ドルロング調整)の展開となろう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 124.75:レジスタンスポイント 124.57:リトレースメント76.40%
サポート 123.80:一目/転換線(緑ライン) 123.36:一目/雲の下限

レンジの下限を日足の一目/雲の上限、レンジの上限をリトレースメント76.40%と想定。RSIは売り買い分水嶺の50.0を上回る水準を維持しているが、ドル高加速ムードは感じられない。方向感が出てくるならば、上記のレンジをどちらかにブレイクした時だろう。
ただ、レンジを上方ブレイクしても124円後半は政治的な領域であることから、一気に125円台へ再上昇する展開は想定し難い。仮にそのような展開となっても、滞空時間はわずかだろう。むしろ、警戒すべきは株式市場の不安定化を背景に下値トライとなった場合だろう。この場合、基準線(今日現在122.50レベル)及び雲の下限(今日現在122.17レベル)を下方ブレイクする展開を想定したい。

EUR/USD

レジスタンス 1.1122:リトレースメント50.00% 1.1100:レジスタンスポイント
サポート 1.0893:7/30安値 1.0810:サポートポイント

今週は1.08台の維持が焦点となろう。この水準を維持するならば、1.08-1.1120(リトレースメント50.00%)のレンジ相場が想定される。
逆に1.08を下方ブレイクした場合はストップを巻き込み、1.06ミドルレベルまでユーロ安/ドル高が進行する可能性があろう。

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • レバレッジと証拠金

    ここでは、IG証券の取引プラットフォームを紹介し、多様な資産クラスを提供するCFDを有効に取引するための方法について説明いたします。また、ストップ注文やリミット注文などの機能、レバレッジ取引の仕組みについても解説いたします。

  • 外国為替市場

    世界最大で最も流動性の高い金融市場の仕組みについて理解します。どのように国際通貨が取引されているかをご説明し、ポピュラーマーケットの取引を開始する前に知っておくべき重要ポイントを押さえます。

  • CFDの取引方法

    ここでは、IG証券の取引プラットフォームを紹介し、多様な資産クラスを提供するCFDを有効に取引するための方法について説明いたします。また、ストップ注文やリミット注文などの機能、レバレッジ取引の仕組みについても解説いたします。