2つの歪な状況

1日に発表された米雇用統計(3月分)は、米景気先行き不透明感を想起させることも引締め懸念を再台頭させることもない絶妙な内容(=非農業部門雇用者数変化:21.5万人 / 失業率:5.0% / 平均賃金0.3%増)となった。中国リスクが再び水面下に潜っている状況を考えるならば、目下、グローバル市場で意識されやすいリスク要因は「米金融引締め→ドル高」である。イエレンFRB議長のハト派発言に加え米雇用統計も金融引締めリスクを再台頭させることのない良好な内容となった点は、現在のグローバル市場にとってポジティブ要因となろう。だが、2月中旬から3月にかけて発生したリスク選好回帰の流れが今月も継続すると考えるのは早計だろう。以下で述べるとおり歪な状況が垣間見えるからだ。

トレーダー

Analyst's view

歪な状況①

比較チャート①を確認すると、 米国株式(MSCI)と長期金利(10年債利回り)の乖離が再び鮮明となっている。世界的な金融緩和レースと米利上げペースの後退がこの歪な状況の発生原因と考えられる。来週より本格化する米四半期決算で、海外リスクやドル高の影響を背景に総じて市場予想を下回る内容となれば、この歪な状況は米株の下落(=人為的に演出された米株高の終焉)で収斂される可能性があろう。その場合、外為市場ではリスク回避を背景に円とユーロへの買い圧力が強まろう。

歪な状況②

もうひとつ注視すべき歪な状況が、ドル相場と原油価格の関係だ。比較チャート②を確認すると、米金融引締め懸念の後退を背景にドル安圧力が強まっているタイミングにもかかわらず、3月下旬以降、原油価格(WTI原油先物価格)に再び下落圧力が強まっていることがわかる。株式市場の上昇要因となっているドル安が原油価格の押し上げ要因となっていない主因は、今月17日にカタールのドーハで開催される増産凍結協議への不透明感だろう。増産凍結で躓くようなら、6月に開催予定のOPEC総会で産油国全体における減産合意の進展も望めない。減産合意にまで至らなければ、根強い原油の供給過剰懸念も払しょくされず原油価格は再び不安定化に陥ろう。この懸念を背景に国際商品市況(CRB指数)全体に再び下押し圧力が強まるならば、外為市場ではやはりリスク回避の円&ユーロ買いを警戒したい。また、対照的に最も売り圧力が強まるのが資源国&新興国通貨となろう。

【比較チャート①:米国株式と長期金利の乖離】青ライン:米国株式(MSCI) 赤ライン長期金利(10年債利回り)

KAIRI0404

【比較チャート②:パフォーマンス比較チャート】赤ライン:WTI原油先物 黄ライン:CRB指数 緑ライン:ドルインデックス

HIKAKU0404

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