米インフレ鈍化のトレンド化と賃金動向

Market Overview

8月31日の海外外為市場は、米ドル売り優勢の展開となった。この日発表された米インフレ指標は、FEDが目標とする2%を依然として下回る内容となった。これを受け米金利には低下圧力が強まり、米ドル相場との相関性が高い10年債利回りは2.119%まで低下する局面が見られた。米金利の低下に加え、ムニューシン米財務長官による「米ドル安は貿易にとって有利」という発言も意識され、外為市場では米ドル売り圧力が強まった。ドル円は109.88レベル、ユーロドルは1.1913レベルまで、米ドル売りが進行した。

米株は、8月の中国製造業購買担当者景気指数が51.7と市場予想(51.3)を上回ったことに加え、インフレ鈍化とそれに伴う緩やかな利上げペースも意識され続伸。特に株高のけん引役でるハイテクセクターへの買いが続き、ナスダック総合は6428.66と、7月26日以来およそ1カ月ぶりに最高値を更新した。
国際商品市況だが、NY原油先物10月限はショートカバー優勢となり、前日比1.27ドル高の1バレル=47.23で取引を終了。一方、NY金先物12 月限は米ドル安が好感され、前日比8.1ドル高の1トロイオンス=1322.2と反発した。

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Analyst's view

米国の7月コアPCEは前年同月比で1.4%上昇と、2015年12月以来の小幅な伸びとなった。FEDが最も注視しているインフレ指標でインフレの鈍化がトレンド化していることが改めて確認された(下図チャート参照)。低インフレに対する懸念が完全に払しょくされない限り、FEDが利上げペースを加速させることは困難である。それは、米金利が反発基調へ転じることが困難であることを意味する。米金利の低空飛行が常態化すれば、外為市場では米ドルを積極的に買うムードが高まらないであろう。

だが、米国のインフレ鈍化は、利上げペースが緩やかになるとの期待を株式市場で想起させる。事実、昨日の米株はこの点が意識され、主要3市場はそろって上昇した。他の主要な株式市場も堅調さを維持している。この状況(=米金利低下 / 世界的な株高)が続く限り、ドル円は108円台を下限に売り買いが交錯する展開が想定される。一方、米独の金利差に敏感なユーロドルは1.20を意識した攻防が継続しよう。米金利の低空飛行はユーロドルのサポート要因である。しかし8月下旬以降、ECBサイドの通貨高けん制スタンスが強まっていること、そしてユーロ圏の8月消費者物価コア指数が、前年同月比で1.2%の上昇にとどまったことは、金融緩和政策の変更に対する期待を後退させる要因となり得る。少なくとも9月7日のECB理事会前までは、1.20を上限に売り買いが交錯する展開が想定される。

尚、本日の焦点は米国の8月雇用統計となろう。注視すべきは賃金動向だが、コアPCEに続き伸びが抑制されていることが確認されれば、雇用増となっても「米金利低下→米ドル安」を警戒したい。だが、米株は堅調さを維持する可能性が高い。よって、米ドル安圧力が強まっても、ドル円が一気に108円台を目指す可能性は低いだろう。チャートポイントの詳細はテクニカルレポートにて。


【チャート:米インフレ指標】

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