強まる米成長減速懸念

アナリストの視点 -米経済の先行き不透明感を背景にドル安トレンド継続

チャート

16日の海外外為市場でもドル売りが継続した。米指標データは強弱まちまちの内容、FEDスピーカーもタカ派 / ハト派スタンスが入り混じる内容となったが、直近の冴えない米指標データを背景に再台頭している早期利上げ期待の後退は根強く、ドルインデックスは目先のサポートポイント96.00前後を視野に3日連続で陰線が示現。EUR/USDはテクニカル面で重要な21日MA(4/16現在1.0797)を一時上方ブレイクする局面が見られた。一方、資源国通貨はドル安継続に加え6日続伸となった原油相場もサポート要因となり、対ドルで堅調に推移した。
一方、円相場は世界的なドル売り再燃を背景に軟調なUSD/JPYと堅調なクロス円という構図は変わらず。USD/JPYは119.00を挟んで展開している短期サポートラインと一目/雲の下限で神経戦が継続した。対照的にEUR/JPYは1週間ぶりに128円ミドルレベル、AUD/JPYは93円台へと上昇。CAD/JPYは2日連続で大陽線が示現し、日足の一目/雲の上限(4/16現在97.71)を突破する局面が見られた。

予想外に米個人消費が低迷していることを背景に、今月29日に発表される実質国内総生産(1-3月期GDP)速報値への警戒感が強まっている。小売売上高(3月)は市場予想にとどかず、個人消費の動向に大きな影響を与える米住宅着工件数(3月)も年率換算で前月比2.0%増の92.6万件、許可件数は同5.7%減の103.9万件と、こちらも控えめな市場予想を超えることが出来なかった。両指標データとも悪天候からの回復基調は確認されたが、昨年10~12月期GDPをけん引したのが4.4%(確定値)という堅調な伸びを示した個人消費と堅調な輸出であったことを考えるならば、1-3月期GDPが昨年10~12月期(確報値)の2.2%増から大幅に落ち込む可能性がある。

米景気回復期待の後退観測は外為市場で進行したドル高を調整する絶好の材料と捉えられよう。ただ、ドル売り一辺倒で進行するかどうかは不透明だ。確かにEUR/USDは反発基調にある。しかし、15日は10日/一目の基準線手前で上値が抑えられ、16日はローソク足の実体ベースで21日MAの突破に失敗する等、テクニカルポイントを一気に突破する強さは見られない。背景にあるのは米欧の金融政策のコントラストとギリシャリスクだろう。

また、英ポンドとトルコリラは総選挙リスク、ブラジルレアルは政治リスクにそれぞれ直面していることも鑑みるに、これらイベントリスクを背景にドルショートカバーが散見される可能性はある。ドル高の調整(ドル売り)は短期スパンと想定し、まずはドルインデックスが96.00レベルで底固めに入るか否か、この点に注目すべきだろう。

今日の焦点 -米CPIとイベントリスクに警戒

外為市場の焦点は引き続きドル相場の動向にあろう。日本時間21時30分の米消費者物価指数(3月、CPI)が予想外に低迷すれば、イエレンFRBによる早期利上げ期待が後退し米金利の低下とドル売りを促そう。

問題は米株の反応だろう。直近の冴えない指標データは基本的に株安材料である。ギリシャリスクにより欧州株式が再び不安定化し始め、主要20か国(G20)の財務相・中央銀行総裁会議(米ワシントン、16~17日)が開催されるタイミングで米指標データが冴えない内容となれば、米株は調整色を強める可能性がある。日欧に加え米株まで軟調な地合いとなれば、クロス円の上値をレジストする要因(=ドル安によるクロス円上昇圧力の相殺要因)となろう。結果、USD/JPYはサポート要因(=クロス円の上昇)を失い、ドル売り圧力を背景に118円台の攻防へとシフトしよう。
一方、堅調地合いが続く資源国通貨は原油相場にらみの状況が継続しよう。週末を控え、上記のリスクイベントや地政学的リスクの高まりを鑑みるに、本日の原油相場は利益確定売り優勢となる可能性がある。株安も合わされば、AUD/JPYやCAD/JPYで利益確定売り圧力が強まることで、クロス円での円高をけん引する可能性があるため要注意。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 120.00:レジスタンスポイント 119.68:21日(赤ライン)
サポート 118.94:一目/雲の下限 118.72:4/3安値

5日連続で陰線が示現。短期サポートラインを割り込んできたことで、ダウンサイドリスクをより警戒すべき局面へシフトしている。目先のサポートポイントは日足の一目/雲の下限だが、4月に入ってからの動向を鑑みるに、真の焦点は118.70レベルの維持だろう。この重要サポートポイントをも下方ブレイクする展開となれば、3月26日安値118.33及び今年高値122.03からの61.80%戻し118.21レベルを視野に下落幅が拡大しよう。118.80、118円ミドルレベルそして118.00にはそれぞれビッドが観測されている。一方、上値は21日MAのトライとなるかが注目される。119.50、120.00にはそれぞれオファーが観測されている。

EUR/USD

レジスタンス 1.0888:4/8高値 1.0801:21日MA(青ライン)
サポート 1.0723:10日MA(黄ライン) 1.0700:サポートポイント

ドル安トレンドを背景にボリンジャーバンドの中心線である21日MAをトライする展開となっている。本日の米指標次第ではこのMAの突破が明確化しよう。この場合、トレード戦略を順張りに切り替えたい。ただ、米欧の金融政策のコントラストや再台頭してきたギリシャリスクも鑑みるに、過度の上値追いは避けたい。実際、RSIは売り買い分水嶺の50.00以下の水準で推移し続けている。節目の1.1台を一気に回復するというよりは、各レジスタンスポイントでの攻防を注視する展開を想定し、目先はオファーが観測されている1.0850、4月8日高値1.0888レベルでの攻防に注目したい。一方、下値は1.07台を維持できるかが注目される。1.0600と1.0580レベルにはビッドの観測あり。

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