短期調整要因としての円安アレルギー

Market Overview-円安アレルギー

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7日のグローバル株式市場はリスクオフ優勢の展開となった。ドイツの鉱工業生産(8月)が前月比-4.0%と大幅な落ち込みとなったことで主要な欧州株式が軒並み下落。この流れを引き継ぎ、米国株式も朝方から売りが先行する展開に。国際通貨基金(IMF)が7日発表した世界経済見通しで、2014年の世界全体の実質国内総生産(GDP)増加率を3.3%と、7月時点の予想から0.1ポイント引き下げ先行き不透明感が強まったことも欧米株式の重石となった。株式の下落は外為市場での円高圧力を強め、クロス円は軒並み下落。一方、米金利が中長期ゾーンを中心に低下したことで、ドルロングを調整する動きも強まりドル円は一時108円割れの展開に。ユーロドルは1.26後半を維持したまま、本日の東京時間を迎えている。

グローバル株式市場で再び不安定化の兆しが見え始めていることがドル高/円安の調整の一因となっているが、もうひとつの調整要因として注視すべきは、新たに日本国内で芽生えつつある「円安アレルギー」だろう。経団連の榊原定征会長や日本商工会議所の三村明夫会頭は急激に進行する円安についての懸念を表明。安倍晋三首相も6日の衆院予算員会に続き、7日午前の参院予算委員会でも円安のメリット・デメリットについてあらためて言及した。「燃料代が高騰している。これが地方経済に与える影響をしっかりと注視したい」という先月24日の発言も鑑みるに、首相の発言は来春の統一地方選挙をにらんでのものだろう。これ以上円安が進行すればさらに輸入物価を押し上げ実質賃金の低下要因となろう。特に地方でその傾向が鮮明となる可能性あり、安倍政権の支持率低下を招きかねない。実際、野党側は円安を安倍政権の「アキレス腱」と捉え批判を強めている。筆者はドル高/円安の調整要因のきっかけとして、米国サイドからのけん制を想定していたが、「適正な円安水準」を巡る国内議論も短期的な調整要因として捉える必要が出てきた。

しかし、中長期スパンでドル高/円安トレンドが継続する見通しに変化はない。内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比で1.4ポイント低下の108.5と2カ月ぶりに低下し、後退局面に入った可能性がある。今月31日に日銀は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の見直しを行うが、経済成長見通しを下方修正するようならば、追加緩和(日米金融政策の方向性の違い)が意識され、再び円売り圧力が強まろう。

Today’s Outlook FOMC議事録

本日の焦点は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録となろう。利上げの時期について具体的な議論が展開されていたことが判明すれば、今月28-29日のFOMCで事実上のゼロ金利を「相当な期間」維持する、との文言を修正してくる可能性をマーケットは意識しよう。だが、グローバル株式市場が再び不安定化しているタイミングでFOMCがタカ派的と捉えられた場合、リスクオフムードがさらに強まる可能性があろう。外為市場では対資源国通貨、新興国通貨そしてユーロでドルを買い戻す動きが強まるだろう。一方、ドル円は、グローバル株式が下落することで円買い圧力が強まり、目先のサポートポイント107.00を目指す可能性があろう。

Technical analysis highlights

ドル円

レジスタンス 109.24:10月7日高値 108.47:21日MA
サポート 107.65:短期サポートライン 107.00:サポートポイント

21日MAを下方ブレイクしたことで調整色が強まってきた。目先は、短期サポートラインの維持が焦点となるだろう。次の焦点は107.00となろう。9月11日に突破して以降、ローソク足の実体ベースで一度も下方ブレイクしていないこのサポートポイントには、厚いビッドとオプションバリアが観測されている。

ユーロドル

レジスタンス 1.2777:10日MA(緑ライン) 1.2700:短期レジスタンスライン
サポート 1.2500:心理的節目 1.2400:サポートポイント

ドル調整地合いを背景に、短期レジスタンスライン&21日MAを突破出来るかが焦点。1.2700から1.2800にかけて断続的にオファーが並んでいる。下値は引き続き1.2500トライが焦点となろう。1.2500には厚いビッドとオプションバリアの観測がある。

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