タカ派サプライズに注意

Market Overview-ドル円とFOMC

bg_janet_yellen_1445964

29日のグローバル株式は、米国イベント前ということもあり明確な方向感は見られなかった。米株式市場では、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は小幅に反落。また、ナスダック総合株価指数も4日続落となる等、上値の重さが目立った。一方、主要な欧州株式は、米国と欧州が足並みを揃えロシアへの本格的な追加制裁で合意したことが伝わったが(制裁案は31日にも正式発表される見通しだが、即日実施に踏み切るかどうか現時点では不明)、総じて堅調に推移。NY金先物12月限も含め、特段リスク回避の動きが見られない状況を鑑みるに、マーケットはこの件についてはある程度織り込んでいることを示唆している。尚、ウクライナリスクを背景に独10年債利回りが1.12%台と、2012年半ば以来の水準まで低下したとの指摘があるが、上述した欧州株やNY金先物、そしてユーロドルの下落も鑑みるに、ウクライナ情勢を意識したリスク回避というよりは、欧州中央銀行(ECB)によるさらなる緩和強化が意識されていると考えるのが自然だろう。

米国イベント待ちのムードが漂う中、米株で上値の重さが目立ち始め、VIX指数が上昇傾向にある点は気がかりだ。本日より順次発表される重要経済指標が総じて市場予想を下振れ、且つ可能性は低いものの、連邦公開市場員会(FOMC)声明で『タカ派サプライズ』があれば、米株が崩れる可能性があろう。リスク選好の先導役を失えば、改善傾向にある投資家のリスクセンチメントが急速に悪化することで、外為市場では円高圧力が再び強まる展開を警戒したい。特に注目すべきは、テクニカル面で重要な節目に差し掛かっているドル円の動向だろう。年初来高値105.44を起点としたレジスタンスラインを視野に入れるタイミングで米株が崩れれば、再びレンジの下限である101.00レベルを目指す展開となろう。

逆に米GDPや雇用統計といった経済指標でファンダメンタルズ改善傾向が示されれば、『タカ派サプライズ』があっても、そのネガティブショックを吸収し米株は高値圏を維持する公算が大きい。米金利への低下圧力も後退することで、ドル円は上記のレジスタンスラインを突破するだけでなく、いよいよレンジ相場の上方ブレイクをも意識する局面へとシフトしよう。

Today’s Outlook -焦点はタカ派サプライズの有無

そのFOMCだが、現時点で大方の市場参加者はイエレンFRBの方針転換を予想(期待)していない。よって、現状維持の場合は、期待先行で上昇しているドル相場には売り圧力が強まろう。対照的に新興国通貨や高金利通貨は、対ドルでショートカバーの展開が想定される。ただし、ドル相場の下落幅は4-6月期実質国内総生産(GDP)速報値の結果に左右されよう。市場予想以上ならば、下落幅は限定的となろう。逆に市場予想を大きく下振れるようならば、イエレンFRBによる超低金利政策の長期が意識され、下落幅が拡大しよう。

だが、今会合の真の焦点は、上述した通り『タカ派サプライズ』にあろう。可能性は低いが、早期利上げ観測をマーケットに意識させる文言が声明に盛り込まれれば、米金利の上昇を背景に外為市場ではドル全面高となろう。ドル円同様、重要な局面に差し掛かっているユーロドルは米欧の金融政策のコントラストを背景に1.3400を下方ブレイクし、1.33台への攻防へとシフトしよう。ドル円は上述の通り、GDPの内容と米株の動向も見極める必要がある。

Today’s chart point

ドル円

レジスタンス 102.45:レジスタンスライン 102.27:7月3日高値
サポート 101.82:7月29日安値 101.67:21日MA

120日MA(青ライン)と200日MA(黄ライン)がクロスしている102.10レベルを一時的にせよ突破したことで、年初来高値105.44を起点としたレジスタンスラインを視野に、更なる上値トライの展開を想定したい。このラインは今日現在102.45前後で推移しているが、前後の水準では厚いオファーが観測されている。一方、下値は21日MA(赤ライン)の維持が焦点となろう。101.70以下より、断続的にビッドが並んでいる。

ユーロドル

レジスタンス 1.3450:レジスタンスポイント 1.3445:7月29日
サポート 1.3400:サポートポイント 1.3350:サポートポイント

引き続き1.34台の維持が最大の焦点となろう。1.33台の攻防へとシフトした場合は、厚いビッドが観測されている1.3350前後まで下落スピードが加速する展開を想定したい。尚、1.3400には厚いビッドに加え、オプションバリアも観測されている。上値はオファーが観測されている1.3450レベルを突破出来るかが焦点となろう。

本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありませ ん。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。

無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

投資手法・戦略ガイド

  • サポートとレジスタンス

    アナリストがどのようにチャートを使っているのかを学び、投資家の行動を勉強し市場パターンを理解しましょう。利用可能な様々なチャートの使い方を学習し、チャートが示す価格パターンを確認します。

  • 外国為替の取引方法

    世界最大で最も流動性の高い金融市場の仕組みについて理解します。どのように国際通貨が取引されているかをご説明し、ポピュラーマーケットの取引を開始する前に知っておくべき重要ポイントを押さえます。

  • 商品の基礎知識

    商品は、ほぼすべての製品の裏側の不可欠要素として、近代経済になくてはならないものです。不安定ながらも価値の高い天然資源が、幅広い取引の世界でどのような位置を占めるのか学んでいきます。