ドル高回帰を阻む低インフレ状態

アナリストの視点-ドル高回帰の鍵は低インフレ状態の克服

ディーラー

18日の外為市場では、ギリシャ問題を巡りユーロの売り買いが交錯する展開となった。この日のユーロ圏(EU)財務相会合ではギリシャ金融支援に関して具体的な合意に至ることができず、22日に臨時のユーロ圏首脳会議を開催することを決定。最終的に首脳レベルでの政治決着を目指すこととなった。
欧州タイムのEUR/USDは、ドル売りにサポートされ目先のレジスタンスポイント1.1400の突破に成功したものの(高値1.1437)、NYタイムではEU財務相会合の結果を受け1.13ミドルレベルまで反落。ユーロクロスも同様の展開となった。
ドル相場は米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル売りの流れが継続。ドルインデックスはサポートポイント93.00レベルを再び視野に入れる展開となっている。

昨日の動向で筆者が注目したのは、総じて良好な指標データに米国マーケットが「株高/10年債利回り上昇/2年債利回り低下」で反応したことだ。これが意味するところは「米景気は1-3月期の景気低迷を脱し回復基調へと回帰した(=米株高/10年債利回り上昇要因)。しかし早期利上げを促す程の回復力ではない(=2年債利回り低下要因)」ということだろう。
後者の観測を強めているのが、利上げのハードルとしてイエレンFRBが認識している低インフレ状態が続いていることだろう。昨日発表された米指標データは総じてファンダメンタルズ改善を示す内容となったが、消費者物価(CPI)コア指数だけは前月比0.1%増と市場予想に届かず。利上げのタイミングは労働市場とインフレ動向次第というのがイエレンFRBの一貫したスタンスである以上、労働市場の改善とともに低インフレ懸念を払しょくするだけの指標データも揃わない限り、ドル高トレンド回帰はまだ先の話となろう。よって、目先の米国マーケットは「緩やかな株高 / 低空飛行の米金利(2年債利回り) / 売り買い交錯のドル相場」の展開が想定される。

本日の焦点-日銀イベントは無風の可能性大

本日東京時間の焦点は、日銀金融政策決定会合となろう。現在の株価 / 円安水準を考えるならば、現状の政策を維持するだろう。
注目は黒田総裁の会見だが、すでに円安けん制とマーケットで捉えられた10日の国会答弁については「けん制でない」と否定しており、最大の焦点はやはり追加緩和の可能性にあろう。ただ、この点に関しても、従来通りの見解を示す可能性が高いだろう。インフレ率の下落要因である原油価格は次第に落ち着きを取り戻し、直近のNY原油先物相場は1バレル=60ドル前後でこう着状態が継続している。また、厚生労働省が18日発表した4月の毎月勤労統計調査によれば、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は前年同月比0.1%減と24カ月連続で減少している。
安全保障問題で安倍政権への風当たりが強まっているタイミングで、黒田総裁がこれ以上の円安を促進する発言をすれば、むしろ国内需要の縮小要因(円安→実質賃金のさらなる低下→個人消費の低迷→企業収益を圧迫→国内需要が縮小)となり、安倍政権の支持率を支えてきた経済政策が一転してネックとなる可能性がある。
そして米国では今夏の環太平洋経済連携協定(TPP)合意に向け神経戦が続いており、急激な為替相場の変動は反TPP勢力や対日強硬派を勢いづかせる可能性があろう。追加緩和への期待が後退すれば一時的な円高を誘発する可能性はあるものの、今回の日銀イベントは無風で通過する可能性が高いだろう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 123.62:21日MA(赤ライン) 123.51:10日MA(緑ライン)
サポート 122.45:6/10安値 122.00:リトレースメント38.20%&レンジの下限

21日MA(赤ライン)を完全に下方ブレイク。しかも、10日MAが21日MAを下方ブレイクしデッドクロスが示現。RSIも売り買い分水嶺の50.00レベル付近まで低下していることを考えるならば、目先はレンジの下限である122.00レベルの維持が焦点として浮上する可能性が高まってきた。一方、上値の焦点は上記のMAを突破できるかが焦点となろう。
尚、直近のオーダー状況だが124.50、124.80そして125.00にはオファーが観測されている。122.00には厚いビッドの観測あり。

EUR/USD

レジスタンス 1.1450:レジスタンスポイント 1.1400:レジスタンスポイント
サポート 1.1300:10日MA 1.1215:短期サポートライン

目先のレジスタンスポイント1.1400レベルの突破には成功。ただ、ローソク足の形状が陰線トンカチとなった事実は、1.14ミドル前後が依然としてユーロ売りレベルであることを示唆。よって、今後の上値の焦点は1.1450&年初来高値1.1467のトライにあろう。一方、下値のそれは10日MA及び5月27日安値1.0819を起点とした短期サポートラインの維持となろう。
尚、直近のオーダー状況だが1.1450にはオファー、1.1300前後、1.1270、1.1250及び1.1200前後にはビッドが観測されている。

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