「円化」するユーロ 株式動向がより重要ファクターに

アナリストの視点-株式動向がより重要ファクターに

トレーダー

8月10日の週は、株高になると外為市場ではドル高優勢となり、株安となればドル売り圧力が強まる展開となった。事実、米ドルの方向性を示すドルインデックスは、人民元切り下げショックによるリスク回避時には下落し、それが落ち着くとドルを買い戻す動きが強まった。

一方、ドルインデックスのトレンドを左右するユーロの動向(対ドルでの動向)をみると、株高時にはユーロ安、株安時にはユーロ高となった。これらの動向が示唆するところは、ユーロが急速に「円化」しているということだろう。株高と日本円の逆相関(株高=円安 / 株安=円高)が強まり始めたのは2005年以降だが、その背景にあったのは、日米金融政策のコントラスト(=米国の金融引締め政策/ 日本の金融緩和政策)を背景とした内外金利格差だった。そしてこの格差を背景に急速に進行したのが、円を資金調達通貨とみなしたキャリートレードだった。

現在は、欧州中央銀行(ECB)も日本に追随しこれ以上のデフレ進行を阻止すべくあらゆる金融緩和(=政策金利をゼロ近辺に引き下げ、中銀預金金利のマイナス化、量的緩和の導入)を実施中である。対して米国は、地ならしをしながら出口戦略へ向け着実に歩を進めている。これまでの日米金融政策の変遷とその後の外為市場における展開を考えるならば、今後は米欧金融政策のコントラストを背景に、上記の資金調達通貨としての役割は米ドルからユーロへとシフトしよう。低金利且つ流動性の面から、その役割を新たに担うことができる通貨(=米ドルの代替通貨)はユーロしかないからだ。

よって、今後のドル相場は「株高=ドル高」、「株安=ドル安」というトレンドが散見されよう。ただ、株高となった時、必ずしもドル高とならない可能性がある点には要注意。米利上げ時期が迫る中でも米国株式市場は未だ利上げに対する耐性が強まっておらず、このため利上げ観測後退を背景とした株高ならば、ドル高の最大のサポート要因である米金利の上昇圧力を後退させるからだ。「株高/金利低下」となれば、ドル相場はむしろ売り優勢の展開(=ドルロング調整地合い)となる展開が想定される。

本日の焦点-明日以降の米イベント控えレンジ相場を想定

本日は重要な指標データの発表や要人発言の予定はない。また明日以降、重要な米指標データや米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を控えていることを考えるならば、本日の外為市場はレンジ相場が想定される。
トレンドは上記の通り株式動向次第だろう。中国リスク(=人民元リスク)の一時的な後退はポジティブ要因だが、同国の景気減速懸念は今後もことあるごとに株安要因として意識されよう。また、19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表を控え、米利上げが懸念材料として早くも意識される可能性もある。1日を通してグローバル株式市場が軟調地合いとなれば、外為市場では「ドル売り/ユーロ買い&円買い」の展開が想定される。一方株高ならば、外為市場では逆の展開となろう。
資源国通貨は商品市況の動向も見極める必要があるが、根強い供給過剰懸念を懸念を背景に原油価格の反発が限られている状況を考えるならば、対ドルで上値の重い状況が継続しよう。

Technical analysis highlights

USD/JPY

レジスタンス 125.86:年初来高値 125.28:8/12高値
サポート 123.50:サポートポイント 123.16:ボリンジャー下限(MA21  σ2.5)

上値の焦点は125円台の再上昇で変わらず。チャートポイントは上記の通り。テクニカル面ではボリンジャー上限(MA21 /σ2.5)の攻防を注視。

ただ、一目/転換線(黄ライン)がサポートからレジスタンスへ転換し、DMIやADXの低下傾向も考えるならば、21日MA(青ライン、今日現在124.17前後)及び短期サポートライン(今日現在124.00前後)のブレイクを常に意識しておきたい。123円台でのチャートポイントは上記の通り。

EUR/USD

レジスタンス 1.1220:レジスタンスポイント 1.1169:ボリンジャー上限(MA21  σ2.0)
サポート 1.1026:10日MA(赤ライン) 1.0997:21日MA(青ライン)

上下のチャートポイントは上記の通り。1.12前後はボリンジャー上限、短期レジスタンスラインそしてレジスタンスポイント1.1220が密集していることから、引き続きレジスタンスゾーンとして注視しておきたい。
一方、下値は1.10の維持が焦点となろう。テクニカル面では10日MAの攻防を注視。すぐ上の水準には8月高安の50.00%戻しが推移している。

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