ドル高シナリオに変化は見られず

Market Overview-くすぶるFOMCへの警戒感

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米労働省が5日発表した8月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が14.2万人(市場予想:23.0万人)の増加に留まり、8か月ぶりの低水準となった。一方、6ヶ月以上の長期失業者及び経済的理由からパート勤務を強いられている労働者は減少し、失業率は6.2%から6.1%へ低下。平均時給は前月比0.2%増の24.53ドル。前年比では2.1%増となった一方、労働参加率 は62.8%と、前月の62.9%から低下する等、強弱入り混じる内容となった。

しかし、上記の雇用統計を受けて尚、外為市場でのドル売りは限定的。ファーストアクションこそドル売りで反応するも、ユーロドルは1.30台すら回復できず再びドル買いの展開に。ドル円も105円台の水準を回復する等、ドル高シナリオが大きく変化する兆候は見られなかった。

この背景には、米金利の動向があろう。米5年債利回りは1.73%前後から1.62%台前半まで低下したが、引けにかけて1.69%前後まで反発。米10年債利回りも2.47%前後から2.385%まで低下した後、2.46%前後まで切り返した。一方、2年債利回りは低下したものの、0.50%台の水準は堅持。これらの金利動向が示すのは、マーケットが抱く米労働市場とファンダメンタルズの継続的な改善期待と9月16-17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感だろう。
前者に関しては、非農業部門の雇用者数が低迷した要因として自動車、小売りといった一部の業種におけるレイオフで説明ができる。低迷する労働参加率がこれまでとは違いマーケットの話題に上ってこないのは、ベビーブーム世代が労働市場から徐々に退出していることが原因とのコンセンサスが確立されつつあるからではないか。失業率の低下と賃金の伸びが確認された事実も考えるなら、今後も米国の労働市場は持続的に改善し、それに伴いファンダメンタルズも回復基調を辿り続けるとマーケットは想定するだろう。
後者については、すでに早期の利上げについて連邦準備理事会(FRB)で議論されていることが先月公表されたFOMC議事録で判明済み。週後半の米経済指標が総じて強い内容ならば、FOMCへの警戒感がさらに強まることで、ドル高トレンドは維持すると想定している。

Today’s Outlook -日中経済指標と米国マーケットにらみ

本日アジア時間は、日中経済指標に注目したい。円安トレンドが強まる中、日本時間8時50分の国際収支統計(7月)で日本の経常赤字の定着が確認できる内容となれば、さらに円売り圧力を強める可能性があろう。一方、FOMCへの警戒感がくすぶる中、中国の貿易収支(8月)が予想外の落ち込みとなれば、豪ドル/米ドルは目先のサポートポイント0.9250レベルを視野に再び下落しよう。

海外時間は、米国株式と金利にらみの展開となろう。ファンダメンタルズ改善期待を背景に米国株式が高値圏を維持し、FOMCを意識した米金利の上昇が確認されれば、ドル円は106円台を視野に入れる展開となろう。ユーロドルは1.28台への攻防へシフトする展開を常に想定しておきたい。逆に米国株式が崩れるようならば、ドル円は利益確定売り優勢の展開となろう。ユーロドルは米金利の動向次第だろう。株安により米金利が低下するならば、ユーロを買い戻す動きが強まろう。尚、「米株安・金利上昇」となった場合は、「円買い・ユーロ売り・新興国通貨売り」を想定したい。

TECHNICAL ANALYSIS HIGHLIGHTS

ドル円

レジスタンス 106.00:レジスタンスポイント 105.71 9月5日高値
サポート 104.68:9月5日安値 104.31:9月2日安値

ドル高トレンド継続を想定。上値の焦点は105.70&106.00トライとなろう。一方、下値は104円台で底固めの状況が継続するかが注目される。105.75から106.00にかけてはオファーとストップが混在している。また、105.75と106.00にはオプションバリアの観測もある。ビッドは104.50から104.00にかけて断続的に観測されている。

ユーロドル

レジスタンス 1.3050:レジスタンスポイント 1.3000:レジスタンスポイント
サポート 1.2900 サポートポイント 1.2788 リトレースメント61.80%

米雇用統計発表後、節目の1.3000手前で反落。この事実を鑑みるに、目先のレジスタンスは1.3000となろう。このレベルと1.3050にはそれぞれオファーが観測されている。一方、下値は1.29台の維持が焦点となろう。このレベルにはビッドとオプションバリアが観測されている。1.28台への攻防へシフトした場合は、5月8日高値1.3994からの61.80%戻し1.2788を目指し、下落幅が拡大する可能性が高まろう。

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