ドル高トレンドは小休止

Market Overview-懸念かき消す絶妙な内容

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リスク選好継続の鍵を握る米国経済が直面している懸念は2つ。ひとつは、ファンダメンタルズの回復スピードに対する懸念。そして、予想外に強い内容となった実質国内総生産速報値(Q2、GDP)を背景に台頭したイエレンFRBによる早期利上げ懸念だ。

このため、7月の雇用統計が弱すぎれば再び前者の懸念が台頭し、強すぎれば後者の懸念がさらに強まったわけだが、結果は、非農業部門雇用者数が6か月連続で20万人を上回る20.9万人増、失業率は労働参加率が若干上昇した影響もあり、前月から0.1ポイント上昇の6.2%。そして一時間あたり平均賃金の伸びは横ばいという絶妙な内容となり、上記2つの懸念を封じ込めた。特に後者の早期利上げ懸念を後退させた影響は、調整色が強まっている米国株式にとって大きなポジティブ要因となろう。

対照的にドル相場にとってはネガティブ(売り)要因となろう。早期利上げ『懸念』は、ドル相場にとっては『期待』であるからだ。この『期待』を背景に7月は総じてドル高の月となった。しかし、『期待』が一時的に後退していること、そして今週は重要な米経済指標の発表が予定されていないことから、米ドルにとっては調整の1週間となりそうだ。ただし、下落幅は限定的となろう。雇用統計と同日に発表された7月のISM製造業総合景況指数は57.1と、2011年4月以来の水準まで上昇。内訳をみても新規受注(58.9→63.4)、生産指数(60→61.2)はともに上昇。雇用指数も58.2と、2011年6月以来の水準となった。また、7月のミシガン大学消費者態度指数・確定値は81.8となり、速報値から0.5ポイント上方修正された。これらファンダメンタルズ改善傾向を示す内容が示されたことで、マーケットは近い将来におけるイエレンFRBの方針転換を意識し続けるだろう。

また、米欧の金融政策の方向性の違いもドル相場を支援しよう。7月31日に発表された7月のユーロ圏消費者物価指数・速報値(HICP)は南欧諸国の景気低迷を背景に0.4%と、ディスインフレ懸念をさらに強める内容となった。先週は米国イベントにかき消された感があったが、今週は欧州中央銀行(ECB)理事会が控えており、蒸し返される可能性が高いだろう。米早期利上げ期待の後退を背景に、週前半はユーロ反発(ドル売り)の展開となる可能性はあるだろうが、ECBによるさらなる緩和強化観測がくすぶり続けている以上、上昇余地は限定的だろう。ドル円も株式市場の不透明感と利益確定を背景に上値の重い展開が想定される。しかし、米早期利上げ懸念が後退したことで、米株が徐々に安定化の兆しを見せれば、円高は限定的となろう。下値のポイントは下記「TODAY’S CHART POINT」を参照されたし。

 

Today’s Outlook -材料少なくレンジ相場に終始

本日の円相場は、株式にらみの展開となろう。先週のグローバル株式は東アジア市場以外リスク回避優勢の展開となった。米株式が安定化の兆しを見せるかどうか確認する必要があることから、アジア時間から欧州時間にかけての株式市場は軟調な地合いで推移すると想定しておきたい。よって、円相場は円高優勢となる可能性があろう。

注目は日本時間10時30分に発表される豪州の6月小売売上高だろう。米早期利上げ期待が後退する中、市場予想(0.3%)を上回るようならば、豪ドル相場の支援要因となろう。NYタイム以降は、米株にらみの展開となろう。早期利上げ懸念の後退を背景に反発すれば、円売り圧力が再び強まろう。逆に調整色を強める内容ならば、円買い優勢の地合いとなろう。

尚、ドル相場は、早期利上げ期待の後退を背景に終始軟調な地合いを想定したい。


Today’s chart point

ドル円

レジスタンス 103.39:4月7日高値 103.09:7月30日高値
サポート 102.21:200日MA 101.80:21日MA

上値の焦点は7月30日高値103.10レベルの突破。一方、下値のそれは200日MA(黄ライン)の維持が焦点となろう。103円台へしっかり乗せてくるようならば、4月7日高値103.40レベルが次の焦点として浮上しよう。逆に200日MAブレイクならば、21日MA(赤ライン)までの下落を想定したい。

ユーロドル

レジスタンス 1.3500:心理的節目 1.3430:10日MA
サポート 1.3367:7月30日安値 1.3320:一目/雲の下限(週足)

上値は目先、10日MAの突破が焦点。ドル売り圧力次第では1.35台への再上昇の可能性もあろう。ただし、ファンダメンタルズや金融政策の面で考えるなら、上値は限定的だろう。よって、7月30日安値1.3367レベルを下方ブレイクし、週足の一目/雲の下限トライを常に想定しておきたい。

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